ジェイフロンティア、「SOKUYAKU」をヘルスケアインフラとしてサービスを展開し、売上高1,000億円を目指す
SOKUYAKU事業概要
中村篤弘氏(以下、中村):あらためまして、私から、薬の宅配サービスである「SOKUYAKU」を中心にご説明できればと考えています。よろしくお願いします。
「SOKUYAKU」は、オンライン診療を予約するのと同時にオンライン服薬指導も予約され、薬を宅配か郵送か患者が選択できるサービスです。こちらはビジネス特許も取得しており、日本唯一のプラットフォームになっています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):このサービスを始めたきっかけは何だったのですか?
中村:実は身内に要介護者がいまして、学生の頃から病院に連れて行く手伝いをしていました。病院に連れて行くだけでも大変ですが、午前中から午後まで時間がかかります。今の日本の薬局の待ち時間は平均27分から28分くらいなのですが、薬をもらって帰るまでの時間の拘束について大きな課題認識を持っていました。
また、私自身もドラッグストアで店長として働いていたこともあり、薬を買いに来る方の苦労を現場で常に見ていました。このように、以前から課題認識を持っていたのですが、新型コロナウイルスの流行によって規制緩和が進んだことで、もともと構想していた事業にいち早く着手することができたかたちです。
SOKUYAKU事業 主要KPI
中村:「SOKUYAKU」を導入している医療機関は順調に増えており、今年4月末の時点で病院が2,163件、薬局が3,107件、合計で5,270件となっています。会員数も27万4,000件超と、当初の年間計画をすでに達成しています。
SOKUYAKU事業を取り巻く市場環境(4)
中村:SOKUYAKU事業を取り巻く市場環境として、ここ数年で法改正が一気に加速しました。2018年4月時点では「初診から6ヶ月以上経過した患者」「3ヶ月に一回の対面診療が必要」など、オンライン診療自体に多くの規制がありました。
それが、2020年4月には新型コロナウイルスの感染拡大による時限的措置として「0410対応」という電話診療が解禁されました。さらに、2021年6月にはオンライン診療の恒久化が閣議決定されました。
そして、今年4月からはオンライン診療の初診の診療報酬が7割から9割へ引き上げられました。これは多くの病院でオンライン診療の導入が加速しているためです。
また、もともとはオンライン診療を受診した患者にしかオンライン服薬指導をしてはいけないというルールがありました。その点も今年4月から規制緩和され、対面で診察した人もオンライン服薬指導によって薬を受け取ることが可能になりました。
このような動きを受けて、我々としても「SOKUYAKU」自体のサービスを改良しました。簡単に言えば、アプリではなくWeb上でオンライン服薬指導を受けられるようなサービスをスタートして、総合メディカル社が運営するそうごう薬局746店舗に導入していただいています。
SOKUYAKU 収益モデルの拡大
中村:「SOKUYAKU」の収益モデルは大きく2つあり、1つはTo Cサービスです。オンライン診療の利用料、オンライン服薬指導の利用料、薬の宅配などがあります。
もう1つはTo Bサービスです。年配の方の中にはアプリのダウンロードや会員登録などのスマホの操作が難しいという方もいますので、会員登録なしでも利用できる端末を月額制で設置しています。
また、100店舗から200店舗あるようなクリニックやドラッグストアですと、自社のサービスでシステムを導入したいという要望もあります。そのため「SOKUYAKU」のシステムをそのクリニックやドラッグストア専用のサービスとして提供することがあります。
坂本:現在、それを使っている会社もあるのですか?
中村:すでにいくつかの会社が導入していますので、後ほど事例をお見せします。
坂本:中堅も大手も取っつきやすいですね。
中村:ただし、専用のサービスを入れても広告は打てません。そのため、専用サービスを出して患者の囲い込みをしながら、「SOKUYAKU」に出店してもらうという方法を提案しています。そうすると患者も入ってきますし、自社で患者のデータベースの囲い込みをすることができます。
また、「SOKUYAKU」を導入していただいている病院に対して医療人材の紹介も行っています。他にも、ついで買いサービスというものがあります。これは、処方箋を受け取るだけではなく、ドラッグストアであればOTC医薬品・日用品・食品などを宅配員が宅配する機能です。
さらに、アプリ登録なしで使えるオンライン薬局や、医療機関のホームページ制作、広告運用なども行っています。このあたりについては、後ほど詳しくご説明します。
(1) SOKUYAKU ASPサービス(To Bサービス)
中村:スライドには、先ほどご説明したASPのサービスについて記載しています。
(1) SOKUYAKU ASPサービス:導入事例 バリューHR社
中村:バリューHRは「オンラインドクター」というサービスを提供しているのですが、これは「SOKUYAKU」を活用したサービスとなっています。このようなかたちで会社専用あるいはチェーン店専用のサービスを提供することが可能です。
(2) SOKUYAKU 端末設置サービス(To Bサービス)
中村:北海道の場合は100キロ先の病院に通っている方もいますし、遠軽や紋別など、地域に薬局がない場所もあります。また、市役所の職員が患者から処方箋を集め、それぞれの自宅に薬を配るエリアもあるくらいです。そのようなエリアに薬を届けたり、診療の機会を提供したりといったサービスを展開していくかたちで端末を導入しています。
(2) SOKUYAKU 端末設置サービス:導入事例 富山県
中村:具体例として、富山と新潟の境にある入善という地域をご紹介します。この地域は10年近くも整形外科の医師を探しており、市長や県知事まで動かれていたのですが、なかなかよい結果は得られませんでした。そこで我々が、オンライン診療というかたちで千葉県の整形外科医とつなげたのです。
(2) SOKUYAKU 端末設置サービス:導入事例 富山県
中村:スライドは、専門医にレントゲン写真や患部を見てもらっている診察の様子です。患者はこれまでどおり病院に行き、近くの薬局で薬を受け取ってから帰宅するだけです。オンラインで診察を受けることができるため、新しい診療科や、不足している診療科を開設することも容易となります。
(3) SOKUYAKU 医療人材紹介サービス(To Bサービス)
中村:看護師や薬剤師、また医療事務の方についてですが、人員不足から採用活動に苦労している施設を対象に、医療人材を派遣するサービスも開始しました。
(4)オンライン服薬指導時の「ついで買い」(To Cサービス)
中村:ドラッグストア業界のEC化は、これまであまり進んでいませんでした。しかし「SOKUYAKU」を活用した「ついで買い」を導入することで、「ドラッグストアにおける出前館」のようなサービスにしていく展開も考えられます。
飯村美樹氏(以下、飯村):それが実現すれば、ゆるやかな坂道でも辛い高齢者にとって朗報だと思います。
中村:そうですね。さらにドラッグストアの各店舗の在庫を連動させることで、必要に応じて同梱できるようになります。現在、テストで検証しながら拡大していこうと考えています。
(5)新サービス「SOKUYAKUオンライン薬局」
中村:「SOKUYAKUオンライン薬局」についてですが、4月からの規制緩和により、オンライン診療を経由しなくてもオンライン服薬指導ができるようになりました。つまり最初からオンライン服薬指導を予約できるというわけです。
「SOKUYAKU」アプリをダウンロードすることなくブラウザ上で使用できるため、ドラッグチェーンや調剤チェーンにとって、より魅力的なサービスを提供できていると思っています。
イーエックス・パートナーズの子会社化
中村:「ホスピタ」という医師の検索サイトを運営しているイーエックス・パートナーズという会社についてですが、医療機関におけるDX化を加速させるため連結子会社にしました。「ホスピタ」は月間平均100万人以上が利用している検索サイトで、ホームページを持っていない病院の情報が、この「ホスピタ」に掲載されています。
同社との連携による「SOKUYAKU」とのシナジーについてですが、「ホスピタ」の月額掲載料は1万円で、そこに掲載する病院はホームページを持っていないケースが多いため、同社がホームページの作成を提案します。初期費用3万円で、月額1万8,000円という安価な価格設定となっています。
病院側は自社ホームページを持てますし、「ホスピタ」の検索結果に「SOKUYAKU」のオンライン診療をつなげることで、両方の診療を提案するといったシナジーがあります。
また「SOKUYAKU」の営業の中で、「ホスピタ」への掲載や、ホームページの制作といった、もともとイーエックス・パートナーズが展開していたサービスを病院に提案します。病院がオンライン診療を増やす施策、また広告を運用して集客を増やす施策も提案しながら、オンライン診療の営業も行っています。病院にとって非常にメリットのあるサービスメニューが加わったというかたちです。
国・地方自治体との取組み
中村:現在、国、地方自治体と連携した取り組みに力を入れています。内閣府が推進しているスーパーシティ構想、大阪のスマートシニアライフ、また大阪・関西万博の開催にともない、年配の方に端末を配布してネットスーパーや薬の宅配などを推進する取り組みを大阪府が実施しています。そこでも「SOKUYAKU」が採用され、自治体と連携した取り組みを行っています。
薬を手に入れる手段がほとんどなく、デジタル・ディバイドで困っている地域の方々に対する取り組みも進めており、随時発表していきたいと考えています。
当社商品のブランドラインナップ
中村: D2C事業では医薬品の通販も行っています。こちらは「SOKUYAKU」との事業シナジーがあり、例えば膝関節の薬の購入者であれば整形外科のシナジーがありますし、美容分野におけるシミ消しの購入者の場合は、皮膚科や美容整形クリニックとの相性がよいと言えます。
購入している薬によって、未病と疾病の両領域におけるサービス提供も考えています。今期も来期以降も医薬品の開発に注力し、そのラインナップを増やしていきたいと考えています。
D2C事業のKPI進捗(2022年5月期第3四半期)
中村:第3四半期が終わった段階で、D2C事業における新規顧客の獲得が通期計画に対して9割を超えるなど今期も順調です。
B2B事業の展開と強み
中村:B2B事業については、いろいろなヘルスケア関連商品を扱っている企業向け広告の集客やブランディング、またBPOサービスを展開し、DM配送やコールセンターなど幅広く対応しています。
B2B事業のKPI進捗(2022年5月期第3四半期)
中村:新規取引社数の件数をKPIにしていますが、第3四半期の時点で達成率96パーセントと順調に推移しています。
業績推移
中村:売上、利益ともに今期も計画どおり達成できる見込みです。
現在の事業内容
中村:成長戦略についてですが、疾病期間と未病・予防期間というヘルスケアサイクルすべてをカバーするサービスを強化していこうと考えています。
当社が目指す将来の事業モデル
中村:「SOKUYAKU」の会員データとD2C事業の医薬品などを販売している会員データ、また、医療情報システムにおける電子処方箋、電子カルテ、お薬手帳とのデータ連携により、一人一人のステータスに合った適切な商品・診療が可能になり、全てのヘルスケアサイクルのアクションが「SOKUYAKU」で完結するような、「SOKUYAKU」経済圏の構築を目指しています。
“SOKUYAKUヘルスケア経済圏”のイメージ
中村:このようなパーソナルデータの蓄積が進むと、製薬メーカー、医療機器メーカー、食品メーカーにとって大変有用となるため、そのようなところを連携し、サービスを開発していきたいと考えています。
また、疾病の期間を効果的かつ効率的に短縮し、未病の期間を長期化することで国民の健康寿命の伸長に貢献していく事業も考えています。
中長期アクションプラン
中村:中長期計画についてですが、2025年に売上高300億円、2028年には1,000億円というかたちで事業を伸ばしていきます。強気の数字に見えると思いますが、達成は可能と考えています。
坂本:「SOKUYAKU」は、いろいろな要素で伸びる絵図になっています。先の話ですが、現在の意気込みについて聞かせてください。
中村:CAGR120パーセント、130パーセントを目標に既存事業を伸ばしていく一方で、M&Aも非常に重要な戦略だと考えています。「SOKUYAKU」の経済圏を確立するためのM&Aにも注力し、「SOKUYAKU」自体の売上高が1,000億円になるころには、300億円くらいの利益が出せるようにしたいと考えています。
戦略的M&Aの推進 M&Aマッピング
中村:M&Aに関してですが、スライドで黄色に塗っているところは、すでに買収した事業領域で、灰色のところは現在検討している分野です。
未病の領域ではOEM、例えば医薬品の製造が可能な工場や物流倉庫、また決済システムです。疾病の領域ではバイタル情報、AI診断、医療ナレッジなどですが、病院検索ではイーエックス・パートナーズを買収しています。また、現在業務提携を含めて検討しているのがクリニック、薬局、そして物流です。ただし、クリニックを買収して拡大していくということではありません。
そもそもオンライン服薬指導は規制緩和されたばかりのため、オンライン服薬指導を経験している薬剤師は存在しません。我々は東京都港区赤坂で薬局を経営していますが、自社で薬局を経営し、オンライン服薬指導をする際に、オペレーションの構築やナレッジの蓄積、さらにはマニュアルの作成などを保健所、厚労省とやりとりしながら、どこまでが大丈夫なのかを把握することは大切だと考えています。
それによって、オンライン服薬指導を導入する薬局に対し、「ここまでは大丈夫で、このようにすればできますよ」といったオペレーションを構築するサポートが可能となります。
病院についても同様で、どうすれば診察がスムーズになるのかなど、自社で手がけることでナレッジを深めることができます。オペレーションの構築が困難なところに対しては、しっかりフォローアップできる体制を作っていきたいと考えています。
坂本:大変おもしろい考えですね。
中村:あらためて数字の中身についてですが、中長期的なCAGR40パーセント超、2025年で売上高300億円、営業利益25億円、会員数1,100万人を目指します。
坂本:「SOKUYAKU」がこのまま伸びていき、会員数が増えていくと、どこかで損益分岐点が横ばいになり、利益が積み上がっていくビジネスモデルというイメージで合っています?
中村:進行期は、面をとるという観点から、病院、薬局を増やしてきましたが、来期以降は積極的に会員を増やすことに注力したいと考えています。
これまでWeb広告を中心に集客を行ってきましたが、福岡県や石川県でテスト的にCMを流したところ、会員登録数と利用者数が大幅に増加し、医療機関からの問い合わせも非常に増えました。配送体制に目処が立ったため、来期については関東圏も含めてCMを強化し、オンライン診療の認知度の向上と、オンラインのやりとりで薬を受け取れるサービスがあることを知ってもらい、より多くの新規会員を獲得していきます。
現在のユーザーを検証すると、45パーセント近い方が継続してオンライン診療を受けられているため、継続して利用する会員を増やしていくと、利用者数の増加で利益が増えていくというかたちになります。
【SOKUYAKU事業】2025年5月期の経営目標
中村:スライドは「SOKUYAKU」の3年後のイメージです。医療機関数、病院数ともに1万件、会員数は650万人を目指します。新規ユーザーの獲得をこの3年間で強化していきたいと考えています。
坂本:計画どおりに進めば、営業利益率が高いビジネスになりますね。投資家の評価も高くなるだろうと思います。
事業展開イメージ(To Cサービス)
中村:事業展開のイメージです。先ほどお伝えしたように、インフラが確保でき、ユーザー層を開拓して利益を獲得していくという戦略です。
【SOKUYAKU事業】主要アクションプラン
中村:具体的なアクションプランです。会員数は、来期はマス広告による獲得加速を目指しており、スライドに記載のとおり計画しています。
病院・薬局提携数は、今期で5,500件に達する見込みですので、来期は8,000件の導入を目指します。また、電子処方箋の対応が夏明けから来年2月に変更になりましたが、その点についても対応していきます。
坂本:電子処方箋になると、電子データで送れるということですか?
中村:そのとおりです。原本が必要なくなるため、電子データを医療機関・薬局へ送り、そこで調剤した薬を配送業者が患者に届けるかたちになり、非常に便利になると考えています。
【D2C事業】2025年5月期の経営目標
中村:D2C事業ですが、こちらも売上を伸ばしていきたいと思います。
坂本:既存事業が伸びていますが、広告などとのバランスで、商材がある程度よければ売上が伸びるビジネスですか?
中村:我々は随時、新商品を含めてさまざまなプロジェクトを立ち上げるなどして売上を伸ばしています。考え方としては、新規顧客の獲得効率、つまりCACを重要視しながらLTVも見て、どの商品が一番投資対効果が高いか検証します。
予算決めは期初に行いますが、新規顧客の獲得効率がよい商品に広告費を投下する調整を常に行っているため、ヒット商品が出ればもちろん獲得効率が上がり、新規顧客が得やすくなります。いろいろなポートフォリオを考えていますが、簡単に言いますと、1つの商品に依存しない販売体制を作っています。
【B2B事業】2025年5月期の経営目標
中村:B2B事業は、取引先社数を増やすかたちでBPO事業を強化しています。
株主優待制度のご紹介
中村:株主優待制度をご紹介します。保有株式数と保有期間に応じて自社商品をご提供するという株主優待制度を新設しました。保有株式数が100株から300株未満と300株以上、また保有期間が6ヶ月以上と6ヶ月未満で内容が変わります。
我々が自信を持っている商品です。常に成分を改良し、商品をアップデートしています。実際にご使用いただき、忌憚のないご意見などもいただければありがたいと考えています。
質疑応答:新COO就任について
坂本:SOKUYAKU事業を中心にお話しいただき、成長分野のイメージができたと思います。スライド8ページに記載がありますが、COOが新たに加入されています。キューサイの社長をされていた方ですね。
中村:そのとおりです。神戸がCOOに就任しました。彼は広告代理店に勤務後、ドクターシーラボでマーケティング責任者と役員を務め、その後、キューサイの社長になりました。
D2C事業やマーケティングにも詳しい人間ですので、SOKUYAKU事業と既存事業の連携や、SOKUYAKU事業を会員獲得も含めどのようにして伸ばすかについて、経験を発揮してもらい、事業のスピードを上げていきたいと考えています。
質疑応答:SOKUYAKU事業の強みについて
坂本:スライド11ページに記載のSOKUYAKU事業の強みについてですが、特許も取得され、オンライン診療、服薬指導、薬の宅配までワンストップで行うと記載があります。メドレーなどが展開しているサービスと何が違うか、具体的に教えていただけたらと思います。
中村:「SOKUYAKU」が他社サービスと異なるところは、3つあります。1つ目は、「SOKUYAKU」は唯一、患者の集客を行っているオンライン診療プラットフォームということです。他社のプラットフォームは患者の集客を行っていません。システムを導入した後の集客やオペレーションの構築は病院・薬局側で行うことになり、集客はできないため、利用されないかたちになっています。
2つ目は、「SOKUYAKU」は当日または翌日午前中に薬を届けるということです。他社はオンライン診療からサービスをスタートしていますが、我々は薬をご自宅に届けるところからビジネスをスタートしているため、そこから大きな違いが出ています。
3つ目は、先ほどの説明でもお話ししましたが、「SOKUYAKU」はバリューチェーンがワンストップになっていることです。時短も含め、ユーザーの利便性の良さが他社との違いとなっています。
質疑応答:急激な会員数増加の背景について
坂本:お話しいただいたような競争力があるからこそだとは思うのですが、スライド12ページに記載のように、前回お越しいただいた時と比べて、会員数が急激に伸びています。その背景について教えてください。
中村:会員数が伸びている理由は、診療報酬の改定、あるいはオンライン診療が可能になった規制緩和などはもちろんですが、「めざましテレビ」「news every.」などさまざまな媒体で取り上げていただいたことにより、広告投下なしで会員が増えているところもあります。
質疑応答:オンライン診療の規制緩和について
飯村:「この先、オンライン診療の規制緩和はどのくらい進むと思いますか?」という、会場からのご質問です。
中村:我々は毎月、厚労省とコミュニケーションを取っています。また先日は、デジタル庁の小林副大臣と意見交換しました。国の社会保障関係費のうち介護費用は、現在の約45兆円から、2040年は95兆円になると言われています。国家予算107兆円のうち9割が医療費になるということは、国が直面している一番大きな課題であり、ここをどうするかというのが非常に重要なテーマになっていると思います。
そのため国として、社会保障費の削減という観点からも、オンライン診療の規制緩和は推進していくという考えを持っています。
中国、インド、アメリカなどは、この点について非常に進んでいますが、医療先進国の日本では進んでいなかった領域です。今後、非常に利用者が増えていくと考えています。
質疑応答:オンライン診療の料金について
飯村:「1件150円では、御社の負担が重くないですか?」という、会場からのご質問です。
中村:1診療ごとに、オンライン診療150円とオンライン服薬指導の料金150円の合わせて300円という料金設定です。中期的に見ると高い収益を生み出しますが、今は投資フェーズで会員を増やし、それと同時に周辺領域でしっかりキャッシュポイントを作りながら進めていきたいと考えています。
具体的には、「SOKUYAKU」を導入していただいたクリニックに対する医療人材のご紹介やホームページ制作、広告運用です。また、美容整形やAGAなどの大きな広告費用を投下する自由診療のクリニックと提携し、患者をご紹介して送客費用をいただくようなモデルを検討しています。
質疑応答:端末操作の支援について
飯村:「高齢者にとってオンライン診療はハードルが高いと思います。ホームヘルパーや介護者などが操作支援できるよう、自治体などへの働きかけや連携はありますか?」というご質問です。
中村:端末の導入を検討している介護施設などもいくつかあります。先ほどお話しした大阪の事例や北海道、静岡などさまざまな自治体と連携し、端末操作が困難な方であっても、いつも診察していただいている医師とお話しできるようにしています。また、離島からのご相談もありますが、診療科が少ない地域や場所に対して医師とお話しする機会を設けるような取り組みも行っています。このような取り組みについても随時、情報を開示したいと思います。
大阪スマートシニアライフは前衛的です。端末を何十万台と配り、年配の方がネットスーパーを利用できるようにするというのは、おもしろい取り組みです。
飯村:薬がこれだけ簡単に届くサービスをみんなが使えるようになれば、すごくよいことですね。
中村:そのとおりです。私自身、医療は最後のライフラインで、一番重要な国のインフラだと思っています。今後、医療費は増えますが、医療従事者数は横ばいでほとんど増えません。したがって、医療従事者の労働環境が大変な状況になってきますが、その負担が少しでも減らせるようなサービスを提供したいと考えています。
質疑応答:オンライン診療の普及に必要なことについて
飯村:「オンライン診療が身近に活用できるようになっても、まだ一般化されていません。国民全員に広まるには、どのようなことが必要だと思いますか?」というご質問です。
中村:オンライン診療が普及するために必要なことは、2つあります。1つは、病院と薬局のオンボーディングです。シフトを空けて予約を受け付けられる状態にしていただくことが一番重要です。
もう1つは、患者の成功体験です。オンライン診療を一度受けて便利さを理解していただくと、慢性疾患などで薬が変わらない場合、繰り返し利用していただけます。ご自宅でも職場でも薬が届くので、非常に利便性が高いです。
また、へき地など、医師や薬局が不足している地域のほうが需要が高いです。診療の機会が少ない、あるいは薬が届きにくい地域にラストワンマイルで薬を届けるサービスにするため、一度成功体験していただけるよう、利用者を地道に増やしていくことが重要だと考えています。
飯村:みなさまの成功体験が口コミで広がっていきそうな感じもします。
中村:そのとおりです。非常にお喜びの声をいただいており、月に100件、200件とオンラインで診察していただいている医師もいます。そのような医師や他の医師が集まるセミナーや情報交換の場も提供しており、利用していただく医師が増えることを望んでいます。
中村氏よりご挨拶
中村:このような医療プラットフォームを通じて、医療や薬が届きにくい地域の方々に対して医療サービスを提供できるようなインフラにしていきたいと考えています。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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