ドル売り強まるもドル円は底堅さ堅持 感染拡大も市場は比較的楽観視か=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/12/23 06:56
 きょうのNY為替市場はドル売りが強まったものの、ドル円は底堅い推移を堅持しており、114円台での推移を続けた。ドル売りについてはクリスマス休暇や年末に向けたポジション調整が主体と思われるが、円安も優勢となっておりドル円の下値をサポートしている状況。

 きょうの市場はリスク回避の雰囲気を一服させ、米株式市場や原油は買い戻された。オミクロン株を中心とした変異株の感染は拡大が続いているものの、市場は比較的楽観視している様子もうかがえる。この日は12月調査の米消費者信頼感指数が発表になっていたが、7月以来の高水準となっていた。インフレ高進、感染拡大にもかかわらず、米消費者のセンチメントは楽観的なことが示された。雇用が堅調な改善を見せていることがフォローとなっている面もありそうだ。

 また、南アの国立伝染病研究所(NICD)がオミクロン株の感染者はその他の変異株に感染した人と比べ入院に至る割合が80%低いと報告していた。オミクロン株は感染力こそ強いものの、重症化リスクは小さいとの見方が広がっていることも、ある種の安心感に繋がっているのかもしれない。

 ユーロドルはストップを巻き込んで1.1340ドル付近まで一時上昇。きょうの上げでユーロドルは21日線を上回っており、その21日線を維持できるか注目。目先は先週の高値1.1360ドルが意識される。

 ドイツのIfo経済研究所によると、ドイツの小売業の供給問題は12月に再び大幅に悪化した。小売業者の81.6%が注文した全ての商品を受け取れないと不満を漏らしている。11月の77.8%から更に増加。Ifoの調査責任者はドイツの小売業者は二重の制約を受けていると語っていたが、小売業者がすべての製品を提供できない状況下で、消費者も感染拡大で買い物に躊躇している状況。特に家電製品の小売業者は負担が大きくなっている。玩具の状況はやや緩和されているが、77%の小売業者が引き続き配達不足を報告している。なお、ドイツ経済は感染拡大でマイナス成長が警戒されている状況

 ポンドドルも買い戻しが強まった。1.3335ドル付近まで上げ幅を広げたが、きょうの上げで21日線を上回って来ており、明日以降の動きが注目される。ポンドドルを買う具体的な材料は特に見当たらないが、年末に向けてのポジション調整が出ているものと見られる。目先は先週の高値1.3375ドルが上値メドとして意識される。

 先週、EUとの貿易交渉を率いてきたフロスト担当相が、ジョンソン政権の方針に対する懸念を表明して辞任した。一部からは、今後のEUとの関係や北アイルランドの扱いを巡る交渉の行方が不透明になったとの見解も出ている。しかし、逆にEUとの関係改善の可能性があるとの見方もあり、ポンドにとっては前向きとの評価も聞かれる。後任のトラス担当相は「北アイルランド議定書をめぐる論争を喫緊に解決し、EUと建設的な関係を築きたい」と述べていた。

 市場からは、ジョンソン政権による議定書第16条の発動リスクが軽減されたとの見方が出ている。第16条は議定書で定めた運営方針をいったん無効化する一方的な措置だが、それを発動した場合、協議を容易にテーブルに戻すことができず、EUとの間の温度差が更に拡大し、ポンド安に繋がる可能性が強いという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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