コロナ禍の消費行動変化で需要増大、「市場調査関連」株を徹底マークせよ! <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2021/08/05 19:30

―企業の事業戦略へ反映させるため消費者ニーズを調査・分析、DX加速で重要度増す―

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、さまざまな分野で消費行動の変化がみられるようになった。リモートワークや外出自粛によって旅行やレジャー、外食などの外出型の消費行動が減少する一方、インターネット通販や食事のデリバリーなどの巣ごもり消費が活発化した。足もとでワクチン接種が進みつつあるが、ウィズコロナの状況に達するまでには、まだ時間を要しそうだ。

 こうした消費行動の変化を捉えるため、消費者のニーズを調査・分析し、事業戦略を立案する動きがこれまで以上に活発化している。これを担う市場調査会社は要注目だ。

●さまざまな調査で企業の意思決定をサポート

 ここでいう市場調査とは、企業のさまざまなマーケティングの課題に対して、有効な意思決定をサポートするための科学的な調査・分析を行うこと。大企業の場合はグループ内に調査・分析の専門部署やグループ企業を抱えているところが少なくないが、多くの企業は外部発注だ。

 市場調査は大きく分けて、同じ調査対象者から同じ項目の情報(データ)を継続的に収集する「パネル調査」と、マーケティング課題に応じて、調査対象者、聴取内容などの調査設計をその都度カスタマイズして行う「アドホック調査」がある。パネル調査が生活者の「行動」を捉えるのに対して、アドホック調査は、生活者の「意識」を捉える目的で行われることが多いとされるが、国内市場調査大手のうちではインテージホールディングス <4326> はどちらかというとパネル調査が得意とされ、一方のアドホック調査は同じようにマクロミル <3978> が強いとされている。

●市場規模は10年間で3割成長

 ビジネスの現場でリサーチ結果に基づいた意思決定が重視されるようになるにつれ、市場調査の市場規模も着実に成長している。市場調査の業界団体である日本マーケティング・リサーチ協会によると、2020年度の日本の市場調査業界の市場規模は2202億円となった。コロナ禍で経済が停滞した影響もあって前年比では3.9%減と直近10年で初めて減少したものの、10年前と比べると市場規模は29.6%の成長となっている。

 今後も、企業が事業活動を行ううえでリサーチ結果を重視する動きは変わらないとみられ、マーケティング戦略で重要度を増す市場調査会社へのニーズは強まることになろう。更に企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進でこの傾向は加速する可能性が高く、関連企業のビジネスチャンスは拡大しそうだ。

●コスト競争力が強みのネオマーケ

 市場調査や分析を手掛ける銘柄の代表格はマクロミル、インテージHの大手2社だが、このほかにも関連銘柄は多い。

 クロス・マーケティンググループ <3675> は、市場調査、ネットリサーチ、海外調査、学術調査を幅広く展開。特にオンラインを中心としたデータ収集などのサービスを提供するデータマーケティングの需要が増加している。また、前期にドゥ・ハウスなどを連結化した効果もあって、デジタル・ITを中心としたプロモーションやEC、マーケティング支援、システム開発・保守・運用などを提供するデジタルマーケティング事業も拡大している。

 GMOリサーチ <3695> [東証M]は、オンラインリサーチを中心に観測調査、定量調査、デスクリサーチなどに幅広く対応しており、国内累計取引企業数は700社以上に及ぶ。また、アジア15の国と地域で4000万人を超える業界最大規模のパネルネットワークを構築しており、今後はアジアリサーチ市場におけるナンバーワン企業を目指すとしている。

 ネオマーケティング <4196> [JQ]は、市場調査から商品開発・販売を支援しており、業務の内製化による利益率の高さとコスト競争力が強み。近年は調査結果を基にした商品開発やPRまで一貫したサポートで事業の裾野を広げており、それに伴い案件ごとの受注単価も上昇している。

●覆面調査や競合店調査会社も

 インパクトホールディングス <6067> [東証M]は、MRソリューションの一環として覆面調査(ミステリーショッパー)をはじめ、出口調査、コンプライアンス調査などのニーズに合わせた調査メニューを提供している。最近ではラウンダー(店舗巡回)などのHRソリューション、デジタルサイネージを提供するIoTソリューションなども堅調に推移し業績に貢献している。

 MS&Consulting <6555> は、業界最大級の覆面調査(ミステリーショッピングリサーチ)や組織サーベイ(従業員満足度調査)を展開している。7月7日に発表した第1四半期(3-5月)連結決算で、営業損益は5200万円の赤字(前年同期2億200万円の赤字)と赤字幅が縮小。ミステリーショッピングリサーチ事業の調査数が増加したという。

 アイドママーケティングコミュニケーション <9466> は、小売業などの競合店調査や競合市場調査を展開している。得意先の流通小売業の経営環境が厳しいことから、同社にとっても苦しい時期にあるが、経済正常化に伴い環境は徐々に上向きそうだ。


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