■要約
早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を直営で展開している。難関中学校や開成高校、早稲田大学及び慶應義塾大学(以下、早慶)附属高校等の合格者数で高い実績を誇る。また、子会社の(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中高校生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営している。また、米国、英国でも日本人子女を対象に進学塾を各1校運営している。2021年9月末現在の校舎数は連結ベースで165校、2022年3月期第2四半期累計の期中平均塾生数で4.2万人を超える。
1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
2022年3月期第2四半期累計(2021年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比14.8%増の13,713百万円、経常利益で同171.6%増の920百万円と期初計画(売上高13,323百万円、経常利益462百万円)を上回る増収増益を達成した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が続くなかで、期中平均の塾生数が前年同期比13.1%増と大きく伸長したことが主因だ。高い合格実績に加えて、他社に先駆けて開始した「双方向Web授業」と「対面授業」のデュアル形式のサービスを提供し続けていることや、ICTを活用したサービス品質の向上に取り組んでいることが、生徒や保護者から高い支持を集めているものと考えられる。2021年7月に東京湾岸エリアに同時開校した3校(早稲田アカデミー2校、早稲田アカデミー個別進学館1校)は、いずれも塾生数が過去最速のペースで増加しており、豊洲校にいたっては早くも2号館の増床を計画しているほどだ。
2. 2022年3月期業績見通し
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比11.5%増の28,370百万円、経常利益で同47.3%増の1,587百万円と期初計画(売上高27,633百万円、経常利益1,219百万円)を8月25日付で上方修正している。期中平均生徒数は前期比11.7%増を計画しているが、9月以降も入塾の問い合わせ件数は前年同月を2割超上回る好調なペースが続いていることから、もう一段の上振れ余地があると弊社では見ている。なお、同社は10月29日付で明光ネットワークジャパン<4668>との資本業務提携の解消と合わせて(株)個別進学館の株式取得(子会社化)を発表している。両社で展開してきた早稲田アカデミー個別進学館事業について、事業の成長加速を図るため一本化を図り、同社で展開していくこととなった。2022年3月期第4四半期以降に業績に反映されることになる。現在、個別進学館ブランドの校舎数はFC校舎含め全体で56校(うち、同社直営29校)、生徒数で約5千名規模となるが、今後首都圏で早期に100校体制を確立し、進学系の個別指導塾でトップブランドを目指す考えだ。
3. 中期経営計画
同社は2021年1月に策定した4ヶ年の中期経営計画における業績目標を同年5月に上方修正したが、その後も塾生数が想定を上回るペースで増加したことにより、2023年3月期の目標値(売上高283.4億円、経常利益14.3億円)を1年前倒しで達成できる見込みとなっている。早稲田アカデミー個別進学館を単独で展開していくことになったこともプラス要因になると見られ、最終年度となる2024年3月期の目標値(売上高290.8億円、経常利益17.1億円)も含めて、適切な時期を見て再修正することとなりそうだ。基本戦略は、同社ならではの教育サービスをICTも活用しながら提供していくことで合格実績戦略を推進し、生徒数を拡大していくことに変わりない。また、オンライン校の新設や海外戦略、英語教育ブランドの展開による新たな収益基盤の構築にも取り組んでいく方針だ。
4. 株主還元策
株主還元については、安定的な配当を基本として業績状況と配当性向も勘案しながら、利益配分を行っていく方針となっている。2022年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の22.0円の配当を予定している。また、株主優待として毎年3月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてQUOカード(1,000円相当又はその2倍)を贈呈しているほか、9月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてグループ各社の授業料等に利用可能な株主優待券(5,000円相当又はその2倍)を贈呈している。株主優待も含めた総投資利回りは3年未満保有株主で8.0%、3年以上継続保有株主で13.8%となる(2021年11月12日終値で計算)。
■Key Points
・2022年3月期第2四半期累計業績は塾生数の好調な伸びにより大幅増益に
・下期も塾生数は好調を持続、2022年3月期業績は保守的な印象で上振れ余地あり
・中期業績目標を1年前倒しで達成するペース。今後適切なタイミングを見て修正発表する見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を直営で展開している。難関中学校や開成高校、早稲田大学及び慶應義塾大学(以下、早慶)附属高校等の合格者数で高い実績を誇る。また、子会社の(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中高校生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営している。また、米国、英国でも日本人子女を対象に進学塾を各1校運営している。2021年9月末現在の校舎数は連結ベースで165校、2022年3月期第2四半期累計の期中平均塾生数で4.2万人を超える。
1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
2022年3月期第2四半期累計(2021年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比14.8%増の13,713百万円、経常利益で同171.6%増の920百万円と期初計画(売上高13,323百万円、経常利益462百万円)を上回る増収増益を達成した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が続くなかで、期中平均の塾生数が前年同期比13.1%増と大きく伸長したことが主因だ。高い合格実績に加えて、他社に先駆けて開始した「双方向Web授業」と「対面授業」のデュアル形式のサービスを提供し続けていることや、ICTを活用したサービス品質の向上に取り組んでいることが、生徒や保護者から高い支持を集めているものと考えられる。2021年7月に東京湾岸エリアに同時開校した3校(早稲田アカデミー2校、早稲田アカデミー個別進学館1校)は、いずれも塾生数が過去最速のペースで増加しており、豊洲校にいたっては早くも2号館の増床を計画しているほどだ。
2. 2022年3月期業績見通し
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比11.5%増の28,370百万円、経常利益で同47.3%増の1,587百万円と期初計画(売上高27,633百万円、経常利益1,219百万円)を8月25日付で上方修正している。期中平均生徒数は前期比11.7%増を計画しているが、9月以降も入塾の問い合わせ件数は前年同月を2割超上回る好調なペースが続いていることから、もう一段の上振れ余地があると弊社では見ている。なお、同社は10月29日付で明光ネットワークジャパン<4668>との資本業務提携の解消と合わせて(株)個別進学館の株式取得(子会社化)を発表している。両社で展開してきた早稲田アカデミー個別進学館事業について、事業の成長加速を図るため一本化を図り、同社で展開していくこととなった。2022年3月期第4四半期以降に業績に反映されることになる。現在、個別進学館ブランドの校舎数はFC校舎含め全体で56校(うち、同社直営29校)、生徒数で約5千名規模となるが、今後首都圏で早期に100校体制を確立し、進学系の個別指導塾でトップブランドを目指す考えだ。
3. 中期経営計画
同社は2021年1月に策定した4ヶ年の中期経営計画における業績目標を同年5月に上方修正したが、その後も塾生数が想定を上回るペースで増加したことにより、2023年3月期の目標値(売上高283.4億円、経常利益14.3億円)を1年前倒しで達成できる見込みとなっている。早稲田アカデミー個別進学館を単独で展開していくことになったこともプラス要因になると見られ、最終年度となる2024年3月期の目標値(売上高290.8億円、経常利益17.1億円)も含めて、適切な時期を見て再修正することとなりそうだ。基本戦略は、同社ならではの教育サービスをICTも活用しながら提供していくことで合格実績戦略を推進し、生徒数を拡大していくことに変わりない。また、オンライン校の新設や海外戦略、英語教育ブランドの展開による新たな収益基盤の構築にも取り組んでいく方針だ。
4. 株主還元策
株主還元については、安定的な配当を基本として業績状況と配当性向も勘案しながら、利益配分を行っていく方針となっている。2022年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の22.0円の配当を予定している。また、株主優待として毎年3月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてQUOカード(1,000円相当又はその2倍)を贈呈しているほか、9月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてグループ各社の授業料等に利用可能な株主優待券(5,000円相当又はその2倍)を贈呈している。株主優待も含めた総投資利回りは3年未満保有株主で8.0%、3年以上継続保有株主で13.8%となる(2021年11月12日終値で計算)。
■Key Points
・2022年3月期第2四半期累計業績は塾生数の好調な伸びにより大幅増益に
・下期も塾生数は好調を持続、2022年3月期業績は保守的な印象で上振れ余地あり
・中期業績目標を1年前倒しで達成するペース。今後適切なタイミングを見て修正発表する見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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