住友金属鉱山(5713):日本証券新聞 伊藤 明

著者:伊藤明
投稿:2020/08/04 08:59

多方面でポジティブ材料を内包

住友金属鉱山 日足一目均衡表
住友金属鉱山 日足一目均衡表出所:日本証券新聞Digitalテクニカルチャート

【金相場の上昇メリット】
8月は季節的にリスクオフムードが高まりやすく、足元のドル安とともに金相場には追い風。5月の経営戦略進捗状況説明会資料によると、100%保有する国内の菱刈鉱山だけで可採金量は163トン。1グラム当たり7196円で計算すると1兆1729億円。
時価総額は31日で9114億円強。資産価格から見て超割安。

【「バイデン」関連の側面】
米国では大統領選で、ジョー・バイデン元副大統領の存在感が大きくなってきた。「バイデン関連」となるのは地球温暖化対応などの環境関連株と見られている。住友金属鉱山はリチウムイオン電池の正極材で高い世界シェアを握る。ハイブリッド車向け採用が進んでいるが、電気自動車向けにも期待。この分野はもともと成長戦略として強化中で、2024年までに月1000トン供給体制を目指している。

【決算期待】
決算発表は8月7日。気掛かりではあるが、期待の持てる材料も。銅や金で世界最大級の資源メジャーである米国のフリーポート・マクモランは一足早く、7月23日に4~6月期決算を発表済み。そのなかで、住友金属鉱山も出資している海外鉱山、セルベロデの損益が黒字化し、モレンシー鉱山の採算も大きく改善していることが明らかとなった。野村証券は同社の業績にポジティブとコメントしている。

【レーティング】
7月27日付ではメリルリンチ日本証券も、目標株価を3650円から3850円に引き上げ。これを受け28日には、1月以来の水準となる高値3439円まで買われたものの、先週末は全体相場の流れに押され微調整を挟んでいる。


リスクオフムードに傾いて金が買われれば産金株として注目。今後、リスクオンに振れれば、銅市況上昇の収益メリットも大。バイデン絡みの環境関連ビジネスとしては電池事業が先行き有望で、決算自体にも期待。高値形成から一呼吸入れたここは前向きに仕込み場と考えられる。

伊藤明
株式会社日本証券新聞社 テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想

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