■今後の見通し
2. コロナ禍における事業環境変化と対応策
葬儀の潜在的な需要は高齢化社会の進展に伴い、2040年頃には現在の1.2倍の規模にまで拡大することが見込まれている。一方で、核家族化の進行や地域コミュニティとの関係希薄化など構造的要因により、葬儀規模の縮小と葬儀単価の下落傾向が続き、市場規模そのものは今後も微増にとどまる見通しだ。とりわけ、2020年春以降のコロナ禍の影響で葬儀単価については想定以上に下落しており、ティア<2485>においてもコロナ禍への対応が必要になってきている。こうしたなか、2021年9月期の重点施策として以下の4点に取り組んでいる。
(1) 中核エリアの件数シェアにこだわった施策
名古屋市内を中心とした中核エリアでのシェア拡大施策として、価格訴求力を高めたプロモーション施策を2020年6月以降実施しており、葬儀件数増加という成果※につながっていることから、今後も継続して取り組んでいく。テレビCMと同時期に電車の中吊り広告や折込チラシなどに出稿し、認知度の向上を図るとともに、テレビCMとWebを連動したプロモーションの実施によって、問い合わせ件数の増加を図り、コンタクトセンターのオペレーション強化によって、成約率のさらなる向上を図っていく。
※2020年10月以降、中核エリアにおける葬儀件数は前年同月比で2ケタ増が続いている。
こうした取り組みにより、名古屋市内における斎場シェアについて着実に上昇しており、現在はトップになる月も出ている。競合の事業者もWebプロモーションを強化しており、今後もシェア獲得競争は続くと予想されるが、従来同様、高品質なサービスを提供していくことで、さらなるシェアの拡大を図っていく。
(2) 葬儀単価低下の対応策
葬儀単価低下への対応策としては、祭壇セットプランの見直しやプレミアムプランの企画販売、テイクアウト料理の充実、取扱いアイテムの拡充などに加えて、葬儀アドバイザーの増員(10名から12名に増員済み)、エンバーミング※の取り扱い拡充などに取り組んでいく方針となっている。葬儀アドバイザーについては、11名が愛知県内をカバーし、1名が関西エリアをカバーしている。葬儀に関する深い知見を持っており、遺族に対して最適な葬儀プランを提案することが可能なスタッフとなる。愛知県でのカバー率は9割に達しており、今後、葬儀件数の拡大に応じて増員していくことにしている。また、エンバーミングについては子会社のティアサービスが2019年11月に名古屋にエンバーミングセンターを開設したのに続き、2021年春には関西エリアでもセンターを開設、直営会館やFC店向けにサービスを開始している。ただ、取扱い件数は少なく業績に与える影響は軽微と見られる。
※エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで10日間から2週間程度、腐敗させることなく保存を可能にする技法のこと。遺体から感染症が蔓延することを防止する目的もある。エンバーマーと呼ばれる資格が必要で、専用施設にて処置を行う必要があるため、葬儀費用とは別に15~25万円の費用が掛かる。
(3) 子会社ティアサービスの外部販売の拡大
湯灌業務やエンバーミングを行うティアサービスにおいて、人員体制を強化しており、内製化をさらに推進していくとともに、FC店向けへのサービス提供も積極的に展開していく方針を打ち出している。具体的には、2020年11月より関西エリアのFC店向けに湯灌業務を開始し、2021年4月にはTS関西事業所を開設した。そのほか、2020年9月期より石材部を立ち上げ、一部の地域で墓石販売も開始した。2021年10月より営業部員を2名増員し、名古屋市内を中心に葬儀後のアフターサービスの充実を図る方針となっている。
ただ、湯灌業務のFC店向けサービスや墓石販売については、当初の見込みよりもやや苦戦しているもようだ。湯灌業務については既存の取引業者があるため、代替に苦戦している状況にある。石材販売についてもまだ立ち上げて間もないため、ある程度数字を積み上げていくまでには時間がかかる見通しだ。
(4) 業務内容・固定費の見直しによる経費削減
2021年9月期においては業績悪化を受けて、業務内容や固定費を一から見直し、年間で234百万円の経費削減効果を見込んでいる。具体的には、既存会館における賃料の減額交渉や駐車場解約などにより賃料で27百万円を削減するほか、請負業務の廃止や業務内容の見直し等により人件費・支払手数料を111百万円削減する。また、THRCの稼働により新卒社員の人材育成システムが強化されたことで、中途社員の採用抑制が可能となり、採用費で47百万円の減額を見込んでいる。広告宣伝費については電柱広告や野立看板、屋外広告を廃止することで8百万円の圧縮効果を見込む。そのほか、広報活動費の減額や会議体系の見直し、「ティアの会」事務費の見直し等により39百万円の経費削減に取り組んでいく。
こうした計画に対して、第2四半期までの削減実績は179百万円と順調に進んでいる。このため、通期の削減額については当初計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、賃料の削減額が上期で通期計画を超過しているが、期間限定の減額も含まれているため、下期も同額分削減できるとは限らない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. コロナ禍における事業環境変化と対応策
葬儀の潜在的な需要は高齢化社会の進展に伴い、2040年頃には現在の1.2倍の規模にまで拡大することが見込まれている。一方で、核家族化の進行や地域コミュニティとの関係希薄化など構造的要因により、葬儀規模の縮小と葬儀単価の下落傾向が続き、市場規模そのものは今後も微増にとどまる見通しだ。とりわけ、2020年春以降のコロナ禍の影響で葬儀単価については想定以上に下落しており、ティア<2485>においてもコロナ禍への対応が必要になってきている。こうしたなか、2021年9月期の重点施策として以下の4点に取り組んでいる。
(1) 中核エリアの件数シェアにこだわった施策
名古屋市内を中心とした中核エリアでのシェア拡大施策として、価格訴求力を高めたプロモーション施策を2020年6月以降実施しており、葬儀件数増加という成果※につながっていることから、今後も継続して取り組んでいく。テレビCMと同時期に電車の中吊り広告や折込チラシなどに出稿し、認知度の向上を図るとともに、テレビCMとWebを連動したプロモーションの実施によって、問い合わせ件数の増加を図り、コンタクトセンターのオペレーション強化によって、成約率のさらなる向上を図っていく。
※2020年10月以降、中核エリアにおける葬儀件数は前年同月比で2ケタ増が続いている。
こうした取り組みにより、名古屋市内における斎場シェアについて着実に上昇しており、現在はトップになる月も出ている。競合の事業者もWebプロモーションを強化しており、今後もシェア獲得競争は続くと予想されるが、従来同様、高品質なサービスを提供していくことで、さらなるシェアの拡大を図っていく。
(2) 葬儀単価低下の対応策
葬儀単価低下への対応策としては、祭壇セットプランの見直しやプレミアムプランの企画販売、テイクアウト料理の充実、取扱いアイテムの拡充などに加えて、葬儀アドバイザーの増員(10名から12名に増員済み)、エンバーミング※の取り扱い拡充などに取り組んでいく方針となっている。葬儀アドバイザーについては、11名が愛知県内をカバーし、1名が関西エリアをカバーしている。葬儀に関する深い知見を持っており、遺族に対して最適な葬儀プランを提案することが可能なスタッフとなる。愛知県でのカバー率は9割に達しており、今後、葬儀件数の拡大に応じて増員していくことにしている。また、エンバーミングについては子会社のティアサービスが2019年11月に名古屋にエンバーミングセンターを開設したのに続き、2021年春には関西エリアでもセンターを開設、直営会館やFC店向けにサービスを開始している。ただ、取扱い件数は少なく業績に与える影響は軽微と見られる。
※エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで10日間から2週間程度、腐敗させることなく保存を可能にする技法のこと。遺体から感染症が蔓延することを防止する目的もある。エンバーマーと呼ばれる資格が必要で、専用施設にて処置を行う必要があるため、葬儀費用とは別に15~25万円の費用が掛かる。
(3) 子会社ティアサービスの外部販売の拡大
湯灌業務やエンバーミングを行うティアサービスにおいて、人員体制を強化しており、内製化をさらに推進していくとともに、FC店向けへのサービス提供も積極的に展開していく方針を打ち出している。具体的には、2020年11月より関西エリアのFC店向けに湯灌業務を開始し、2021年4月にはTS関西事業所を開設した。そのほか、2020年9月期より石材部を立ち上げ、一部の地域で墓石販売も開始した。2021年10月より営業部員を2名増員し、名古屋市内を中心に葬儀後のアフターサービスの充実を図る方針となっている。
ただ、湯灌業務のFC店向けサービスや墓石販売については、当初の見込みよりもやや苦戦しているもようだ。湯灌業務については既存の取引業者があるため、代替に苦戦している状況にある。石材販売についてもまだ立ち上げて間もないため、ある程度数字を積み上げていくまでには時間がかかる見通しだ。
(4) 業務内容・固定費の見直しによる経費削減
2021年9月期においては業績悪化を受けて、業務内容や固定費を一から見直し、年間で234百万円の経費削減効果を見込んでいる。具体的には、既存会館における賃料の減額交渉や駐車場解約などにより賃料で27百万円を削減するほか、請負業務の廃止や業務内容の見直し等により人件費・支払手数料を111百万円削減する。また、THRCの稼働により新卒社員の人材育成システムが強化されたことで、中途社員の採用抑制が可能となり、採用費で47百万円の減額を見込んでいる。広告宣伝費については電柱広告や野立看板、屋外広告を廃止することで8百万円の圧縮効果を見込む。そのほか、広報活動費の減額や会議体系の見直し、「ティアの会」事務費の見直し等により39百万円の経費削減に取り組んでいく。
こうした計画に対して、第2四半期までの削減実績は179百万円と順調に進んでいる。このため、通期の削減額については当初計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、賃料の削減額が上期で通期計画を超過しているが、期間限定の減額も含まれているため、下期も同額分削減できるとは限らない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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