コニシ Research Memo(2):国内トップクラスの接着剤・シーリング材メーカー

配信元:フィスコ
投稿:2022/06/28 16:02
■事業概要

1. 主要な事業セグメント
コニシ<4956>の事業セグメントは、「ボンド」「化成品」「工事事業」「その他」の4セグメントとして開示されている。2022年3月期の売上高比率は、ボンド56.0%、化成品28.0%、工事事業15.9%、その他0.2%となっている。営業利益(全社消去前)の比率ではボンドが63.2%、化成品が13.6%、工事事業が23.0%、その他0.2%となっている。化成品の利益の比率が低いのは、同事業が仕入販売を行う商社事業であるのに対して、ボンド及び工事事業は自社で製造・販売・エンジニアリング等を行っているためである。本社ビルの取得に伴う賃貸収入の増加によって「その他」の比率が増加している。各セグメントの概要については以下のとおりとなっている。

(1) ボンド
ボンドでは、主に一般家庭用、住宅・建材用、産業資材用の各種接着剤、シーリング材及びワックス・両面テープ等の製造販売を国内外で行っている。アイテム数は「ボンド」のブランドが付く商品だけで5,000以上のアイテムに上り、業界での品揃えは国内で群を抜いている。また、子会社サンライズ(株)では主に戸建て用の建築用シーリング材や自動車用シール材・接着剤を製造・販売している。もう1つの子会社ウォールボンド工業(株)は壁紙用接着剤の製造販売を行っている。なお2022年3月期から、それまで「工事事業(旧 土木建設事業)に組み込まれていた「ボンド土木用・建設用」が「ボンド」に組み替えられた。

(2) 化成品
化成品では石油化学製品、合成樹脂、工業用薬品全般、電子機能性材料の仕入販売を行っており、主たる業務は商社的な事業である。同社の根源とも言える事業であるが、利益率が低いため、引き続き抜本的な改革を推進するとしている。

(3) 工事事業
子会社のボンドエンジニアリング、コニシ工営(株)、近畿鉄筋コンクリート(株)、角丸建設(株)、山昇建設(株)で手掛ける工事請負事業と、同社で製造される土木建設用接着剤やシーリング剤が含まれる。工事請負事業は、主に官公庁、鉄道会社、道路公団等から発注された道路、鉄道、トンネル、橋梁などの補修・補強工事を請負うものである。同社の場合は接着剤メーカーとしてのノウハウや経験を生かした補修・補強工事を専門で行っているのが特色である。

(4) その他
その他は不動産賃貸業となる。以前は売上高・利益ともに微少であったが、本社ビルの取得に伴い収入・利益とも増加した。

2. 市場シェアと競合企業
主力製品である合成接着剤においては生産量ベースでの市場シェアは10%強の水準と推計され、ここ数年はわずかながら上昇トレンドにある。また、金額ベースのシェアにおいては12~13%(建設用シーリング材を除く)と、数量・金額ともに国内市場でトップと推定されている。

主な競合企業は、一般家庭用ではセメダイン<4999>、住関連用では主にアイカ工業<4206>、(株)オーシカなどがある。建設シーリング材ではサンスター技研(株)、シーカ・ハマタイト(株)などと競合する。建設・土木用では、接着剤ではショーボンド化学(株)(現 ショーボンドマテリアル(株))との競合となるが、実際の工事現場では子会社のボンドエンジニアリングがショーボンド建設(株)と競合する格好となっている。また、工場生産用では昭和電工<4004>、ヘンケルジャパン(株)やオーシカ等が競合大手である。また、エレクトロニクス製品の生産用ではセメダインや(株)スリーボンドと競合するが、両面テープまで広げると日東電工<6988>やスリーエムジャパン(株)が競合企業として挙げられる。

3. 特色、強み
同社の特色、強みを要約すると以下のようになる。

(1) ブランド力
同社の最大の強みは「ボンド」の持つ圧倒的なブランド力である。一般家庭向けの「ボンド木工用」から建築用、産業用の「ボンド」まで、老若男女を問わず誰もが「ボンド」の名を知っている。

(2) 製品ラインナップと販売網
製品ラインナップが豊富なことも同社の特色である。幅広い製品ラインナップを揃えているため、需要先も土木、建設、住宅、自動車、電機など多岐にわたっている。そのため、業績は特定の業種や製品に左右されにくく、企業としての収益基盤は安定している。これも同社の強みである。

(3) 接着剤専業としての強みと販売網
前述のように多くの競合企業(セメダインを除く)は接着剤の専門メーカーではなく、化学品メーカーが多い。言い換えれば、競合企業にとって接着剤は本業ではなく1つの事業でしかない。これに比べて同社は接着剤専業メーカーであるため、顧客からの信頼は厚い。これも同社の特色であり、強みと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


<EY>
配信元: フィスコ

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