■要約
1. 2020年8月期(実績)
ナガイレーベン<7447>は国内シェア60%超を持つ医療白衣のトップメーカーであり、高い利益率と堅固な財務内容を誇っている。発表された2020年8月期の連結業績は、売上高が前期比1.7%増の17,066百万円、営業利益が同0.4%増の4,937百万円、経常利益が同0.8%増の5,031百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.8%増の3,474百万円となった。売上高は2020年1月までは比較的順調であったが、2月以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で医療現場が混乱し、さらに緊急事態宣言等により営業活動を自粛したことから商戦期である第3四半期の売上高は大きく低迷した。第4四半期に入り厚生労働省向けにアイソレーションガウンの特需(945百万円)があったものの、それまでの落ち込みを十分にカバーするには至らず、結果的に通期の売上高はほぼ前期並みにとどまった。利益面では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一時的に国内生産が増加し売上総利益率が低下したが、販管費を抑えたことから営業利益もほぼ前期並みを確保した。厳しい環境の中でも増益を維持した点は評価できるだろう。
2. 2021年8月期(予想)
2021年8月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%増の17,300百万円、営業利益が同2.7%増の5,068百万円、経常利益が同2.2%増の5,140百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.3%増の3,518百万円を見込んでいる。依然として医療機関の混乱は続いており市場環境は厳しいと予想されるが、同社製品は消耗品であることからいずれは需要が出てくると思われ、これらの期ずれ案件を着実に取り込むことで増収を目指している。利益面では、相対的に利益率の低い厚生労働省向けの売上高が低下すること、海外生産が回復すること、国内での加工賃や原材料等の値上げが一巡したことなどから利益率は改善する見込みであり、営業増益を見込んでいる。
3. 中期経営計画
同社はこれまで、終了した決算期の実績をもとにしてその後3ヶ年の中期経営計画を発表してきた。しかし現在は、依然として各医療機関の混乱が続いていることから、現時点で3年先の予想を算定することは困難であると判断し、今回は中期経営計画の数値発表を見送った。今後、市場環境等の見通しが改善し合理的な算定を行えるようになった時点で改めて発表する予定だ。一方で、株主還元の姿勢は変わらず、2020年8月期は年間60円の配当、2021年8月期も同額の配当を予定しており、自己株式の取得も前向きに検討していく計画だ。このような株主還元に対する同社の一貫した姿勢は評価に値するだろう。
■Key Points
・2020年8月期は新型コロナウイルス感染症拡大による医療現場の混乱により納入遅れが発生したものの、厚生労働省向け特需もあり増収増益を確保
・2021年8月期は期ずれ案件を取り込むことで2.7%の営業増益を目指す。中期経営計画の数値目標の発表は一旦見送り
・2021年8月期も年間配当60円を予定、自己株式の取得も含めて株主還元には積極的
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2020年8月期(実績)
ナガイレーベン<7447>は国内シェア60%超を持つ医療白衣のトップメーカーであり、高い利益率と堅固な財務内容を誇っている。発表された2020年8月期の連結業績は、売上高が前期比1.7%増の17,066百万円、営業利益が同0.4%増の4,937百万円、経常利益が同0.8%増の5,031百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.8%増の3,474百万円となった。売上高は2020年1月までは比較的順調であったが、2月以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で医療現場が混乱し、さらに緊急事態宣言等により営業活動を自粛したことから商戦期である第3四半期の売上高は大きく低迷した。第4四半期に入り厚生労働省向けにアイソレーションガウンの特需(945百万円)があったものの、それまでの落ち込みを十分にカバーするには至らず、結果的に通期の売上高はほぼ前期並みにとどまった。利益面では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一時的に国内生産が増加し売上総利益率が低下したが、販管費を抑えたことから営業利益もほぼ前期並みを確保した。厳しい環境の中でも増益を維持した点は評価できるだろう。
2. 2021年8月期(予想)
2021年8月期の連結業績は、売上高が前期比1.4%増の17,300百万円、営業利益が同2.7%増の5,068百万円、経常利益が同2.2%増の5,140百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.3%増の3,518百万円を見込んでいる。依然として医療機関の混乱は続いており市場環境は厳しいと予想されるが、同社製品は消耗品であることからいずれは需要が出てくると思われ、これらの期ずれ案件を着実に取り込むことで増収を目指している。利益面では、相対的に利益率の低い厚生労働省向けの売上高が低下すること、海外生産が回復すること、国内での加工賃や原材料等の値上げが一巡したことなどから利益率は改善する見込みであり、営業増益を見込んでいる。
3. 中期経営計画
同社はこれまで、終了した決算期の実績をもとにしてその後3ヶ年の中期経営計画を発表してきた。しかし現在は、依然として各医療機関の混乱が続いていることから、現時点で3年先の予想を算定することは困難であると判断し、今回は中期経営計画の数値発表を見送った。今後、市場環境等の見通しが改善し合理的な算定を行えるようになった時点で改めて発表する予定だ。一方で、株主還元の姿勢は変わらず、2020年8月期は年間60円の配当、2021年8月期も同額の配当を予定しており、自己株式の取得も前向きに検討していく計画だ。このような株主還元に対する同社の一貫した姿勢は評価に値するだろう。
■Key Points
・2020年8月期は新型コロナウイルス感染症拡大による医療現場の混乱により納入遅れが発生したものの、厚生労働省向け特需もあり増収増益を確保
・2021年8月期は期ずれ案件を取り込むことで2.7%の営業増益を目指す。中期経営計画の数値目標の発表は一旦見送り
・2021年8月期も年間配当60円を予定、自己株式の取得も含めて株主還元には積極的
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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