■ティア<2485>の事業概要
1. 事業内容
名古屋を地盤とした葬儀会館「ティア」の運営を目的に、1997年に設立。「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して、「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱してきた。葬儀業が究極のサービス業であるとの認識のもと「徹底した人財教育によるサービスの向上」により顧客からの支持を集め、成長を続けている。
事業内容は葬儀・法要の請負、葬儀施行後のアフターフォロー、葬儀会館「ティア」の運営とFC事業からなる。FC事業については出店エリアの市場調査から会館企画、従業員教育、経営指導、葬儀で使用する物品類の販売に至るまでトータルサポートを行っている。同事業の売上高の中には、加盟時に支払う加盟金(2百万円)や出店申込金(3百万円)のほか、ロイヤリティ収入(売上高の3%)、物品売上、社員に対する教育サービス料などが含まれている。なお、FC加盟に関しては、異業種で同一商圏内に複数出店が可能な事業者であることを条件としており、同業者の加盟は基本的に認めていない。これは、葬儀事業への取り組み姿勢が根本的に異なっており、固定観念が既に形成されている同業者の従業員を再教育するのは非効率と考えているためだ。
事業セグメント別の構成比で見ると、直営店舗で行う葬祭事業が売上高、セグメント利益ともに95%以上を占めており、FC事業が収益に与える影響はまだ小さいが、将来的に全国展開を進めていく際にはFC方式での展開が効率的と考えており、FC事業の構成比も上昇していくものと予想される。
なお、同社は2017年5月に愛知県内で湯灌サービス及びメイク納棺の業務を行う(有)愛共(現 (株)ティアサービス)を子会社化し、2017年9月期第3四半期より連結決算を開始している。愛共の顧客先は同社のみとなるため売上高の影響はないが、関連業務の内製化により売上原価率の改善要因となる。また、2019年9月期からは生花事業の内製化も名古屋市内でスタートしている。
名古屋での斎場利用シェアは25.2%まで上昇、トップシェアも射程圏内に入る
2. 店舗数の推移
2020年9月期第2四半期末の店舗数は、直営店が70店舗(うち、葬儀相談サロン10店舗)、FC店が49店舗(うち、サロン1店舗)の合計119店舗と年々拡大している。また、2020年5月7日現在の地域別店舗数で見ると、直営店は名古屋市内で35店舗、名古屋市内を除く愛知県で22店舗、大阪府4店舗(うち、サロン1店舗)、埼玉県2店舗、東京都はサロンのみの展開で9店舗となっている。また、FC店では大阪府14店舗(うち、サロン1店舗)、岐阜県16店舗、愛知県13店舗、三重県3店舗、神奈川県2店舗、和歌山県、茨城県で各1店舗を展開している。FC加盟社数は10社で、南海電気鉄道<9044>の子会社である南海グリーフサポート(株)が15店舗(うち、サロン1店舗)と最大のFC加盟企業となっている。
地盤となる名古屋市内の店舗数は35店舗と直営の約5割を占めている。2019年9月期に出店が加速しているが、これは家族葬の需要増加に対応するため、従来よりも規模の小さい家族葬専用ホールを集中して出店していることが背景にある。従来の葬儀会館は敷地面積で500坪前後が必要で、条件(交通の利便性等)にかなう立地場所の探索が困難で思うように出店が進まなかったが、200坪前後の敷地面積で出店可能な家族葬専用ホールであれば、候補地も見つかりやすい。従来、コンビニエンスストアだった場所で出店するケースも出てきている。なお、名古屋市内の斎場利用シェアは店舗数の増加とともに年々上昇しており、2020年9月期第2四半期累計期間では25.2%まで上昇した。トップは互助会グループであるが、その差は2ポイント程度まで縮小しており、トップシェアの獲得も射程圏内に入ったと見ている。
将来の見込み顧客となる個人会員が年間3万件を超えるペースで拡大提携団体契約数も増加傾向
3. 顧客内訳と会員数の推移
同社は直営の葬儀会館のほか自宅、寺院、公民館などを会場とした葬儀の施行全般を請け負っている。また、葬儀終了後のアフターフォローとして、忌明け法要や年忌法要の請負なども行っている。2020年9月期第2四半期累計期間における葬儀売上高の顧客別構成比を見ると、「ティアの会」に加入する個人会員が68.0%、提携団体が27.1%、フリー客が3.3%、その他が1.7%となっており、「ティアの会」会員及び提携団体で90%以上を占めている。
「ティアの会」は、入会金を支払うことにより、会員特別価格で葬儀や葬儀後の法要、香典返しなどを利用できるほか、全国2万ヶ所以上の施設(ホテル、飲食店、レジャー施設等)において利用可能な「会員優待サービス」や「生き方応援ポイント」「保険サービス」「ラストメッセンジャーサービス」といった各種特典や割引サービスを受けられる同社独自の会員システムとなる。会員数は2020年9月第2四半期末で397,214人と前期末比で16,407人増となり、年間で3万人を超えるペースで会員を獲得している。会員は将来の見込み顧客となるため、今後の収益動向を示す重要な先行指標となる。また、提携団体とは、「ティアの会」と同等のサービスが受けられる法人・施設との団体契約を指す。提携団体数についても2020年9月期第2四半期末で980団体と、増加傾向が続いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 事業内容
名古屋を地盤とした葬儀会館「ティア」の運営を目的に、1997年に設立。「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して、「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱してきた。葬儀業が究極のサービス業であるとの認識のもと「徹底した人財教育によるサービスの向上」により顧客からの支持を集め、成長を続けている。
事業内容は葬儀・法要の請負、葬儀施行後のアフターフォロー、葬儀会館「ティア」の運営とFC事業からなる。FC事業については出店エリアの市場調査から会館企画、従業員教育、経営指導、葬儀で使用する物品類の販売に至るまでトータルサポートを行っている。同事業の売上高の中には、加盟時に支払う加盟金(2百万円)や出店申込金(3百万円)のほか、ロイヤリティ収入(売上高の3%)、物品売上、社員に対する教育サービス料などが含まれている。なお、FC加盟に関しては、異業種で同一商圏内に複数出店が可能な事業者であることを条件としており、同業者の加盟は基本的に認めていない。これは、葬儀事業への取り組み姿勢が根本的に異なっており、固定観念が既に形成されている同業者の従業員を再教育するのは非効率と考えているためだ。
事業セグメント別の構成比で見ると、直営店舗で行う葬祭事業が売上高、セグメント利益ともに95%以上を占めており、FC事業が収益に与える影響はまだ小さいが、将来的に全国展開を進めていく際にはFC方式での展開が効率的と考えており、FC事業の構成比も上昇していくものと予想される。
なお、同社は2017年5月に愛知県内で湯灌サービス及びメイク納棺の業務を行う(有)愛共(現 (株)ティアサービス)を子会社化し、2017年9月期第3四半期より連結決算を開始している。愛共の顧客先は同社のみとなるため売上高の影響はないが、関連業務の内製化により売上原価率の改善要因となる。また、2019年9月期からは生花事業の内製化も名古屋市内でスタートしている。
名古屋での斎場利用シェアは25.2%まで上昇、トップシェアも射程圏内に入る
2. 店舗数の推移
2020年9月期第2四半期末の店舗数は、直営店が70店舗(うち、葬儀相談サロン10店舗)、FC店が49店舗(うち、サロン1店舗)の合計119店舗と年々拡大している。また、2020年5月7日現在の地域別店舗数で見ると、直営店は名古屋市内で35店舗、名古屋市内を除く愛知県で22店舗、大阪府4店舗(うち、サロン1店舗)、埼玉県2店舗、東京都はサロンのみの展開で9店舗となっている。また、FC店では大阪府14店舗(うち、サロン1店舗)、岐阜県16店舗、愛知県13店舗、三重県3店舗、神奈川県2店舗、和歌山県、茨城県で各1店舗を展開している。FC加盟社数は10社で、南海電気鉄道<9044>の子会社である南海グリーフサポート(株)が15店舗(うち、サロン1店舗)と最大のFC加盟企業となっている。
地盤となる名古屋市内の店舗数は35店舗と直営の約5割を占めている。2019年9月期に出店が加速しているが、これは家族葬の需要増加に対応するため、従来よりも規模の小さい家族葬専用ホールを集中して出店していることが背景にある。従来の葬儀会館は敷地面積で500坪前後が必要で、条件(交通の利便性等)にかなう立地場所の探索が困難で思うように出店が進まなかったが、200坪前後の敷地面積で出店可能な家族葬専用ホールであれば、候補地も見つかりやすい。従来、コンビニエンスストアだった場所で出店するケースも出てきている。なお、名古屋市内の斎場利用シェアは店舗数の増加とともに年々上昇しており、2020年9月期第2四半期累計期間では25.2%まで上昇した。トップは互助会グループであるが、その差は2ポイント程度まで縮小しており、トップシェアの獲得も射程圏内に入ったと見ている。
将来の見込み顧客となる個人会員が年間3万件を超えるペースで拡大提携団体契約数も増加傾向
3. 顧客内訳と会員数の推移
同社は直営の葬儀会館のほか自宅、寺院、公民館などを会場とした葬儀の施行全般を請け負っている。また、葬儀終了後のアフターフォローとして、忌明け法要や年忌法要の請負なども行っている。2020年9月期第2四半期累計期間における葬儀売上高の顧客別構成比を見ると、「ティアの会」に加入する個人会員が68.0%、提携団体が27.1%、フリー客が3.3%、その他が1.7%となっており、「ティアの会」会員及び提携団体で90%以上を占めている。
「ティアの会」は、入会金を支払うことにより、会員特別価格で葬儀や葬儀後の法要、香典返しなどを利用できるほか、全国2万ヶ所以上の施設(ホテル、飲食店、レジャー施設等)において利用可能な「会員優待サービス」や「生き方応援ポイント」「保険サービス」「ラストメッセンジャーサービス」といった各種特典や割引サービスを受けられる同社独自の会員システムとなる。会員数は2020年9月第2四半期末で397,214人と前期末比で16,407人増となり、年間で3万人を超えるペースで会員を獲得している。会員は将来の見込み顧客となるため、今後の収益動向を示す重要な先行指標となる。また、提携団体とは、「ティアの会」と同等のサービスが受けられる法人・施設との団体契約を指す。提携団体数についても2020年9月期第2四半期末で980団体と、増加傾向が続いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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