■2月10日(月)■米中摩擦緩和と新型肺炎の綱引き

著者:堀篤
投稿:2020/02/10 08:39

ここしばらくは膠着状態か?

先週の株式市場には多くの投資家が裏をかかれた。しかし今週の日経平均は、24000円近辺の壁に押し返され、調整を余儀なくされるだろう。今のところ、この水準を突破するだけの材料は無い。まずは75日移動平均の23400円までの調整が想定できる。日数も無いことから、日経平均は23400円から24000円の間を動くことが予想される。

先週の株式市場は、拡大が続く新型肺炎による経済への影響がささやかれる中、今来期の企業業績への不透明感が醸成されつつあり、普通に考えれば、株式市場は調整をしていて良い状況だった。しかし、日経平均は、24000円近辺までの大幅な戻り相場を演じ、多くの投資家の不安を一掃した。一方、こぞって空売り側に回っていた外資系のファンドマネージャーは、訳も分からないまま買戻しを迫られ、気分が悪い週末を迎えることになってしまった。

この市場の状況は、新型肺炎の悪影響よりも、それによって生じた副産物、中国の対米関税の一部解除や金融緩和が注目されたことによると言われる。しかしもっと根本的なことは、米国のハイテク銘柄の決算が良かったことで、NY市場がリスクオンの状態になっているということだろう。そして、もう一つは、対中戦略上、新型肺炎が逆に米国にとって追い風になっている可能性がある、ということだ。
 対米関税の解除は、新型肺炎が無ければなかった材料であり、今後も中国は本気になって国際社会との協調を模索していくだろう、という見方が出始めている。3月の全人代に向け、習近平政権に、米国相手に喧嘩をしている余裕はないのは事実だ。

 一方で、新型肺炎が日本企業の業績見通しを保守的にさせる、という市場にとっての大きなデメリットは、近いうちに東京市場に影響を及ぼすだろう。その懸念と米中摩擦緩和期待とのぶつかり合いが、ここしばらくの膠着状態を生むのではないだろうか。
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想