雇用統計で何故買われなかったのか?今週の戦略

著者:平野朋之
投稿:2019/12/09 20:28

IMM日本円も約5万枚近くの売り越し

■先週は、継続中の米中通商交渉に関して、トランプ大統領が来年の大統領選まで待ったほうが良いかもしれないと述べたことを受けて、合意の可能性が先延ばしの可能性が高まり108円台に下落しました。

■しかし、一方で交渉に関して、第一弾合意に盛り込む関税の撤回幅で一致に近付いているとの報道もあり、108円台では押し目買いも根強いイメージでした。

■さて、今週は15日に予定している第四弾追加関税に関して睨む展開が継続しそうです。
先週のIMS製造業景況指数に関してネガティブサプライズで予想を下回ったことをみれば、今回の第四弾追加関税が発動することで世界的にも景気後退に陥る可能性は否めないところです。

その意味では、今回の追加関税はかなり重要なポイントになりそうです。2020年の相場を見るうえでも最も重要になりそうです。

■そして、先週末の雇用統計では労働市場が依然として強い結果が出たことは上記の製造業をサポートすることとなったので、株式市場においてはそれほどネガティブに動いていないことは、極端なリスクオフに傾くことは現段階では考えづらいとみています。

しかし、気がかりなのが、相変わらずの低インフレ状況には変わらず、今後のFRBのスタンスとしても再度追加利下げに動く可能性も否めないとみています。


■今回のFOMC(10-11日)では追加利下げは見送りが濃厚ですが、その後のパウエル議長の会見やドットプロントにも注目したいです。

少なくても2020年においては1回ないし2回の利下げはあるのではないかとみています。

その意味でも、11日の消費者物価指数、12日の生産者物価指数にも注目したいです。

それと気がかりなのは以下のポイントです。

・トランプ大統領における弾劾決議案の行方

・北朝鮮による米国への軍事力けん制発言

■トランプ大統領に関しては、第二週までに弾劾決議案を可決・成立させ、更に第三週には下院本会議に送付、25日には下院本会議で弾劾決議案を成立させることを目論んでいることもあり、政治リスクとしても予断できない展開です。


■最後にドル円の戦略です。

先週もお伝えしましたが、週足ベースで100週と200週の移動平均線が大きな抵抗となっています。
更に先々週の実態部を先週の足では被せる格好になっています。その意味では下値圧力も強まる可能性も否定できないとみています。日足ベースでは、11月1日に付けた下値107.88円を下回ることになれば大きな調整が入る可能性があるとみています。

上値は200日移動平均線が重くなるとみています。

また、IMM日本円も約5万枚近くの売り越しとなっているので、このあたりも警戒したい材料です。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想