■要約
サカタインクス<4633>は世界3位の大手印刷インキメーカーである。印刷インキ事業をコアとして、1896年の創業以来、120年以上の歴史の中で培われた環境配慮型高機能・高付加価値製品の開発力・品ぞろえ・高シェア、及び製品の高い信頼性・品質力を強みとしている。さらにビジネステーマである「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」に向けて、インキの開発・生産で培ってきた基盤技術を機能性材料事業に応用展開している。またインキ領域にとどまらず、新規領域への展開と新たな事業の柱の育成も目指している。
1. パッケージ印刷用インキを主力にグローバル展開
パッケージ印刷用インキ(段ボールや紙器など紙パッケージ印刷用、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用、飲料缶など金属缶印刷用)が主力である。また、日本及び海外合わせて18の国・地域に印刷用インキ製造・販売拠点をグローバル展開している。グローバル展開の加速や環境配慮型高機能・高付加価値製品の拡販によって、市場拡大・開拓余地の大きいアジア及び米州が収益柱に成長している。
2. 2020年12月期第2四半期累計はコロナ禍の影響を受けたが営業増益
2020年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比4.4%減の79,472百万円、営業利益が同4.3%増の3,181百万円、経常利益が同30.5%減の2,583百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同37.2%減の1,497百万円だった。米州と欧州でパッケージ用インキの拡販が進展したが、日本、アジア、機能性材料が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた。このため、全体として減収だった。営業利益はパッケージ関連の販売数量の増加に加え、コスト削減効果で減収影響を吸収し、小幅ながら増益を確保した。経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益は、為替差損の計上及び持分法投資損益の悪化により、大幅減益となった。
3. 2020年12月期通期予想を下方修正したが営業増益を確保見込み
同社は2020年12月期通期の連結業績予想を下方修正し、売上高が前期比3.3%減の161,800百万円、営業利益が同12.4%増の7,000百万円、経常利益が同8.5%減の6,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.1%増の4,200百万円としている。コロナ禍の影響で第2四半期累計の売上高が計画を下回り、さらに営業外損益の悪化で経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益が大幅減益となったことを考慮し、通期予想を下方修正した。ただし、米州と欧州におけるパッケージ用インキの拡販や製品ミックス改善、原材料のグローバル共同購買や原油市況下落による原材料価格の低減効果などで、営業利益は増益を確保する見込みだ。
4. 環境配慮型製品、グローバル展開、新規領域で新たな成長ステージを期待
印刷用インキ市場では世界的に環境配慮型高機能製品へシフトする流れが強まり、その市場拡大・開拓余地は大きい。同社は環境配慮型高機能・高付加価値製品の開発・品ぞろえ・高シェアが強みであり、先行してグローバル展開した実績や各国の地域特性に合わせて製品投入するノウハウも豊富だ。環境配慮型高機能製品の拡販とグローバル展開の加速をベースとする中期事業戦略に大きな変化はないだろう。さらに新規領域への展開も寄与して、新たな成長ステージに向かうことを期待したい。
■Key Points
・世界3位の大手印刷インキメーカーでパッケージ印刷用インキが主力
・2020年12月期通期は下方修正したが営業増益確保の見込み
・環境配慮型製品、グローバル展開、新規領域で新たな成長ステージを期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
サカタインクス<4633>は世界3位の大手印刷インキメーカーである。印刷インキ事業をコアとして、1896年の創業以来、120年以上の歴史の中で培われた環境配慮型高機能・高付加価値製品の開発力・品ぞろえ・高シェア、及び製品の高い信頼性・品質力を強みとしている。さらにビジネステーマである「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」に向けて、インキの開発・生産で培ってきた基盤技術を機能性材料事業に応用展開している。またインキ領域にとどまらず、新規領域への展開と新たな事業の柱の育成も目指している。
1. パッケージ印刷用インキを主力にグローバル展開
パッケージ印刷用インキ(段ボールや紙器など紙パッケージ印刷用、食品・化粧品・トイレタリー製品・日用品などフィルムパッケージ印刷用、飲料缶など金属缶印刷用)が主力である。また、日本及び海外合わせて18の国・地域に印刷用インキ製造・販売拠点をグローバル展開している。グローバル展開の加速や環境配慮型高機能・高付加価値製品の拡販によって、市場拡大・開拓余地の大きいアジア及び米州が収益柱に成長している。
2. 2020年12月期第2四半期累計はコロナ禍の影響を受けたが営業増益
2020年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比4.4%減の79,472百万円、営業利益が同4.3%増の3,181百万円、経常利益が同30.5%減の2,583百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同37.2%減の1,497百万円だった。米州と欧州でパッケージ用インキの拡販が進展したが、日本、アジア、機能性材料が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた。このため、全体として減収だった。営業利益はパッケージ関連の販売数量の増加に加え、コスト削減効果で減収影響を吸収し、小幅ながら増益を確保した。経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益は、為替差損の計上及び持分法投資損益の悪化により、大幅減益となった。
3. 2020年12月期通期予想を下方修正したが営業増益を確保見込み
同社は2020年12月期通期の連結業績予想を下方修正し、売上高が前期比3.3%減の161,800百万円、営業利益が同12.4%増の7,000百万円、経常利益が同8.5%減の6,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.1%増の4,200百万円としている。コロナ禍の影響で第2四半期累計の売上高が計画を下回り、さらに営業外損益の悪化で経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益が大幅減益となったことを考慮し、通期予想を下方修正した。ただし、米州と欧州におけるパッケージ用インキの拡販や製品ミックス改善、原材料のグローバル共同購買や原油市況下落による原材料価格の低減効果などで、営業利益は増益を確保する見込みだ。
4. 環境配慮型製品、グローバル展開、新規領域で新たな成長ステージを期待
印刷用インキ市場では世界的に環境配慮型高機能製品へシフトする流れが強まり、その市場拡大・開拓余地は大きい。同社は環境配慮型高機能・高付加価値製品の開発・品ぞろえ・高シェアが強みであり、先行してグローバル展開した実績や各国の地域特性に合わせて製品投入するノウハウも豊富だ。環境配慮型高機能製品の拡販とグローバル展開の加速をベースとする中期事業戦略に大きな変化はないだろう。さらに新規領域への展開も寄与して、新たな成長ステージに向かうことを期待したい。
■Key Points
・世界3位の大手印刷インキメーカーでパッケージ印刷用インキが主力
・2020年12月期通期は下方修正したが営業増益確保の見込み
・環境配慮型製品、グローバル展開、新規領域で新たな成長ステージを期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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