今週は、戻りが続けば28000円にどこまで近づけるかがポイント

著者:出島 昇
投稿:2022/02/07 18:21

先週は、週始めは一気に27000円まで戻すが、その後は上値重く、27000~27500円のレンジ

先週の予測では、日経平均は米株の反発に応じて戻りを試すが、上値は限定的としました。
米国株式は、FRBのFOMCでの金融引締めの発表を受けて、目先、材料出尽くし感から反発する可能性が高いものの、FRBの金融引締めのイメージがハッキリしない以上、3月の利上げ開始までは、急落の局面も頭に入れておく必要があるとしました。
日経平均については、米株式の状況をみながら、戻りに入っていくものと思われ、ただ、大きな下げをしているので、自律反発で戻してもすぐに戻り売りになると想定されました。

NYダウは、想定通り、前週末の1月28日(金)に△564ドルの34725ドルから2月2日(水)の△224ドルの35629ドルまで4日連騰となり、好調な上昇となっていましたが、3日(木)は▲518ドルの35111ドルと急落しました。

日経平均は、NYダウと同じく1月28日(金)から反発に向かい大きな上下動を繰り返すものの、終値では4日続伸となって、2月2日は△455円の27533円となりました。日経平均は戻しても当面は28000円を目指し、目先は28700円水準としていましたが、この日の高値27564円をピークに27000~27500円の中でのもみあいとなりました。

3日(木)は、前日の米国株式が3指標とも高かったものの、▲367円の27165円まで下げて、終値は▲292円の27241円となり、逆に4日(金)は、前日の米国株式がメタ(元フェイスブック)の予想を大幅に下回る▲26%の急落の結果を受けて、ナスダックの足を引っ張り▲538Pの13878P(-3.74%)となり、NYダウも▲518ドルの35111ドルと急落しました。

4日(金)の日経平均は、前場は売り先行で▲165円の27075円まで下げるものの、27000円が目先の下値のフシとなって、もみあいに入り27000~27500円のレンジの動きとなり、この中で△198円の27439円が週の終値となりました。

先週は想定通り、米株式は大きく戻したあと急落し、日経平均は昨年8月20日の26954円を切って1月27日に26044円まで下げ、1月31日(月)に27000円を回復するものの、その後は戻り売り強く、27000~27500円のレンジ内の値動きとなりました。

週末4日(金)の米国市場は、好調な決算が好感され、アマゾン・ドットコムの急伸を受けてハイテク株が上昇、さらに強い1月雇用統計を受けて長期金利が上昇し、金融株が軒並み高かった。しかし、NYダウは雇用統計の堅調な結果を受けて、インフレ高進への警戒感が広がり、長期金利の上昇でFRBの積極的な金融引締め観測が広がったことで、NYダウは▲312ドルまで下落後、35333ドルまで反発したものの、取引終盤に失速し、▲21ドルの35089ドルと2日続落となりました。為替はドルが買われ、1ドル=115.22円となり、シカゴ日経先物は▲120円の27290円でした。

今週は、戻りが続けば28000円にどこまで近づけるかがポイント

先週は、米国株式中心に世界の株式市場が反発を強めたことで、日経平均もいったん急落から大きく戻しましたが、27500円水準でアタマを抑えられる形となりました。
NYダウは、1月24日の安値33150ドルを起点に明確に底上げしています。3日(木)の▲518ドルの大きな下げは、メタ(元フェイスブック)の影響や英中央銀国の追加利上げ、ECBのタカ派へシフトといった悪材料が重なった結果で、一時的なものとの見方が多いようです。

3月のFOMCまでは、FRBによる積極的な利上げ観測がされており、どの程度の積極さか分からないところもあり突然の大きな下げの可能性があります。
昨年来高値から直近の安値までの下落率は、NYダウ10%、日経平均15%ですが、ナスダックは19%となっており、この程度で調整を全て織り込んだかどうかは分かりません。

日経平均の動きは、まずは米国のFRBの金利引き上げと、株式の動きをみることになりますが、もう1つの問題は、国内のオミクロン株の感染拡大で、今のところピークがみえません。海外ではコロナを必要以上に脅威と捉えない方向に動きていますので、日本でもどこかの時点で脱コロナへの流れが出てくると株式市場にはプラスとなります。

今年始めの予測では、1月後半に日経平均が下げても節分天井に向かって上昇してくるとしました。しかし、今回の1月のようにいったん底をぬけた下げ方は、戻り売りが上にたまり、今年は新値をとるような上昇にはならない可能性もあります。

チャートからみると、1月27日に26044円まで急落し、ここでコツンと目先の底打ちとなり、2月2日には27564円まで戻し、1月5日の高値29388円からの下げ幅3344円に対する38%戻し(27314円)を達成しています。相場が順調な動きをすれば、次は半値戻しの27716円、そして三角保ち合いの中の下限だった28000円水準へと戻していくことになります。

だが、急落という上昇基調を崩したあとだけに、この28000円水準までは戻りが続くことになります。

本日7日(月)は、寄り付きは前週末に反発した反動から売りが先行し、前場の早い段階で▲354円27085円まで下げ、売り一巡後は下げ渋る展開となり、後場も売りが優勢でしたが、動意薄のなかもみ合い商状となり、一方で、個別株物色は引き続き物色され、業績の上方修正や自社株買いを発表した銘柄が買われました。結局、引けは▲191円の27248円で終わりました。

(指標)日経平均

先週の予測では、米株式の反発に合わせて日経平均も反発するが、いったん大きく下げたことで戻り売り多く、以前のように一方的に戻してはいかないとしました。
1月27日の26044円の安値から2月2日の27564円まで上昇し、その後は上値重く27000~27500円のレンジでのもみあいとなりました。チャートの形からの戻りは三角保ち合いの中の下限である28000円水準が1つの大きなフシに当たります。

今週は、26500~28000円のやや広いレンジの中で大きな上下動の可能性があります。それは、FRBによる積極的な利上げスタンスが、明確になっているにもかかわらず、上限がハッキリしていないことにあります。

FRBによる年内4~5回の利上げ、金融の量的引締めが意識されることに加え、欧州の利上げシフトへの方向が鮮明になってきているため、日本は当面は、振り回されることになります。足元での上昇の反動や戻り売りの圧力で27500円を超えてくると上値が重くなると考えられます。


 

(指標)NYダウ

前週は早期利上げ観測を受けて、1月24日に33150ドルまで下げ、大きな上下動を繰り返して戻りを試し、先週は2月2日に△224ドルの35629ドルまで4日続伸となりました。
しかし、2月3日(木)はメタ(元フェイスブック)の急落を受けて▲518ドルの35111ドルとなり、週末は1月雇用統計の好調な結果が、インフレ高進からFRBの積極的利上げ観測が広がり、▲21ドルの35089ドルと2日続落で引けました。

今週の予測では、大規模な金融緩和や財政刺激策が縮小されるにあたり、また、各国主要中銀が金融引き締めに転じる中、債券から株式相場への投資資金の流入は引き続き相場を後押しそうです。
FRBがインフレ指標として注目している指標のひとつに、CPIコア指数がありますが、1月分は前年比5.9%増と、12月からさらに拡大し、1982年10月以降40年ぶりの伸びを記録する見通しとなり、物価目標2%を大幅に上回りました。

原油価格も92ドル台と7年ぶりの高値圏で推移して、サプライチェーン混乱の長期化に加えてロシアのウクライナ情勢の緊迫化で、エネルギー価格も当面は高値で推移すると見られ、インフレ高進は簡単には収まりそうにもありません。

FRBは12月のFOMCですでにタカ派に転換しおり、3月にテーパリングを終了したのち速やかに利上げに踏み切ると見られています。
そのような状況で、株式相場も徐々に緩やかに金融引き締めを織り込みながら、しばらくは上下動を繰り返す動きとなりそうです。


 

(指標)ドル/円

先週の動き

週始めは、前週のFRBによる強い利上げ発言を受けて、ドルが買われ1月31日(月)には、1ドル=115.59円まで上昇しました。
その後は、ドル買いは落ち着き、3日(木)までは、114~115円の間のもみあいとなっていました。
しかし、4日(金)は、1月雇用統計が堅調だったことで、インフレ高進の警戒から再び利上げ警戒感が出て長期金利が上昇し、ドルは115.42円まで買われ、引け値は115.22円でした。

今週の予測

先週末は、1月雇用統計の改善を受けて利上げ観測が強まり、115.42円まで上昇しました。雇用統計は市場予想を上回り、過去2ヶ月分も大幅に上方修正されたほか、平均賃金も予想を上回ったことで、3月のFOMCで利上げ観測が高まりました。年内の利上げ観測も一段と強まったことで、金利上昇に伴うドル買いは強含み、底堅く115円水準でのもみあいが続くかのしれません。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム