[資源・新興国通貨1/24~28のポイント&注目通貨]カナダ中銀は利上げするか!? 26日に政策会合

著者:八代和也
投稿:2022/01/24 13:25

今週のポイント

米国株が軟調に推移しています。21日にダウは1カ月半ぶり、ナスダックは7カ月半ぶり、S&P500は約3カ月ぶりの安値をつけました。米FRBの利上げ観測などが米国株の重石となっています。日米欧など主要国の株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まる可能性があります。その場合には、豪ドルやNZドルは対米ドルや対円で下値を試すかもしれません。

豪ドル/NZドルについては、豪州とNZのCPI(消費者物価指数)の結果に影響を受けそうです(後述)。CPIは豪州が25日、NZは27日に発表されます。

カナダドル/円は26日のBOC(カナダ中銀)の政策会合に注目です。カナダのインフレ圧力の高まりや雇用情勢の改善を受け、会合では利上げを行うことが決定される可能性があります(後述)。

SARB(南アフリカ中銀)は25-27日に会合を開きます(政策金利の発表は27日)。SARBは21年11月の前回会合で0.25%の利上げを行いました。南アフリカの21年12月CPIが前年比5.9%と、11月の5.5%から上昇率が加速し、SARBのインフレ目標レンジ(3~6%)の上限に接近したことを考えると、SARBは27日の会合で0.25%の追加利上げを行いそうです。27日の会合で利上げを行うことが決定され、クガニャゴSARB総裁の会見でさらなる利上げが示唆されれば、南アフリカランド/円の支援材料となりそうです。

TCMB(トルコ中銀)は20日の会合で政策金利を14.00%に据え置くことを決定。21年9月に開始した利下げサイクルを停止しました。据え置きは市場予想通りです。TCMBは27日に四半期インフレ報告を公表し、カブジュオール総裁が会見を行う予定です。カブジュオール総裁の会見などでTCMBの金融政策の先行きについて新たな手掛かりが提供されれば、トルコリラ/円が反応する可能性があります。利下げ観測が市場で強まる場合には、トルコリラ/円が下押ししそうです。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.05500~1.08000NZドル>

豪ドル/NZドルは21日に一時1.07NZドル台へと上昇し、約6カ月ぶりの高値をつけました。21年12月の豪雇用統計(20日発表)の良好な結果が豪ドル/NZドル上昇の主因です。豪雇用統計の結果は失業率が4.2%、雇用者数は前月比6.48万人増。失業率は市場予想(4.5%)よりも11月の4.6%から改善し、08年8月以来の低水準を記録。雇用者数は市場予想の4.33万人増を上回りました。雇用統計の結果を受けて市場では、RBA(豪中銀)は2月に量的緩和を終了し、5月にも利上げを行うとの観測が強まりました。RBAの次回政策会合は2月1日です。

今週(1/24- )は、25日に豪州の、27日にNZの21年10-12月期CPI(消費者物価指数)が発表されます。この結果が豪ドル/NZドルの動向に影響を与えそうです。

CPIの市場予想は以下の通り。
<豪州>
・総合CPI:前年比3.2%
・CPIトリム平均値:同2.4%
※RBAはトリム平均値を基調インフレ率とし、総合CPIと同様に重視しています。
<NZ>
・総合CPI:同5.6%

豪州のCPIが市場予想を上回り、NZのCPIが市場予想を下回る結果になれば、豪ドル/NZドルは一段と上昇する可能性があります。豪ドル/NZドルは、1.08072NZドル(21/6/18高値)が上値メドです。

今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:89.000円~92.000円>

カナダの21年12月CPIは前年比4.8%と、30年ぶりの高い伸びを記録。また、21年12月の失業率は5.9%と、20年2月以来の低い水準でした。

BOC(カナダ中銀)はこれまで、利上げを行うのは早くて4月との見方を示してきました。ただ、インフレの加速や雇用情勢の改善を受けてBOCは利上げの開始時期を前倒しすると市場はみています。利上げの開始時期については、3月(1月は据え置き)との見方と1月26日の次回政策会合との見方が市場にはあります。26日の会合で利上げが行われて、さらに声明やマックレム総裁の会見で3月の会合での追加利上げが示唆されれば、カナダドル/円は上値を試す展開になりそうです。一方で、政策金利が据え置かれればカナダドル/円は下落すると考えられます。ただその場合でも、声明などで3月の利上げが示唆されれば、下落は長続きしないかもしれません。

日米欧など主要国の株価動向には注意が必要かもしれません。米FRBの利上げ観測を背景に、とりわけ米国株には下押し圧力が加わりやすいとみられます。主要国の株価が下落を続けるようなら、リスクオフの動きが強まり、カナダドル/円は上値が重くなる(リスクオフは円高材料)可能性があります。カナダドル/円の下値メドとして、200日移動平均線(24日時点で89.185円)が挙げられます。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想