アフターコロナの中長期的な収益展望に注目 竹内製作所(6432):日本証券新聞 伊藤 明

著者:伊藤明
投稿:2020/05/07 08:56

アフターコロナの小型建設機械への需要拡大

竹内製作所 日足一目均衡表
竹内製作所 日足一目均衡表日本証券新聞Digitalテクニカルチャート

【半値戻し達成】
4月30日の急伸(終値で6.2%高)で、2月6日高値(2033円)から3月17日安値1076円までの下げ幅に対する半値戻し(1555円)を達成。その直後の押しはいわば定石通り。規模が違うとはいえ、同業の建機大手であるコマツや日立建機が4~5%台の急落となったのに対し、2.4%安と前日の上げ幅に対して4割強の下げにとどまっている。

【封鎖解除後の各国の動向が追い風】
 2月期決算のため、4月9日に決算発表済み。今期は19.3%減収、33.6%営業減益見通しながら、通期の収益見通しを発表している。売上高の実質9割以上は欧米向け。主要都市のロックダウンの悪影響を受けているわけだが、このところ新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトしつつあり、段階的な封鎖解除の動きも見られる。部品調達面で懸念された中国で、いち早く生産再開の動きが強まってきたことも好材料と言える。

 まだ先とはいえ、いずれ来る「コロナ後」を見据えるなら、各国政府ともいずれは、経済立て直しに向けた大型公共投資を打ち出してくるのは必至と見られる。とりわけ欧米では、ガス管や水道管といったライフラインの老朽化が指摘されており、道路や橋、鉄道などの建設、補修とともに、竹内製作所の手掛ける小型建設機械への需要拡大は必至と言える。

 決算発表からは1週間後となる4月16日に発行したリリース「工場用地取得の『立地協定書』の締結に関するお知らせ」によれば、「当社グループの今後の事業拡大に対応した生産能力の増強を図るため、新工場を建設する用地の取得に向けて、立地協定書を締結する」としている。長野県青木村土地開発公社から来年中に5万1869平方メートルの農地を取得するためのものだ(取得価格は「未定」)。実際の工場建設や収益寄与はまだだいぶ先としても、先行きそれだけの需要拡大があるということを示している。

 今期は大幅減益見通しながら、それでもPERは11.8倍そこそこで、PBR0.87倍。PBRでは、1倍を超えるコマツ、日立建機に対する割安感も目立っている。コロナ問題収束への道筋が少しでも広がってくるようなことになれば、真っ先に見直されていい銘柄と言えるだろう。少なくとも中長期的な収益展望は明るい。

伊藤明
株式会社日本証券新聞社 テクニカルアナリスト
配信元: 達人の予想

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