[資源・新興国通貨9/21~24のポイント&注目通貨]トルコリラ:トルコ中銀会合が重要!?

著者:八代和也
投稿:2021/09/21 11:59

今週のポイント

23日のSARB(南アフリカ中銀)の会合では、政策金利を3.50%に据え置くことが決定されそうです。市場では、SARBが早ければ22年1月に利上げを行うとの観測があります(21年9月と11月の会合は据え置き)。SARBの声明やクガニャゴ総裁の会見で南アフリカのインフレを警戒する姿勢が強く示されれば、利上げ観測が市場で高まり、南アフリカランド/円の支援材料となりそうです。

23日には、TCMB(トルコ中銀)の会合もあります。政策金利は現行の19.00%に据え置かれるとみられるものの、利下げする可能性も排除できません(後述)。

豪ドルやNZドルは、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)の影響を受けやすいとみられます。主要国の株価が軟調に推移するなどしてリスクオフが強まる場合、豪ドルとNZドルは対米ドルや対円で下値を試す可能性があります。

カナダの総選挙が20日に実施されます。世論調査では、自由党(与党)と保守党(最大野党)の支持率は拮抗しており、選挙は接戦になるとみられています。本稿執筆時点で選挙の結果は判明していませんが、どの政党も過半数(170議席)を獲得できない可能性があり、その場合にはカナダの政局の先行き不透明感から、カナダドル/円は軟調に推移するかもしれません。

総選挙の大勢は、早ければ日本時間21日(火)午前中にも判明するとみられます。ただし、新型コロナの影響によって郵便投票も多いと予想されます。郵便投票の集計は現地時間21日に始まるため、接戦になるほど結果が判明するまで時間がかかる可能性もあります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.02000NZドル~1.04000NZドル>

豪ドル/米ドルは先週(9/13- )、20年4月以来の安値をつけました。足もとの豪ドル/NZドル下落の主因として、RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策の方向性の違いが挙げられます。

ロウRBA総裁は14日の講演で、「賃金が伸び悩んでいることを考慮すると、2024年までに利上げする可能性は低い」と改めて表明。「2022年、あるいは2023年初めの利上げを市場が織り込んでいる理由を理解するのは困難だ」と述べ、市場の利上げ観測をけん制しました。

一方、RBNZは年内の利上げ開始を示唆。市場では、RBNZは22年8月までに政策金利(現在0.25%)を1.50%へと引き上げるとの見方が有力です。

RBAとRBNZの金融政策の方向性(RBAは据え置き、RBNZは利上げ)の違いが引き続き市場で意識されて、豪ドル/NZドルには下押し圧力が加わりやすいと予想されます。豪ドル/NZドルは1.02000NZドル(20/4安値)が目先の下値メドです。

今週の注目通貨ペア②:<トルコリラ/円 予想レンジ:12.200円~13.300円>

TCMBの政策金利とトルコのCPI
TCMBの政策金利とトルコのCPI出所:リフィニティブより作成

TCMB(トルコ中銀)は9月23日に政策会合を開きます。トルコリラ/円は会合の結果に影響を受けそうです。

TCMBはアーバル前総裁のもとで3月に利上げを行って以降、8月の前回会合まで政策金利を19.00%へと据え置いています。トルコの8月総合CPI(消費者物価指数)は前年比19.25%と、2019年4月以来の高い伸びを記録。インフレ圧力の強さを考えれば、TCMBは9月23日の会合で政策金利を据え置きそうです。

ただし、利下げする可能性も排除できません。カブジュオールTCMB総裁は9月8日、「(TCMBの)金融政策スタンスはインフレ率を引き下げるのに十分引き締め的だ」と指摘。「コアインフレ率の重要性が増している」と語りました。TCMBはインフレ指標において、これまでは総合CPIを重視してきたものの、重視する指標をコアCPIへとシフトすることを示唆しました。トルコの8月コアCPIは前年比16.76%。コアCPI上昇率は政策金利を下回っており、それに着目すれば、TCMBには利下げ余地があるとの見方も可能です。

TCMBは23日の会合で政策金利を据え置くとの見方が市場では有力なものの、市場は利下げを警戒しています。そのため、TCMBが政策金利を据え置けば、トルコリラ/円は上昇しそうです。ただ、TCMBの声明がタカ派的な姿勢を弱めたと受け取れる内容になれば、政策金利を据え置いたとしてもトルコリラ/円の上昇は長続きしないかもしれません。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想