[資源・新興国通貨5/17~21のポイント&注目通貨]豪雇用統計に注目、豪ドルが反応?

著者:八代和也
投稿:2021/05/17 14:28

今週のポイント

先週(5/10- )、カナダドル/円は2018年1月以来、メキシコペソ/円は20年2月以来の高値を記録しました。

BOC(カナダ中銀)やBOM(メキシコ中銀)の金融政策スタンスが、カナダドル/円やメキシコペソ/円の支援材料となっており、両通貨ペアは引き続き堅調に推移する可能性があります。BOCは4月21日の会合で主要国中銀の中でいち早く量的緩和の縮小へと動いたうえ、早ければ22年下半期の利上げを示唆。BOMは5月13日の声明で次の一手が利上げになる可能性を示しました。

豪ドル/米ドルや豪ドル/円は、外部要因(主要国株価や米長期金利)に影響を受けやすい地合いが続いてきたものの、今週は賃金コスト指数や雇用統計も材料になりそうです。

20日のSARB(南アフリカ中銀)の会合では、政策金利の3.50%への据え置きが決定されそうです。声明やクガニャゴ総裁の会見で、SARBの金融政策の先行きについて新たなヒントが示されるかに注目。ヒントが示されれば、南アフリカランドが反応しそうです。政策金利は当面、据え置かれるとの見方が市場では有力です。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/円 予想レンジ:82.000円~86.000円>

今週(5/17- )は豪州の1-3月期の賃金コスト指数(19日)、4月雇用統計(20日)が発表されます。RBA(豪中銀)は金融政策運営において雇用情勢や賃金動向を注視する姿勢を示しています。そのため、雇用統計や賃金コスト指数は、豪ドルにとって特に重要な経済指標です。

本稿執筆時点の市場予想は、賃金コスト指数(賃金上昇率)が前年比1.4%、失業率は5.6%。それらが堅調な結果になれば、RBAの債券購入プログラムの規模縮小への期待が市場で浮上する可能性があります。その場合、豪ドル/円は堅調に推移しそうです。債券購入プログラム第2弾(1000億豪ドル規模)は9月までの予定。RBAは7月6日の政策会合で、9月以降の債券購入について検討します。

米国など主要国の株価がこのところ不安定な値動きとなっています。主要国株価の動向には注意が必要かもしれません。株価が下落を続ける場合、豪ドル/円は上値が重くなりそうです。

豪ドル/円の目先のメドとして、下値が81.948円(2/26安値)、上値は85.747円(5/10高値)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア➁:<メキシコペソ/円 予想レンジ:5.300円~5.600円>

BOM(メキシコ中銀)は13日の会合で政策金利を全会一致で4.00%に据え置きました。

声明では、最近のインフレ加速について一時的な現象との見方を示す一方、新たに「インフレのリスクバランスは上向きに傾いている」との文言を追加。次の一手が利上げになる可能性を示しました。

BOMは2019年8月に利下げを開始し、今年2月までに合計4.25%政策金利を引き下げました(今年3月と5月は据え置き)。今回の声明は、利下げ方向だったBOMの金融政策の変化を示唆していると言えそうです。

メキシコペソ/円は14日に昨年3月以来の高値を更新しました。BOMの金融政策見通しに支えられて引き続き堅調に推移するとみられ、5.592円(2020/3高値)に近づく可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想