米国事業の好調を背景に上放れへ
3月23日に付けた実質最高値2485円を上抜け。大和証券が目標株価を1900円から3000円に引き上げたことが背景だ。高値圏での約3週に及んだ小幅保ち合い相場を上放れてきた。
【米国売上比率の寄与】
大きな手掛かり材料は2つ。まず、前12月期中に3度に及んだ(8月12日、11月12日、1月29日)業績見通しで、大幅上方修正の原動力となった米国事業の好調ぶりだ。
前12月期(9カ月の変則決算)のセグメント情報を見ると、「木材建材事業」「住宅・建築事業」「海外住宅・不動産事業」「資源環境事業」の4セグメントのうちで、海外住宅不動産事業が売上高の40.8%、セグメント利益の76.9%を占めている。
さらに、海外住宅・不動産事業の内訳を会社側に聞いてみたところ、販売戸数では、米国7332戸、豪州2117戸など計9549戸。売上高では、米国2935億円、豪州600億円、その他(アジア等)6億円。経常利益でも、米国432億円、豪州29億円、その他9億円。要するに米国事業の貢献度が断トツということになる。
SMBC日興証券は4月6日付で、ニューヨーク連銀の調査結果を分析したレポート「米国経済 : コロナ禍後に住宅保有選好が強まる」を発行している。それによると…。
「NY連銀の調査によると、コロナ禍を経た後に米国民の住宅保有選好が強まっている模様 だ。2020年後半からの住宅投資の急回復には、金利低下や価格上昇期待が寄与したと考えら れるが、加えて、住宅保有に対する選考の強まりも影響した可能性がある。足元で住宅金利 が上昇へ転じ、モーゲージ費用の観点から住宅購入に多少の逆風が吹いている。しかし、 ベースにある米国民の住宅保有選好は揺らがないだろう」―とのこと。
となると、今12月期も収益好調が期待できそう。PER9.3倍、PBR1.23倍と未だ評価不足。
【排出権ビジネスの思惑】
そしてもう1つの手掛かりが「森林」。なにせ社名からして「林業」と付く。住友家の別子銅山開坑で、銅山備林の経営を開始した1691年創業から今年で330年となる由緒正しい企業。野村証券の3月10日付レポートによると「日本の国土の800分の1にあたる4.8万haの山林を管理・保有している他、海外でも23.1万haの山林を管理・保有している。インドネシアで16万ha、ニュージーランドで4万ha、パプアニューギニアで3万haなどである」とのこと。
こちらも会社側に聞いてみたが、排出権ビジネスについては「政府がカーボンプライシングについての方針を示してからということになるが、社内的には、森林資源の活用について様々な検討を行っている」としており、やる気満々のようにも感じられた。
実際の収益貢献がどれだけになるのかは未知数だとしても、旬のネタであるとともに、ESG投資資金を呼び込むに十分のインパクトある手掛かり材料と言えるだろう。
【多彩な切り口】
「米国住宅市場盛況の恩恵」「実際の収益好調」「指標面での割安感」「話題性のある排出権ビジネスの将来性」「ESG資金呼び込みの可能性」「短期・中期・長期のチャート妙味」など、どこを切っても有望株と言えそう。
第1四半期(1~3月)決算発表は4月30日に予定されている。
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