[資源・新興国通貨6/13~17のポイント&注目通貨] 米ドル/カナダドルは上昇するか!?

著者:八代和也
投稿:2022/06/13 13:38

今週のポイント

今週(6/13- )の米ドル/カナダドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは、15-16日に開催される米FOMCに影響を受けそうです。FOMCの利上げ幅やFOMC参加者による政策金利見通しの結果次第では、米ドル/カナダドルには上昇圧力、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下落圧力が加わるかもしれません。

米国など主要国の株価動向には要注意です。主要国の株価が下落を続ける場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まりそう。リスクオフは円高要因や米ドル高要因です。

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ヒースBOM(メキシコ中銀)副総裁は10日、「次回6月23日の会合では、0.75%の利上げが行われる可能性がある」と述べ、「8月の会合では、さらに0.75%利上げするかどうかが基本的な議論になるだろう」と語りました。

BOMは前回5月の会合まで4会合連続で0.50%の利上げを行っており、現在の政策金利は7.00%です。5月の会合では、5人の政策メンバーのうち、4人が0.50%の利上げを支持し、エスキベル副総裁はより大幅な0.75%の利上げを主張しました。

ヒース副総裁の発言を受けて市場では次回会合での0.75%の利上げ観測が強まるとみられ、そのことはメキシコペソにとってプラス材料と考えられます。メキシコペソ/円については、リスクオフには注意が必要なものの、6.829円(6/9高値)を超える可能性があります。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.09000~1.12000NZドル>

RBA(豪中銀)は7日に政策会合を開き、0.50%利上げすることを決定。政策金利を0.35%から0.85%へと引き上げました。RBAが利上げするのは2会合連続で、0.50%幅の利上げを行ったのは00年2月以来22年4カ月ぶりです。

RBAの利上げ幅は0.25%か0.40%になると市場は予想していたため、0.50%の利上げを受けて豪ドル/NZドルが上昇。豪ドル/NZドルは8日に1.11575NZドルと、08年8月以来13年10カ月ぶりの高値をつけました。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、RBAの政策金利は22年末までに3.1%へと上昇するとの見方が市場では有力なものの、この見方は行き過ぎかもしれません。豪州の1-3月期のCPI(消費者物価指数)は前年比5.1%と、上昇率は他の主要国に比べて低く(例えばNZは6.9%)、またRBAが急激に利上げすれば豪経済は下押しする可能性があるからです。RBNZ(NZ中銀)は今後も利上げを続けるとみられ、NZドルにもプラス材料があることを考えると、豪ドル/NZドルは次第に上値が重くなる、あるいはRBAの利上げ観測が後退すれば下落傾向に転じる可能性があります。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.24500~1.31000カナダドル>

10日に発表されたカナダの5月雇用統計は良好な結果でした。失業率は5.1%と、市場予想(5.2%)に反して前月の5.2%から改善し、雇用者数は前月比3.98万人増と、増加数は市場予想の3.00万人を上回りました。

雇用統計の結果はカナダドルにとってプラス材料と考えられるものの、米ドル/カナダドルは10日に上昇しました(米ドル買い/カナダドル売り)。市場は米CPIの結果を強く意識し、米ドルが全般的に買われたためとみられます。

今週(6/13- )発表されるカナダの経済指標は材料としては力不足の感があり、米ドル/カナダドルは米ドル側の材料、とりわけ米FOMCの結果に影響を受けるとみられます。米ドル高が進む場合には、米ドル/カナダドルは1.30752カナダドル(5/12高値)に向かって上昇しそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想