■要約
日本モーゲージサービス<7192>は、フラット35※などの「住宅ローン」を取り扱う金融会社であり、連結子会社の(株)ハウスジーメン、(株)住宅アカデメイア、(一社)住宅技術協議会の4社から成る企業グループ(MSJグループ)である。子会社では住宅瑕疵保険や住宅設備延長修理保証、地盤調査・保証など住宅に関わる各種保証サービスを提供しているほか、住宅会社向け業務支援クラウドシステム「助っ人クラウド」を提供している。住宅関連事業者に対して、関連商品・サービスを「ONEマーケティング」で提供することで、顧客満足度の向上と同時に販売効率を高め、収益性の高いビジネスモデルを構築していることが特徴となっている。
※民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローン。
1. 2020年3月期第2四半期累計業績は会社計画を上回る増収増益に
2020年3月期第2四半期累計(2019年4月-9月)の連結業績は、営業収益で前年同期比11.1%増の3,343百万円、営業利益で同23.8%増の697百万円と2ケタ増収増益となり、期初会社計画(営業収益3,192百万円、営業利益567百万円)を上回る好決算となった。主力の住宅金融事業における融資実行件数が前年同期比45.2%増と大幅に増加し、業績のけん引役となった。新規開設店舗における営業効果と新規商品の拡充等により、業界シェアの拡大が進んでいる。融資額ベースでは、2019年3月期の3~4%から直近は5%程度に上昇しているようだ。また、住宅瑕疵保険等事業も戸建住宅向けが好調で保険証券等の発行件数で前年同期比6.2%増と堅調に推移し、増益に寄与している。
2. 第3四半期以降も会社計画を上回るペースで推移し、業績は計画上振れの公算大
2020年3月期の連結業績は、営業収益で前期比5.6%増の6,615百万円、営業利益で同3.6%増の1,200百万円と期初計画を据え置いている。10月以降の消費増税の反動減を見極める必要があったためだが、今回は引き上げ幅が2ポイントであったことや住宅ローン減税などの政策支援等もあったことから、影響は想定したよりも少なかったようで、引き続き融資件数は順調に伸びているようだ。通期計画に対する第2四半期までの営業利益進捗率は58.2%と、過去3期平均の49.0%を上回っていることから、通期業績についても計画を上回る公算が大きい。このため同社では、新規商品の開発やブロックチェーン技術を用いた新たなクラウドサービスの開発など将来の成長に向けた投資を、一部前倒しで進めていくことも検討している。
3. ITを活用した新サービスの拡充で成長を加速させる
現在進行中の中期経営計画では、2022年3月期の業績目標として営業収益9,000百万円(2019年3月期比43.6%増)、営業利益1,700百万円(同46.7%増)を掲げている。既存事業の成長に加えて、既に稼働している「助っ人クラウド」と連携する新サービスを2021年3月期以降に開始し、中長期的な成長ドライバーとしていく戦略となっている。2020年4月の民法改正で、元請け業者と下請け業者の間で交わされている債権譲渡禁止特約事項が無効とされることになり、これによって住宅関連事業者が持つ債権買取りによる融資サービス(ファクタリング、債権流動化サービス等)が可能となる。潜在的な市場規模は数兆円規模になると見られ、成長ポテンシャルは極めて大きい。同社ではブロックチェーン技術の活用などにより、信頼性を担保していく。参加企業に無料で開放し、クラウド上で提供する各種商品・サービス(ローン商品、保険、保証、融資サービス等)の手数料収入でマネタイズしていく戦略となる。2021年3月期から実証試験を開始し、問題がなければ、2022年3月期以降本格的にサービス展開していく予定で、将来的に住宅事業者のメインバンクの役割を果たしていくことを目標としている。
■Key Points
・住宅業界に特化した金融サービスや各種保険・保証サービスを「ONEマーケティング」で住宅関連事業者に提供
・2020年3月期業績は期初計画を据え置くも、住宅金融事業の好調持続で上振れの可能性が高い
・クラウドを活用した金融サービスの拡充により成長を加速し、2022年3月期で売上高90億円、営業利益17億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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日本モーゲージサービス<7192>は、フラット35※などの「住宅ローン」を取り扱う金融会社であり、連結子会社の(株)ハウスジーメン、(株)住宅アカデメイア、(一社)住宅技術協議会の4社から成る企業グループ(MSJグループ)である。子会社では住宅瑕疵保険や住宅設備延長修理保証、地盤調査・保証など住宅に関わる各種保証サービスを提供しているほか、住宅会社向け業務支援クラウドシステム「助っ人クラウド」を提供している。住宅関連事業者に対して、関連商品・サービスを「ONEマーケティング」で提供することで、顧客満足度の向上と同時に販売効率を高め、収益性の高いビジネスモデルを構築していることが特徴となっている。
※民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローン。
1. 2020年3月期第2四半期累計業績は会社計画を上回る増収増益に
2020年3月期第2四半期累計(2019年4月-9月)の連結業績は、営業収益で前年同期比11.1%増の3,343百万円、営業利益で同23.8%増の697百万円と2ケタ増収増益となり、期初会社計画(営業収益3,192百万円、営業利益567百万円)を上回る好決算となった。主力の住宅金融事業における融資実行件数が前年同期比45.2%増と大幅に増加し、業績のけん引役となった。新規開設店舗における営業効果と新規商品の拡充等により、業界シェアの拡大が進んでいる。融資額ベースでは、2019年3月期の3~4%から直近は5%程度に上昇しているようだ。また、住宅瑕疵保険等事業も戸建住宅向けが好調で保険証券等の発行件数で前年同期比6.2%増と堅調に推移し、増益に寄与している。
2. 第3四半期以降も会社計画を上回るペースで推移し、業績は計画上振れの公算大
2020年3月期の連結業績は、営業収益で前期比5.6%増の6,615百万円、営業利益で同3.6%増の1,200百万円と期初計画を据え置いている。10月以降の消費増税の反動減を見極める必要があったためだが、今回は引き上げ幅が2ポイントであったことや住宅ローン減税などの政策支援等もあったことから、影響は想定したよりも少なかったようで、引き続き融資件数は順調に伸びているようだ。通期計画に対する第2四半期までの営業利益進捗率は58.2%と、過去3期平均の49.0%を上回っていることから、通期業績についても計画を上回る公算が大きい。このため同社では、新規商品の開発やブロックチェーン技術を用いた新たなクラウドサービスの開発など将来の成長に向けた投資を、一部前倒しで進めていくことも検討している。
3. ITを活用した新サービスの拡充で成長を加速させる
現在進行中の中期経営計画では、2022年3月期の業績目標として営業収益9,000百万円(2019年3月期比43.6%増)、営業利益1,700百万円(同46.7%増)を掲げている。既存事業の成長に加えて、既に稼働している「助っ人クラウド」と連携する新サービスを2021年3月期以降に開始し、中長期的な成長ドライバーとしていく戦略となっている。2020年4月の民法改正で、元請け業者と下請け業者の間で交わされている債権譲渡禁止特約事項が無効とされることになり、これによって住宅関連事業者が持つ債権買取りによる融資サービス(ファクタリング、債権流動化サービス等)が可能となる。潜在的な市場規模は数兆円規模になると見られ、成長ポテンシャルは極めて大きい。同社ではブロックチェーン技術の活用などにより、信頼性を担保していく。参加企業に無料で開放し、クラウド上で提供する各種商品・サービス(ローン商品、保険、保証、融資サービス等)の手数料収入でマネタイズしていく戦略となる。2021年3月期から実証試験を開始し、問題がなければ、2022年3月期以降本格的にサービス展開していく予定で、将来的に住宅事業者のメインバンクの役割を果たしていくことを目標としている。
■Key Points
・住宅業界に特化した金融サービスや各種保険・保証サービスを「ONEマーケティング」で住宅関連事業者に提供
・2020年3月期業績は期初計画を据え置くも、住宅金融事業の好調持続で上振れの可能性が高い
・クラウドを活用した金融サービスの拡充により成長を加速し、2022年3月期で売上高90億円、営業利益17億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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