S&P500月例レポート(20年1月配信)<3>

注目点

 ○ブラックフライデー(2019年11月29日)とサイバーマンデー(12月2日)はホリデー商戦期間にオンラインセールスが集中する日ですが、2019年は5日間(感謝祭の11月28日~12月2日)にわたって商品の購入が分散され、1億9,000万人(前年は1億6,500万人)に対して116億ドルを売り上げたと推測されます。ホリデー商戦全体の推定売上高は前年比4.0%増の7,300億ドルです。

 ○米国は米企業に対し、中国の通信機器大手ファーウェイへの製品の販売を特例として許可しました。ただ、ファーウェイはすでに、一部の米企業のサプライヤーに替えて、他国企業から製品を調達していた模様です。

 ○年金改革に関するフランス政府の計画は、全国的なストライキと抗議行動を引き起こしました。

 ○反政府デモが続く香港では、10月の小売売上高が前年同月比24.3%減少、観光業は同43.7%減少しました。

 ○石油輸出国機構(OPEC)とロシアは原油価格の押し上げを狙って、日量50万バレルの減産で合意しました(世界の産油量の約0.5%)。

 ○グローバルに展開するエネルギー会社Chevron(CVX)は、アパラチア地域のシェールガスの保有資産の価値を理由として、2019年第4四半期に100億~110億ドルの減損損失と構造改革費用を計上すると発表しました。実際の会計処理にもよりますが、当該費用が110億ドルとなれば、S&P 500指数のEPSが最大1.32ドル減少する可能性があります。現在の第4四半期のS&P 500指数の予想営業利益は3,360億ドル、米国の一般会計原則に基づく利益予想は3,050億ドルとなっています。

利回り、金利、コモディティ

 ○米国10年国債利回りは11月の1.78%から1.92%に上昇して月末を迎えました(2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは前月末の2.20%から2.39%に上昇して月を終えました(同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは11月末の1ポンド=1.2931ドルから1.3253ドルに上昇し(2018年末は1.2754ドル、2017年末は1.3498ドル、2016年末は1.2345ドル)、ユーロは11月末の1ユーロ=1.1018ドルから1.1172ドルに上昇しました(同1.1461ドル、同1.2000ドル、同1.0520ドル)。円は11月末の1ドル=109.48円から108.76円に上昇し(同109.58円、同112.68円、同117.00円)、人民元は11月末の1ドル=7.0326元から6.9633元に上昇して12月を終えました(同6.8785元、同6.5030元、同6.9448元)。

 ○原油価格は11月末の1バレル=55.42ドルから61.21ドルに上昇して月を終えました(同45.81ドル、同60.09ドル、同53.89ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は11月末の1ガロン=2.672ドルから2.658ドルに下落して月末を迎えました(同2.358ドル、同2.589ドル、同2.364ドル)。

 ○金価格は11月末の1トロイオンス=1,470.40ドルから1,520.00ドルに上昇して月を終えました(同1,284.70ドル、同1,305.00ドル、同1,152.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は11月末の12.62から13.78に上昇して月末を迎えました。月中の最高は17.99、最低は11.71でした(同16.12、同11.05、同14.04)。

世界の株式市場

 ○12月の世界の株式市場は幅広く上昇し、49市場中48市場が上昇し、11月の27市場、10月の43市場から増加しました。貿易問題の前進と中央銀行による支援が引き続き市場の追い風となりました。総じて、新興国市場が先進国市場よりも良好なパフォーマンスを見せ、12月は米国(世界の株式市場の53.5%を占める)がアンダーパフォームしました。世界の株式市場は12月に3.40%上昇しました。11月は2.31%上昇、10月は2.70%の上昇でした。米国市場の2.71%上昇を除くと、グローバル市場は12月に4.21%上昇しました。

  →第4四半期の3ヵ月間にグローバル市場は8.65%の上昇、米国の8.51%の上昇を除くと、8.81%の上昇でした。2019年通年ではグローバル市場は23.65%の上昇、米国の28.43%の上昇を除くと、18.39%の上昇でした。より長期で見ても、米国の上昇率が傑出しています。過去2年間では、グローバル市場は9.01%の上昇でしたが、米国の19.41%の上昇を除くと1.42%の下落となっています。過去3年間では、グローバル市場は32.78%上昇しましたが、米国の41.98%上昇を除くと、23.16%の上昇でした。

 ○12月にS&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆8,840億ドル増加しました(11月は1兆2,630億ドル増)。米国以外の市場の時価総額は12月に1兆1,520億ドル増加し(同2,250億ドル増)、米国市場は6,620億ドル増加しました(同1兆380億ドル増)。

 ○12月のまとめ

  →新興国市場は12月に6.58%上昇し、過去3ヵ月間では10.76%上昇、過去1年間では16.41%の上昇となりました。

  →先進国市場は12月に3.01%上昇(米国を除くと3.48%上昇)、過去3ヵ月間では8.39%上昇(同8.21%上昇)、過去1年間では24.50%の上昇(同18.92%上昇)となっています。

 ○11セクター全てが上昇する中、セクター間のリターンのばらつきは縮小しました(11月と10月はともに9セクターが上昇)。パフォーマンスが最高のセクター(エネルギー、5.75%上昇)と最低のセクター(資本財・サービス、1.71%上昇)の騰落率の差は4.04%(過去1年間の平均は6.91%)と、11月の7.09%から縮小し、2019年通年では35.42%(11月末時点は35.65%)となりました。

 ○新興国市場は12月に6.58%上昇しました。11月は0.08%上昇、10月は3.85%の上昇でした。過去3ヵ月間では10.76%上昇、過去1年間では16.41%の上昇となりました。過去2年間では2.09%の下落、過去3年間では29.43%の上昇となっています。

  →12月は24市場全てが上昇し、11月の11市場、10月の20市場から増加しました。ブラジルのパフォーマンスが最高で、12月は12.27%上昇、過去1年間では26.00%の上昇となりました。2番目がコロンビアで11.83%上昇し、過去1年間でも27.18%の上昇となりました。続いてチリが12月は10.30%上昇しましたが、過去1年間では18.46%の下落となっています。パフォーマンスが最低だったのはタイで、12月は0.22%上昇、過去1年間では11.91%の上昇でした。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはフィリピンで、12月は1.00%上昇(過去1年間では7.75%の上昇)、これに続くインドは1.12%の上昇(同6.09%の上昇)でした。

 ○先進国市場は12月に全体で3.01%上昇し、米国を除くリターンは3.48%の上昇でした。先進国市場は過去3ヵ月間では8.39%の上昇(米国を除くと8.21%の上昇)、過去1年間では24.50%の上昇(同18.92%上昇)となりました。過去2年間では10.34%上昇しましたが、米国を除くと1.28%の下落、過去3年間では33.20%の上昇、米国を除くと21.58%の上昇でした。

  →12月は25市場中24市場が上昇し、11月の16市場、10月の23市場から増加しました。12月は韓国のパフォーマンスが最高となり、8.66%上昇し、2019年通年では7.22%上昇しました。2番目がノルウェーで8.26%上昇し、通年では9.66%上昇しました。次いでフィンランドが12月に5.93%上昇し、通年では7.99%の上昇となりました。イスラエルは唯一騰落率がマイナスとなり、0.84%下落しましたが、通年では18.42%上昇しました。次いでパフォーマンスが振わなかったのがオーストラリアで、1.55%の上昇となり(2019年は18.30%上昇)、これに続いたのが日本で、1.86%の上昇でした(同16.61%上昇)。

  →注目すべき点として、英国は12月に5.53%上昇(同18.06%上昇)、カナダは2.92%上昇(同25.3234%上昇)、ドイツは2.36%上昇(同18.61%上昇)となりました。

<4>へ続く
 


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配信元: みんかぶ株式コラム