今週は、ウクライナ情勢をみながら、26500~27500円のレンジを想定

著者:出島 昇
投稿:2022/02/21 18:07

先週は、想定したレンジ26800~27600円の中を26724~27486円の動きでした

先週は、前週に米国でのインフレ懸念の高まりやロシアのウクライナ侵攻への警戒感から大きな上下動を繰り返していることで、先週も引き続き米国の金融政策の確認とロシアの動きをみながらの日経平均の動きとなるとし、相場のレンジを26800~27600円としました。結果的に、このレンジの中で短期の大きな上下動を繰り返すことになりました。

週始めの14日(月)~16日(水)の3日間は、前週末の米国市場では、10日(木)、11日(金)の2日間は、インフレ懸念やウクライナ問題を嫌気し、2日間で1000ドル以上の下げとなったことで、14日(月)の日経平均は一時▲748円の26947円まで下げ、終値は▲616円の27079円となりました。

15日(火)も、朝方こそ下げ過ぎのリバウンドで△125円の27205円と反発して始まりましたが、先物売りから一時▲354円の26724円まで下げ、終値は▲214円の26865円と続落して27000円を切りました。

16日(水)は、前日の米国市場が大幅反発したことで(NYダウは4日ぶりの△422ドルの34988ドル)、日経平均は、△403円の27269円で寄り付き、後場には△620円の27486円まで大幅反発し、終値は△595円の27460円でした。

14日(月)~16日(水)の3日間だけで、26724円の安値から27486円の高値まで上昇する荒い動きとなりました。

17日(木)は、寄り付き▲28円の27431円から売られることになり、後場には▲379円の27080円まで下げて、終値は▲227円の27232円でした。

週末の18日(金)は、前日の米国市場でバイデン大統領が「数日以内にロシアがウクライナに侵攻する可能性が高い」と述べたことで、NYダウは▲688ドルまで下げ、終値は▲622ドルの34312ドルと今年最大の下げ幅となりました。これを受けて、18日(金)の日経平均は、▲337円の26895円で寄り付き、一時▲440円の26792円まで下げて、そこから急速に▲80円の27152円まで下げ幅を縮小しました。

この理由は、午前中に「来週末に米国務長官とロシアの外相と会談」のニュースが流れ、売り方の買い戻しが急速に広がったためでした。想定通りウクライナ情勢のニュースで大きな上下動を繰り返しています。結果的に、この日の終値は▲110円の27122円となりました。

今はウクライナ問題に振り回されていますが、戦争になるかは分かりませんが、国家の戦略と国際政治が絡む問題ですので、簡単に解決することはできず、駆け引きが続き、その度に目先は大きく上下動することになりそうです。

週末18日(金)の米国市場は、引き続きウクライナ情勢を嫌気し、3指標3日続落となりました。

NYダウは、朝方は△111ドルまで上昇したものの、途中で下落に転じ▲232ドルの34079ドルで引けました。

その理由は、ウォール・ストリート・ジャーナルがロシアが数日以内にウクライナに侵攻すると米政府は見ていると報じたことや、バイデン大統領がウクライナへの米軍の増強を予定していると報じたことでリスク回避の流れが強まり、3指標続落となりました。シカゴの日経先物は▲245円の26845円となりました。

今週は、ウクライナ情勢をみながら、26500~27500円のレンジを想定

先週の日経平均は、15日(火)に26724円まで下げて27000円を一時割り込んだものの、この日以外は終値では27000円を守っていたことで、この水準で値固めの可能性もありましたが、週末の米国株式が引き続きウクライナ問題で、リスク回避の下落となり、シカゴの日経先物が27000円を割っていますので、再び下値を確認する動きとなりそうです。
国内の重大な懸念であった、オミクロン株の感染はピークアウトの様子をみせており、米国の金融引締めも3月のFOMCに向けてFRBの金融政策は進んでいるものと思われます。

その過程でロシアのウクライナ侵攻の焦点であるNATO(北大西洋条約機構)の東方不拡大を求めるロシアと欧米の溝がどこまで埋まるかという状況にあります。ウクライナ情勢は政争の具にすぎなければ、時間の経過とともに市場は慣れてきて、ある程度、織り込んでいくことになります。その場合でも偶発的に有事が勃発するリスクは残ることになります。

そうなると3月のFOMCが最初のチェックポイントとなります。米国では1月の消費者物価指数が大きく上昇し、また、1月開催されたFOMC議事録からはFRBがハイペースの利上げも辞さないスタンスが示されており、3月のFOMCでは0.5%(事実上の2回分)の引き上げが織り込まれつつあります。

こうした中で、オミクロン株のピークが減少に転じてきており、岸田内閣が入国制限の緩和に舵を切って徐々にオミクロン株への向き合い方を変えてきています。経済再生の恩恵を受ける旅行、レジャーや交通に関する企業の株価が動意づいています。目先はロシアのウクライナ問題が欧米との駆け引きに使われて株価の大きな上下動がありそうですが、今週の日経平均は26500~27500円のレンジの中の動きが想定されます。

 3月のFOMCをきっかけに、上昇するかどうかは米国次第ですが、一方で日本の3月はメジャーSQ(3月11日)や確定申告、年度末の関係で調整が入るという経験則があり、それに加えて今年は4月に「市場編成」があります。投資家にとっては、3月も慎重なスタンスが必要といえます。

本日21日(月)は、 寄り付きは、ウクライナ情勢の緊迫化からリスク回避が強まり、前場に26549円まで下落する場面もありましたが、売り一巡後は下げ幅を縮小し、また、「マクロン仏大統領は、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領による首脳会談を提案し、双方がこの案を受け入れた」とのなどが伝わると、一時、26998円まで戻しました。時間外取引での米株価指数先物も上げに転じましたが買いは続かず、その後が26900円近辺でもみ合い、やはりウクライナ情勢への警戒感も根強く様子見が強く、▲211円の26910円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、27880円の高値から、米金融政策やロシアのウクライナ侵攻への警戒感から27000円を下に切る可能性もあり、目先は27500円台からは再び上値が重くなるとしました。そのため26800~27600円のレンジの動きを想定しました。

結果的に、2月14日(月)は米インフレ高進の嫌気で、前週末のNYダウが大きく下げたことで、日経平均も連動し、これにウクライナの地政学的リスクも加わって、日経平均は一時▲748円の26947円まで下げ、終値は▲616円の27079円でした。

15日(火)は、先物主導の売りで一時▲354円の26724円まで下げ、終値は▲214円の26865円と半月ぶりの27000円割れとなりました。16日(水)は前日の米国でウクライナの地政学的リスクがやや和らぎ3指標大幅反発となったことで、日経平均の終値は△595円の27460円と反発しました。

しかし17日(木)はウクライナの地政学的リスクが再燃し、終値は▲227円の27232円と反落し、週末の18日(金)は、前日の米国でウクライナ情勢の緊迫化で、NYダウが▲622ドルの34312ドルと今年最大の下げ幅をなったことで、日経平均は一時▲440円の26792円まで下げました。その後、ウクライナ情勢が落ち着くと下げ幅を縮小し、▲110円の27122円で引けました。

今週も引き続き、ロシアのウクライナ侵攻の懸念を巡っての米株式の動きをみながらの展開となりそうです。
先週末は27000円を守って引けていますが、引け後の米国ではNYダウが3日続落となり、シカゴの日経先物が▲245円の26845円となっており、NYダウが落ち着かなければ26500~27500円のレンジの中で下値もみあいの状況も考えられます。


 

(指標)NYダウ

先週の予測では、前週の2月10日(木)、11日(金)と2日続けて500ドルを超す下げとなったことで、このような状況を織り込みながらNYダウが戻り歩調を鮮明にすることができるかがポイントとしました。
結果的に2月15日(火)は、ウクライナの地政学的リスクがやや和らいだとして、NYダウは△422ドルの34988ドルと4日ぶりに反発しました。

しかし、17日(水)になるとウクライナ情勢が緊迫化し、NYダウは▲622ドルの34312ドルと今年最大の下げ幅を記録しました。週末は引き続きウクライナ情勢への懸念から、NYダウは▲232ドルの34079ドルと3日続落で引けました。
今週は、金利動向やウクライナ情勢に注目となります。

ウクライナ情勢やFRBの利上げペースの思惑から神経質な展開が続きそうです。五輪終了直後に警戒されている通り、ロシアがウクライナを侵攻すれば一段安となります。それは今年、3回から6回への利上げを織り込みつつあるということにもなります。


 

(指標)ドル/円

先週の動き

先週は、週半ばまでは、1ドル=115円の半ばでの値動きでしたが、17日(木)の米国市場では、ロシアのウクライナ侵攻の可能性から、NYダウが▲622ドルの34312ドルと今年最大の下げ幅をなったことで、ドルも1ドル=114.85円まで売られました。18日(金)にはウクライナ東部のドネツク州で車が爆破されたと報道されウクライナ情勢の悪化を意識したリスク回避の円買いが高まったが、質への逃避のドル買いも強まり、ドルの下落は一時的となって115.0円で引けました。

今週の見通し

ロシアによるウクライナ侵攻は、状況を見極める展開が続きますが、そうした中、米国とロシアの協議が注目され泥沼化の回避が期待されています。期待が高まればリスク回避的なドル売り・円買いは後退し、ドルは下げ渋ることになります。FRBによる金融正常化や日米金利差拡大の思惑もあることから、ドル売り・円買いが直ちに拡大する可能性は低いといえます。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム