■中長期の成長戦略
1. 中期経営計画の目標と進捗状況
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の策定に際し、日本システムウエア<9739>では、事業環境について以下のような前提を置いた。すなわち、国内景気は海外情勢の影響や消費増税などによる減速懸念が色濃くなっており、また、働き方改革の推進や生産年齢人口の減少を背景に、生産性改善の取り組みが急務となっている。このような環境変化を背景に、顧客企業ではDXへの取り組みが本格化しており、IT業界としては安定的な成長を見込んでいる。一方で、堅調な需要に伴ってエンジニア不足もより一層深刻になっていることから、DX対応と人材リソースの確保を両立していくことが必須であると認識している。
この前提に基づき、今後も景気の波にできるだけ左右されない価値創造型の強い会社への変革を目指している。そのためにまずは売上高500億円規模を目指し、強固な事業基盤を築いていく。また、当面は事業成長を図ることに注力するとともに、人材リソースによらない、より自律的なストック型ビジネスの確立にも取り組む。計画の3年間は、「DX FIRST」をスローガンに、顧客のDX実現に貢献することで同社自体の「価値創造企業への変革」を実行していく方針である。
以上の基本方針及び重点戦略を踏まえ、策定当初のグループ経営目標としては売上高を2019年3月期の361億円から最終年度の2022年3月期には430億円に、同じく営業利益を33億円から40億円に拡大する計画を掲げた。また、DX関連の売上高については、3つの事業セグメントの合計で100億円規模を見込んでいる。売上高全体では3年間で約70億円増加の計画であることから、DX関連事業の拡大が中期経営計画達成のカギを握っていると言える。
2021年3月期は、コロナ禍に伴う景気悪化という計画策定時には想定しなかった事業環境であったものの、2022年3月期第2四半期までの2年半の間は増収増益基調を維持し、営業利益率も上昇傾向にある。この結果、中期経営計画最終年度の2022年3月期の売上高については中期経営計画目標にやや届かないものの420億円を目指し、営業利益についても43億円と中期経営計画目標の40億円を超過、営業利益率も10.2%と中期経営計画目標の9.3%を上回る見通しである。コロナ禍に伴う事業環境の変化が、同社が推進するDX実現を加速させる契機にもなりうると弊社では見ている。
2. 中期経営計画最終年度の重点施策
同社では、中期経営計画の最終年度にあたり、セグメント別の重点施策として以下のように計画している。
(1) ITソリューションセグメント
ITソリューションセグメントのうち、流通業分野では省人化や非接触ニーズに対応したフル/セミセルフレジや電子棚札ソリューションの展開、製造業分野ではPLM(製品ライフサイクル管理)・PDM(製品や設計に関するデータを一元管理する製品情報管理システム)の知見を活かしたERP導入支援やAIによる最適化サービス提供、金融・保険業分野ではレガシーシステムのモダナイゼーションやマイグレーションに対応するほか、官公庁のデジタル・ガバメント案件への参画などを計画する。
このセグメントの事例としては、2020年7月に、日本の顧客のデジタルシフト加速を目指して、米インフォア/インフォアジャパン(株)(以下、インフォア)と業務提携を締結した。この提携に伴い同社は、販売管理から生産管理、サプライチェーンソリューションまでを含んだインフォアの製造業向けERPパッケージ「Infor CloudSuite Industrial (SyteLine)」の提供を開始している。両社は、エンジニアリングチェーンとサプライチェーン双方をカバーすることで、より付加価値の高いソリューションの提供を進める。なお、インフォアの「Infor CloudSuite Industrial」は多言語、多通貨、マルチサイトに対応したグローバルで事業を展開する製造業向けのERPパッケージで、全世界で6,000拠点以上、アジア太平洋地域で1,400拠点以上、日本国内でも200拠点以上の導入実績がある。
そのほか2021年10月には、スーパーストリーム(株)が提供する財務会計・人事給与パッケージ「SuperStream-NX」のソリューションパートナー契約を提携し、提供を開始した。「SuperStream-NX」は、企業の財務会計・人事給与といったバックオフィスの中核業務の最適化を実現する経営基盤ソリューションで、これまでに業種業態、企業規模問わず、累計9,700社以上に導入されている。企業が抱える管理会計情報の管理と分析強化、経理業務から経営管理支援業務への変革、周辺業務システムとのシームレスな連携による業務効率化、最適な人員配置に向けた人事情報管理などの課題を解決するものである。「Infor CloudSuite Industrial」や「SuperStream-NX」の提供開始により、製造業の顧客のほぼすべての業務領域で、同社ソリューションを組み合わせたトータル提案が可能になった。
これらの取り組みによって、2022年3月期の売上高14,200百万円(前期比7.6%増)、営業利益1,400百万円(同7.8%増)、営業利益率9.9%(同0.1ポイント上昇)を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 中期経営計画の目標と進捗状況
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の策定に際し、日本システムウエア<9739>では、事業環境について以下のような前提を置いた。すなわち、国内景気は海外情勢の影響や消費増税などによる減速懸念が色濃くなっており、また、働き方改革の推進や生産年齢人口の減少を背景に、生産性改善の取り組みが急務となっている。このような環境変化を背景に、顧客企業ではDXへの取り組みが本格化しており、IT業界としては安定的な成長を見込んでいる。一方で、堅調な需要に伴ってエンジニア不足もより一層深刻になっていることから、DX対応と人材リソースの確保を両立していくことが必須であると認識している。
この前提に基づき、今後も景気の波にできるだけ左右されない価値創造型の強い会社への変革を目指している。そのためにまずは売上高500億円規模を目指し、強固な事業基盤を築いていく。また、当面は事業成長を図ることに注力するとともに、人材リソースによらない、より自律的なストック型ビジネスの確立にも取り組む。計画の3年間は、「DX FIRST」をスローガンに、顧客のDX実現に貢献することで同社自体の「価値創造企業への変革」を実行していく方針である。
以上の基本方針及び重点戦略を踏まえ、策定当初のグループ経営目標としては売上高を2019年3月期の361億円から最終年度の2022年3月期には430億円に、同じく営業利益を33億円から40億円に拡大する計画を掲げた。また、DX関連の売上高については、3つの事業セグメントの合計で100億円規模を見込んでいる。売上高全体では3年間で約70億円増加の計画であることから、DX関連事業の拡大が中期経営計画達成のカギを握っていると言える。
2021年3月期は、コロナ禍に伴う景気悪化という計画策定時には想定しなかった事業環境であったものの、2022年3月期第2四半期までの2年半の間は増収増益基調を維持し、営業利益率も上昇傾向にある。この結果、中期経営計画最終年度の2022年3月期の売上高については中期経営計画目標にやや届かないものの420億円を目指し、営業利益についても43億円と中期経営計画目標の40億円を超過、営業利益率も10.2%と中期経営計画目標の9.3%を上回る見通しである。コロナ禍に伴う事業環境の変化が、同社が推進するDX実現を加速させる契機にもなりうると弊社では見ている。
2. 中期経営計画最終年度の重点施策
同社では、中期経営計画の最終年度にあたり、セグメント別の重点施策として以下のように計画している。
(1) ITソリューションセグメント
ITソリューションセグメントのうち、流通業分野では省人化や非接触ニーズに対応したフル/セミセルフレジや電子棚札ソリューションの展開、製造業分野ではPLM(製品ライフサイクル管理)・PDM(製品や設計に関するデータを一元管理する製品情報管理システム)の知見を活かしたERP導入支援やAIによる最適化サービス提供、金融・保険業分野ではレガシーシステムのモダナイゼーションやマイグレーションに対応するほか、官公庁のデジタル・ガバメント案件への参画などを計画する。
このセグメントの事例としては、2020年7月に、日本の顧客のデジタルシフト加速を目指して、米インフォア/インフォアジャパン(株)(以下、インフォア)と業務提携を締結した。この提携に伴い同社は、販売管理から生産管理、サプライチェーンソリューションまでを含んだインフォアの製造業向けERPパッケージ「Infor CloudSuite Industrial (SyteLine)」の提供を開始している。両社は、エンジニアリングチェーンとサプライチェーン双方をカバーすることで、より付加価値の高いソリューションの提供を進める。なお、インフォアの「Infor CloudSuite Industrial」は多言語、多通貨、マルチサイトに対応したグローバルで事業を展開する製造業向けのERPパッケージで、全世界で6,000拠点以上、アジア太平洋地域で1,400拠点以上、日本国内でも200拠点以上の導入実績がある。
そのほか2021年10月には、スーパーストリーム(株)が提供する財務会計・人事給与パッケージ「SuperStream-NX」のソリューションパートナー契約を提携し、提供を開始した。「SuperStream-NX」は、企業の財務会計・人事給与といったバックオフィスの中核業務の最適化を実現する経営基盤ソリューションで、これまでに業種業態、企業規模問わず、累計9,700社以上に導入されている。企業が抱える管理会計情報の管理と分析強化、経理業務から経営管理支援業務への変革、周辺業務システムとのシームレスな連携による業務効率化、最適な人員配置に向けた人事情報管理などの課題を解決するものである。「Infor CloudSuite Industrial」や「SuperStream-NX」の提供開始により、製造業の顧客のほぼすべての業務領域で、同社ソリューションを組み合わせたトータル提案が可能になった。
これらの取り組みによって、2022年3月期の売上高14,200百万円(前期比7.6%増)、営業利益1,400百万円(同7.8%増)、営業利益率9.9%(同0.1ポイント上昇)を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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