アルマード Research Memo(5):収益性向上につながる体質強化により再成長基調へ

配信元:フィスコ
投稿:2022/10/03 15:05
■業績動向

1. 2023年3月期第1四半期業績の概要
アルマード<4932>の2023年3月期第1四半期の業績は、売上高1,524百万円(前年同期比25.1%増)、営業損失340百万円(前年同期は3百万円の利益)、経常損失338百万円(同4百万円の利益)、四半期純損失235百万円(同2百万円の利益)となった。TVCMの放映により新規顧客獲得数・定期会員数ともに飛躍的に増加し、主要指標であるCPAも大幅に良化した。一方、美白商品は規模拡大に向けた検証段階であり、改善策を順次実施する予定だ。

業績進捗はおおむね計画どおりで、好調な直販事業が業績をけん引した。卵殻膜美容液のさらなる認知度向上を狙ったTVCMの放映により、直販の新規顧客獲得数が拡大し増収となったものの、広告宣伝費が一時的かつ多額に発生したことで各利益は損失を計上した。四半期営業損益で見ると、第1四半期は損失を計上したが期初計画比では約88百万円のプラスで着地した。しかしながら、第2四半期以降に費用が後ズレで発生する見込みであることから、通期計画は据え置いている。なお、後ズレで発生する見込みの費用はTVCMに伴うもので、前払いした費用を契約期間に基づいて月次按分する。実際の支払いは完了しているため、当該費用がキャッシュ・フローに影響を及ぼす懸念はない。

なお、2023年3月期第1四半期で新規顧客獲得数・定期会員数ともに飛躍的に増加し、主要指標であるCPAも大幅に良化するなど収益性が向上していること、同社が費用先行型のビジネスモデルであること、データベースを活用して広告宣伝費と会員数に関連性を持たせていることなどから、今後の業績拡大も期待できると弊社では見ている。

2. 事業動向
事業動向としては、直販事業が順調に推移し業績をけん引した。会員数についても引き続き好調な新規獲得ベースを維持しており、2023年3月期第1四半期の新規顧客獲得数は過去最高を記録した。定期会員数に関しても、前年同期比72.2%増の83,423人と大幅に増加しており、今後の収益獲得基盤を拡大させている。なお、同社の定期会員数は他のD2Cブランドと比較して小規模であることから、成長ポテンシャルは高いと弊社では見ている。

これに加え、TVCM展開の結果、CPAは前年同期比23.0%の抑制を実現した。これにより、1人当たり期待利益が拡大し、将来の事業収益性向上につながる体質強化も実現した。またマーケティング手法の改善については、これまで広告代理店に依頼していたインターネット広告を内製化したことで適切なタイミングでの広告出稿が可能となり、PDCAサイクルを高めることに成功した。これは、顧客獲得ペース鈍化などのリスク低減につながると弊社では考えている。

OEM販売については、ベルーナ<9997>の連結子会社である、化粧品・サプリメント専門の通販会社の(株)オージオからの受注が大半を占めている。OEM販売は供給先の動向に左右されやすく、複合的な要因により動向が読みづらい点があるが、足元の販売状況・在庫保有状況はともに順調に推移している。

その他のトピックとして、2021年10月に投入した美白スキンケア商品「チェルラーホワイト」シリーズは、今後の規模拡大に向けた検証実施段階にある。アンチエイジング商品と比較すると現状の売上は極めて小規模で、商品購入率の低迷によりCPAが高止まりの状況であり、今後の規模拡大に向けて採算性の向上が必須となっている。クリエイティブの検証加速のほか、ランディングページの最適化、価格設定の見直し、人材投資によるマンパワー強化などの改善策を実施していく。美白市場規模を考慮すると市場ポテンシャルは十分にあると考えられることから、既存アンチエイジング商品に続く直販の第2の柱として、美白シリーズを育成していく計画である。市場ポテンシャルが高いこと、TV通販で販売している美白商品の販売実績からニーズを確認できていることなどから、軌道に乗れば既存のアンチエイジング商品と同等の売上規模まで成長する可能性もある。また、健康分野では、卵殻膜の新たな機能性を示唆する研究成果を追加発表し、素材の訴求及び顧客便益の拡大・強化に取り組んでいる。


自己資本比率と流動比率は依然として高い水準で推移し、財務体質は強固。ROEの向上により高収益体質への期待が高まる

3. 財務状況と経営指標
2023年3月期第1四半期末の資産合計は前期末比98百万円減少して3,264百万円となった。流動資産は同198百万円減少し2,972百万円となったが、これは主に売掛金が198百万円、商品が111百万円、前払費用が91百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が424百万円、受取手形が293百万円それぞれ減少したことなどによる。固定資産は同99百万円増加し292百万円となったが、これは主に繰延税金資産が103百万円増加したことなどによる。

負債合計は前期末比835百万円増加して1,511百万円となった。流動負債は同833百万円増加し1,476百万円となったが、これは主に短期借入金が700百万円、買掛金が214百万円、未払金が126百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税等が225百万円減少したことなどによる。なお、短期借入金の資金使途は、財務レバレッジによるROE向上を目的とした事業運転資金や配当・自己株式取得の原資である。固定負債は同2百万円増加し34百万円となったが、これは主に退職給付引当金が2百万円増加したことなどによる。純資産は前期末比934百万円減少して1,753百万円となった。これは主に、利益剰余金が635百万円減少した一方で、自己株式の取得により自己株式が299百万円増加したことなどによる。

経営指標については、短期借入金の増加に伴い流動比率が前期末比291.9ポイント低下し201.3%、自己資本比率が同26.2ポイント低下し53.7%となったものの、依然として高い水準で推移しており、短期的な財務懸念はないと弊社では見ている。また、短期借入金を活用した財務レバレッジ効果によりROEが向上し、高収益体質となることも期待できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)


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