NEW ART HOLDINGS、2Qは増収増益 主力のブライダルジュエリーが好調で営業利益は174.2%増
企業理念
白石幸生氏(以下、白石):今日は、私たちの会社をできるだけわかりやすくご説明して、さらにこれからの展望をお話ししたいと思います。
まず、今までの企業キャッチコピーを新しいものに変えました。現在、海外展開を進めていますので、それに合わせての変更です。
「みんなの夢の企業グループ」ということで、この「みんな」というのは、本日(決算説明会の会場に)いらっしゃるみなさま、そしてお客さま、株主さま、私ども社員も含んだ「みんな」ということです。そして、「NEW ARTは、アートの持てるすべての力であなたを美と健康と幸せに導きます」ということで、この「あなた」というのは、私ども、そしてみなさまです。
アートは、人間を幸せにするものです。悲しいときには悲しみ、喜びたいときには喜ぶということで、要するに人間らしい生活をするというかたちで捉えていただければと思います。
アートというものは、社会的に見た場合にどういう位置付けにあるのかを考えてみました。世の中にはいろいろな見方があります。国別、あるいは宗教を中心に考えることもあります。
宗教的に見れば、キリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教などがありますが、教会にはモネの絵もピカソの絵も入っています。アートは、そのような宗教的なところよりも、一段高い位置にある精神を作るという意味です。国家も超えて、という考え方でいいと思います。
私たちはこれから、そのような仕事をしていきたいと思っています。また後ほど、詳しくお話ししますが、まずは私たちの会社の業績などをお話ししたあとに、最後にまとめてお話ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
(1)決算ハイライト
安田剛氏:経理およびIR部門を管轄しております、安田と申します。よろしくお願いいたします。私からは、2020年3月期第2四半期の決算の概要、および中期経営計画の概要、そして今期の着地計画も含めて説明いたします。
まず、決算ハイライトということで3点、大きく挙げさせていただきました。数値実績としては、主要な項目で、四半期ベースで過去最高の数値を上げることができました。
一番目として挙げていますとおり、連結売上高、営業利益はともに過去最高を更新しています。売上高は96億3,400万円、営業利益は19億1,700万円で、過去最高を更新しました。
二番目ですが、事業ごとに見てみますと、主力のブライダルジュエリー事業が第1四半期に続いて好調を持続しており、売上、セグメント利益ともに過去最高を更新しました。加えて、全身美容事業は前年同期と比較して大幅に利益改善し、セグメント利益も半期ベースで過去最高を更新することができました。詳細については、後ほどご説明します。
その結果、通期連結業績予想に対して、売上高は52.3パーセント、営業利益は69.7パーセントで進捗しています。
後ほど説明いたしますが、消費増税の影響およびマーケット状況等、まだ不確定要素もあるという判断のもと、通期業績予想は、現時点では据え置きとさせていただいております。こちらについては、一定の検証をしたうえで、そのタイミングで上方修正も含めた修正が必要であると判断した場合には、タイムリーに開示、報告させていただきます。
(2)2020年3月期 第2四半期 決算概要(連結)
売上高と営業利益については、先ほど申し上げましたように過去最高の数値を更新しましたが、その要因を簡単にまとめております。
売上高についてですが、当社の連結ベースのうちの8割を占めるのがブライダルジュエリー事業で、主力事業になります。こちらは、お客さまから当社の商品を選んでいただいたということで、高い評価を頂戴できたことが業績を牽引した要因になっています。
具体的には、テレビCMが好評を博しており、さらにWeb広告等によって集客に力を入れた結果、来店客数は前年同期に比べて増加基調で推移しています。
これに加え、各種イベントやフェアの開催、映画やドラマへの積極的な協力も行っており、そのようなところの効果もあり、来店客が増加基調で推移しました。
せっかくお客さまにおいでいただいていますので、販売スタッフの応対、そして成約に向けた販売力強化にも継続的に注力しており、そのあたりも着実に一定水準の底上げを図ることができているものと考えています。
営業利益については、ブライダルジュエリーの好調持続に加え、全身美容事業の利益が大幅に改善しています。Webマーケティングの内製化や高度化、新商品や新サービス、顧客アプローチ等の戦略などが奏功して、大幅な利益改善を図ることができました。
なお、全身美容事業については、これから本格的に攻めに転じるということで、後ほど、事業を統括する高橋社長から主力事業について詳しく説明させていただきます。
(3)2020年3月期 第2四半期 業績(連結)
第2四半期の数値の実績概要になりますが、売上高や利益については、ご覧のとおり着実に前年比プラスで推移しています。
(4)セグメント別業績
セグメントごとの内訳はスライドのとおりです。先ほど申し上げましたが、主力のブライダルジュエリー事業が全体の8割を占めています。
そして、全身美容事業が約16パーセントで続いています。この両事業が全体の連結業績を牽引しました。
(5)貸借対照表(連結)の概要
貸借対照表、資産状況になります。売上が増加したことにより、流動項目の数値は売上に応じた増減となっています。
表の一番下に、財務安全性に軸を置いた比率ということで財務指標を載せています。手元流動については、流動比率が160.9パーセント、固定比率が47.5パーセント、自己資本比率が46.7パーセントと、いずれも安全性の面では相応の比率を確保できたものと考えています。
(6)キャッシュ・フロー(連結)の概要
キャッシュ・フローもスライドのとおりです。期間収益が大幅に増加したことで手元流動に余裕を持った運営ができたと考えています。
広告宣伝や各種施策についても、手元流動が相応な水準をキープできたことから機動的な施策を打てたことも、業績の堅調な推移を支えたと考えています。
(1)第2四半期連結業績予想と実績との差異
第2四半期業績の予想と実績との差異になります。5月7日に発表した中計(昨年発表の計画)は、修正をローリング方式で行っていますが、(その数値が表の)一番上のものになります。
それに対して、今回の実績値が2段目「実績値(B)」になります。すでに個別で開示しておりますが、売上高、利益は順調な進捗を刻んでいます。
繰り返しになりますが、とくに利益の部分の進捗で、計画に対して大幅な上乗せを達成することができました。しかし、下期以降の展開については、現状は不透明な部分があるということで、通期業績は据え置きとさせていただきます。
(2)連結業績予想及びその進捗
こちらは、通期業績予想と、第2四半期が終わったところでの進捗を、進捗率としてお示ししたものになります。
(3)2020年3月期 連結業績予想
今期は、第2四半期まではお示しした計画どおり好調に進捗しています。その関係から、予定どおりに進むことを前提にすると、売上高は5期連続、営業利益は2期連続で最高数値を更新する見込みです。
全体として、グループが成長軌道に乗っており、業績の進展に注力しているところです。
(4)株主還元
後ほど、白石会長から株主還元に対するスタンスの説明がありますが、この業績を踏まえて、配当は増配予想ということで上方修正しています。
以上が、決算の進捗および数値実績となります。
(1)ブライダルジュエリー事業①
これらの動きを踏まえての各事業の取り組みになります。まずはブライダルジュエリー事業ですが、当社の主力事業になり、順調に進捗しています。しかし国内市場を見ますと、少子化やセレモニーの簡素化などの影響もあり、国内のブライダルジュエリー市場は緩やかな縮小トレンドと認識しています。
業者、会社、ブランドなどの競合他社が並び立つなかで、当社のブランドを選んでいただくための戦略を、今までにも増して一層磨きをかけています。縮小トレンドとは言え、相応のマーケットのある事業領域ですので、選ばれるブランドとしてブラッシュアップを続けていきたいと考えています。
具体的には、先ほどお話ししたような集客戦略ということで、店舗にお越しいただいたお客さまを成約(に結びつけるために)、おもてなしをするという接客応対のスキルアップにますます磨きをかけて、常に選んでいただけるブランドにしていきたいと思います。
(1)ブライダルジュエリー事業②
海外展開についてです。スライドでは9月にオープンしたとお示ししていますが、海外事業については当社グループの重点施策ですので、後ほど担当の吉森取締役より説明いたします。こちらのスライドは、最近開店した店舗のご紹介です。
駆け足でしたが、決算の業績数値のご説明、およびブライダルジュエリーの今後の取り組みについて説明させていただきました。
引き続き、当社グループの重点戦略のなかから、まずは業績、利益水準が大幅に改善し、これから攻めに転じる局面にあります全身美容事業について、ニューアート・ラ・パルレの代表取締役社長の高橋から、ご説明申し上げます。
それに続き、海外事業を統括する取締役、Hong Kong New Art Limitedの董事長である吉森から、事業についての取り組みをご説明申し上げます。
私からの説明は以上となります。ありがとうございました。
(2)全身美容事業①
高橋宗潤氏:株式会社ニューアート・ラ・パルレの代表取締役の高橋と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、グループの全体方針として掲げている「美と健康」の事業領域で、これから大きく伸ばそうとしているエステティックブランド「ラ・パルレ」の事業戦略を説明させていただきます。
エステ業界ではラ・パルレがパイオニアなのですが、エステという業界は40年も経つ業界です。私としては、エステ業界の常識的な考え方ややり方をゼロベースで、ときにはそれを否定して次の成長を目指していこうということで取り組んでいます。
ラ・パルレの大きな特徴として、北海道から九州まで、全国でレディースエステ、メンズエステを展開しているブランドは片手ほどもありません。その強みを生かして、年齢を問わず、女性であれば「美しくなりたい」「綺麗になりたい」、男性であれば「いつまでも健康でいたい」といった人間の本質的、根源的な非常に強い欲求に対して、これまで培ってきた武器をさらに磨いて新しい市場を開拓していくことを目指して、現在取り組んでいます。
そのなかで、上半期は利益の大幅増ということで、どういう仕組みでこの実績を出したかについて少し触れさせていただき、今後の戦略をお話ししたいと思います。
上半期は、対前年同期で売上が2億円増、営業利益が2億1,000万円増ということで、売上よりも利益のほうを多く出しました。
エステ業界は、大きな宣伝広告費を投じて集客しなければ業績が伸びないというかたちで進んできた業界なのですが、私どもが取った戦略としては、新規集客を減らして売上、利益を伸ばすという、他社では行わない発想によるものです。上期は、あえて集客しないという戦略で事業を推進したのですが、これがなぜ利益につながるのかについてお話しします。
エステ業界は、集客に非常にコストをかけて、そこからご入会いただくのですが、実はご入会いただけない方に使っている時間とコストが、ものすごく大きいわけです。ここをいかに削減して、売上、利益につなげるかということで、2年前から成約率や単価アップと顧客継続、満足度向上のための改革をずっと継続した結果、集客を行わなくてもしっかりと売上や利益を伸ばすことができる(ことがわかりました)。
それが顧客継続につながるということで、新しいコースのリリースや社員教育をずっと続けてきました。その取り組みが正しいことが、この上半期では結果として、数字で実証できたと思っています。
こちらのスライドのポイントになります。当社の最大の強みと言ってもいいのですが、この10年間、ネット集客をずっと磨き続けています。ここに関して、おそらく業界のコストパフォーマンスで言いますと、半額以下で集客できています。ほぼ100パーセントがネット集客で、このようにして集客をコントロールできるところまで成長していますので、この強みを最大限に生かして稼働の最適化を図ってきました。
また、現状の顧客層は20代の女性のお客さまが一番多いのですが、40代、あるいは50代といった所得に余裕のある女性、男性顧客に向けて、業界を超えた提携も行ったうえで、新たなサービスリリースを仕掛けていきます。ここに関しては、ネット集客の強みとの相乗効果で、最適な費用対効果を追求しています。
次に、顧客サービス、顧客満足に関してです。みなさまはご存知かわからないのですが、エステ業界はかなりの人が辞めてしまう業界だと言われ続けています。そこについては「ノー」という発想のもと、その原因や課題を徹底的に改善していきます。
エステは、非常に属人的かつアナログなサービスになりますが、そこにネットやITというツールをうまく入れることで、社員の時間を最大限、顧客利益に振り向けるというところでどんどん改革を進めています。
(2)全身美容事業②
今後の大きな課題についてです。ラ・パルレは老舗ブランドではあるのですが、非常に認知度が低いです。もちろん、ブランディングも推進していくのですが、店舗に来ていただいたときにギャップが大きいと、結局価値が出ないというところで、社員教育を強化しています。
「エステティシャンがブランドである」という発想で、キャリアアップ制度や教育制度に、最大限の時間とお金を投資するかたちで進めています。
また、一流を目指して、社外のいろいろなプロフェッショナルの方のナレッジもどんどん投入して、ここの投資対効果の面で最大限の利益を生み出すべく、全社で改革を進めています。
そしてマーケットの面についてですが、現在首都圏の都心部では、まだ新宿と池袋の2店舗しかありません。ここに関してはまだまだ空白エリアがありますので、集客の強み等々も踏まえて、出店すれば利益を見込めるところはしっかり出店して事業を伸ばしていきます。
日本のエステサービスや商品は、アジア圏を含めて非常に評価が高いです。これは実際に聞いている声ですので、アジア圏を視野に入れた新商品を開発して、海外に向けた商品販売やサービス展開ということで動いていますが、粗利の高いビジネスでさらに収益性を高めることを進めています。
売上規模としてはグループの15パーセントほどですが、高い収益性と大きく伸ばしていける可能性のある事業は、日本国内だけではなくアジアを含めて展開していけるという意味で全身美容事業だと考えていますので、今後の最大のポイントは、スピードを上げてどんどん成功していくということです。
エステ事業は勝ちパターンを作っていくかたちで進めていく計画としていますので、ぜひともよろしくお願いします。
(4)重点施策 海外事業 1/2
吉森章氏:海外事業を担当している吉森と申します。よろしくお願いいたします。海外事業の現状、そして今後の計画、構想についてご説明します。NEW ARTグループは、今期7月以降、海外事業でもとくにジュエリーとエステのアジア展開を加速させています。
NEW ARTグループの将来の重要な営業基盤を作っていく施策の一環ですが、ご覧のスライドのように、NEW ART HOLDINGSの100パーセント出資のHong Kong New Art Limitedという会社があります。その下に、100パーセント出資で台湾に1社、上海に2社を構えており、Hong Kong New Art Limitedを核にして、ブライダル事業並びにエステ事業、またエステを起点とした化粧品事業のアジア展開を進めていきます。その計画もできておりますので、それについてご説明します。
(4)重点施策 海外事業 2/2
ポイントとしては、3期目となる台湾事業の収益基盤を盤石なものにしていくということと、さらに香港で多店舗出店を展開していきます。また上海についても、既存事業の再構築と多店舗展開ということで、3つの方向性で事業構築していき、成長戦略の要としての海外事業の基盤を作っていくということです。
現在の店舗数は、香港1店舗、台湾5店舗、上海1店舗です。上海の場合は、1店舗と言いましてもジュエリーとエステの複合店舗になっています。台湾については進出3年目となるのですが、2年目である昨年度から本格的に百貨店への出店を開始しています。
営業拠点として、9月11日に台中に5店舗目をオープンしており、拠点としては台北、台中、台南という主要都市での出店を終え、営業基盤が強固なものになっていきますし、いずれも売上は順調に推移しています。
香港については、香港のデモがあるかどうかわからないときに企画したのですが、9月8日にTST(Tsim Sha Tsui)という場所にある香港そごうのグランドフロアにオープンして営業を始めました。しかし、デモ騒ぎがありまして、百貨店やショッピングモールの客足は激減しています。
そのさなかでの10月の売上ですが、10月に香港そごうで開催されたブライダルフェアに出展して、知名度はかなり上がり、月間で黒字が確保できるレベルの受注がありました。TST店のグランドフロアでは、二番目の成績を上げています。
このように、期待できるマーケットではあるのですが、今の状況がどう展開していくのかわからず、予断を許さない状況です。注視して状況を的確に判断して、早めに次の手を打つことは考えています。
上海については、香港そごうの子会社である上海久光百貨店に9月27日にオープンしました。さきほどお伝えしたように、上海の場合は日本にもない取り組みとして、ジュエリーとエステの複合店で相乗効果を期待しながら展開しています。
また、上海のラ・パルレを起点にして中国国内で化粧品事業を展開していきたいという構想を持っており、現在、商品の認可を申請中です。
なお、香港と上海のジュエリーに関してですが、共通する特徴があります。実は、ダイヤモンドはカラット数の大きいものが売れるということがわかりました。日本の場合、エンゲージリングは0.5カラットから0.6カラットなのですが、上海や香港では0.8カラット以上のものや1カラット以上のものの引き合いが多いです。
さらに、ブライダルジュエリーだけではなく、宝石としてダイヤモンドをお求めになるお客さまが多いこともわかり、そのための品揃えを始めています。先日、上海で「6カラットのダイヤモンドが欲しい」というお客さまがいらっしゃいました。
上海と香港は富裕層が多く、とくに桁違いの富裕層の方がいらっしゃることがわかりましたので、これからはそのような商品展開も進めていきます。
2021年度までの店舗数の目標として、台湾13店舗、香港4店舗、上海3店舗を計画しています。そして、2022年3月期で売上30億円、営業利益4億円を達成して、香港、あるいはシンガポールのストックマーケットに上場申請したいという目標を持っています。今はそれを実現すべく、具体的な計画を持って進めています。香港やシンガポールでの上場は通過点と考えており、アジアの他地域への進出を視野に入れた計画も持っています。
ベトナムの人口は9,600万人で、平均年齢が31歳、またインドネシアの人口は2億6,000万人で、平均年齢が29歳と若い国ですので、このような若い世代の多い国に、ブライダルジュエリー、エステ、化粧品といった事業を、他社に先駆けて展開していこうと考えています。
以上、海外事業についてご説明しました。
白石:大事な話をまとめてお話しします。まず、今日、みなさまにお伝えしたいことですが、非常に業績がいい決算となり、これからの見通しが明るいということで、「来年は配当を5割アップする」と発表しました。
そして、香港で約25億円のアート・ファンドを組みました。これが連結対象となりますので、今日はその説明をしておきたいと思っていました。なぜなら、ここに当社の一番重要な成長性が潜んでいるからです。
現在、世界で評価が続いている……言葉を変えるなら、値上がりが続いているアートについて、私たちは50周年ということでそれに関連した本を出しています。
(アート・ファンドの名前は)「Asia Contemporary Art Investment Fund Limited」になります。具体的に言いますと、みなさまは不動産の証券化をご存知だと思いますが、価値ある不動産を大勢の人が証券化して投資するもので、今回のアート・ファンドは、まさにその分野です。
今、日本のアートは、値上がりが続いているアートもあれば、値下がりが続いているアートもあるわけです。
日本では敗戦後、みんなの夢や希望がなくなったときに、「これから新しい日本を作っていこう」ということで誕生したアートがあるわけです。それが、現代美術と呼ばれる分野なのですが、吉原治良という方が、「人の真似をしない、今までになかった新しいアートを作ろう」と(提唱しました)。このグループを具体美術と言いまして、それからたくさんの方がアメリカに渡って勉強しました。
その現代美術の分野は、アメリカの現代美術を「100」とした場合、ヨーロッパなどの先進国の現代美術が「10」だとすると、日本の美術は「1」です。「100対10対1」ですから、まだ値上がりする余地があるわけです。
「余地がある」と言いながらも、過去10年間はどうだったのかと言いますと、草間彌生など、具体美術のメインのところは、配当性で言いますと15パーセントから20パーセントほどの値上がりを示しています。そのようなアートに投資していくということです。
質疑応答:EXELCOの100周年にあたって行われたイベントについて
質問者1:資料16ページについてです。EXELCOのカットの発表から今年で100年目ということで、決算短信にも「100年目にあたり、さまざまな記念イベントが開催された」とありましたが、実際にはどのようなイベントが開催されて、どのようなプロモーションになったのかをお聞かせください。
白石:EXELCOのお話をするときに、どうしてもお話ししなければならないことがあります。私たちの事業のなかで、軽井沢に「軽井沢ニューアートミュージアム」というものがあります。ホワイトストーンギャラリーが中心なのですが、ホワイトストーンギャラリーは創業52年目になり、NEW ART HOLDINGSは25年目に入りました。
そのなかでのEXELCOはどういう位置づけなのかについてですが、私たちは、普通の宝石屋さんのように、なんとなくダイヤモンドを提供するのではなく、あくまでアートとして扱っているわけです。ダイヤモンドは、普通の石です。それを磨いて、カットして、そして輝くダイヤモンドにする。これそのものがアートであるという考え方です。
今までの宝石屋さんと私どもで根本的に違うところは、完成したものを並べて売るのではなく、ダイヤモンド、枠、デザイン、プラチナ、金などを別々に売って、組み合わせて注文いただいてから作るシステムで、受注販売です。
EXELCOを選んだのは、世界で一番と言われるカットメーカーだからであり、最初からEXELCOと提携しています。EXELCOはベルギーに本社があるのですが、そちらと一緒に、現在タイにカット工場を作っています。
私たちも株主になっているのですが、お店に来たお客さまに、そのカット工場で作ったダイヤモンドとデザインを選んでいただき、そこで手付金を1万円でも3万円でもいただければ、3週間ぐらいで完成したものが受け取れます。
平均単価は30万円から50万円ぐらいの間ですが、そういうシステムで、いわゆるデッドストックができない販売体制を取っています。
最近では、当社のブランドを真似ているところが何社か出てきていますが、企業として大々的にこうした体制を取ったのは世界で当社が初めてです。世界初のことを行ってきたところが私どもの誇りです。
EXELCOは、代々ダイヤモンドのカットを行ってきていますが、4代目が今のブリリアント・カットと呼ばれるカットを開発しました。現在のジャン・ポール・トルコウスキーが11代目ですが、やはりカットでは第一人者です。
何年か前に、EXELCOの銀座店で雪の結晶を表現したティアラが盗まれました。ピンクパンサーという集団に盗まれたのですが、その後フランスで捕まりました。それを復活して欲しいとの声が強いため、今年、復活させました。
定価は12億円くらいのものですが、それがテレビで放映されて集客が伸びたりしています。先日、上海でもみなさまに珍しがられました。
そういうことで、EXELCOのカットの開発から100年ということでPRして、販売しております。
質疑応答:今後のラ・パルレの出店計画について
質問者1:もう1点、ラ・パルレについてです。全国展開していることを売りにしており、今後は首都圏の未開拓エリアで新規出店が控えているとのことですが、その他の地方での出店計画があるかのかどうか、差し支えないところでお聞きしたいです。
白石:ジュエリーのところでも、さきほどの説明では私とニュアンスの異なるところがあったのですが、国内のジュエリーマーケット、ブライダルダイヤモンドのマーケットにおいて、あと5割ぐらいの余地を残して海外戦略を始めています。
例えば、わかりやすく九州を例にしますと、私どもは小倉、福岡、熊本、長崎にしか出店していません。鹿児島、宮崎、大分、佐賀のように、まだ出店の余地を残している状態ですから、国内でも成長戦略が取れます。
ただし、現在は海外での成長戦略を進めやすい状況です。ブライダルダイヤモンドに関しては、日本では「月給の3ヶ月分」ということでデビアス社がPRしていましたが、私たちは今日までずっと、ブライダルダイヤモンドを手掛けてきました。
(その日本に比べて)台湾は15年ぐらい、香港で20年ぐらい、上海で25年から30年、(ブライダルダイヤモンドの文化が)遅れています。つまり、ブライダルダイヤモンドの成長はこれからなのです。そこで(海外でも展開を)始めたら、大きいダイヤモンドを買いたい人がたくさん出てきました。
日本では、百貨店の外商部員が富裕層に宝石を売ってまわっています。海外ではそういうことがないため、店舗にダイヤモンドを買いに来ます。よって、海外の成長性は非常に楽しみにしています。
私は、国内のブライダルダイヤモンドの売上を海外が追い越すというプランを、来年の暮れか再来年の春ごろには立てられるようになってほしいと、そのくらいの意気込みで取り組んでほしいと、吉森に話をしています。
エステも同じです。まず、どうすれば利益が出るかというかたちができてから、本格的に店舗作りをしようということです。エステ事業は、店舗は少し減らして、どうすれば利益が出るかの答えをやっと見つけたところです。差し当たっては、さきほど高橋のお話にあったとおりです。
私は今、香港に住んでいますが、家政婦の給与は月給5万円から6万円です。若い人でもそのくらいです。例えば、ジャカルタや北京、上海などに展開するとき、この人たちにエステティシャンとしての技術を教えたらどうだろうかと考えて、研究しています。健康管理、栄養管理といったことが学べる学校を作ったらどうかと、考えています。
そうすると、今の人件費の3分の1程度のエステティシャンが育ちます。全身美容も健康管理もできる。そういうお店をアジア地域に作っていくという展開です。
要するに確実に利益が上がる体制を作ってから展開するということです。ダイヤモンドは、いかに安く仕入れるかということで、イスラエルのテルアビブに会社を作っており、取引は日本でもちろん一番です。そういった研究から始めてきました。アートと言われるダイヤモンドのカットの分野も、世界のNo.1と組んでいます。
そういうことで、エステの店はまだまだ作りますが、確実に利益が出るかたちを組み上げていこうということです。
ニューアート・スポーツも同様です。クレイジーというシャフトメーカーを買いましたが、どういうかたちで展開するかということで、銀座で店舗の準備を始めています。こちらも、ようやく利益が上がる体制が組めそうだということで、その展開を始めます。
このように、当社は非常に可能性を持った企業です。ただし、金儲けすればいいのではなく、あなたの美と健康を大事にして、あなたを幸せに導きます。
今まで私たちは、「奉仕」という言葉を使ってきました。しかし今は、あえて美と健康と幸せを導き出すという言葉を使わせていただきます。「導く」ということについて、宗教的に言えば、宣教師や伝道師などは「奉仕」ですが、教祖と言われる人たちは「導く」という言葉を使います。
いろいろなことに自信がついたため、とにかくみなさまを、アートと健康、そして幸せに導いていこうということです。
また株価については、まだまだこれからだと思っています。当社は、ブライダルジュエリーから始めましたが、今般、20対1の株式併合を行いました。
ブライダルジュエリーのお客さまたちは(総じて若い方が多く)株を買うお金の余裕
がないため、誰でも買えるようにということで、かつて100対1の分割を行いました。しかし、機関投資家のみなさまに株主になってもらいたいと考えて株式併合しました。結果はこれからという状況です。
よい株主さまに(当社の株式を)持っていただきたいと思っています。去年までIR活動などは一切行っておらず、今年から始めたばかりですので、みなさまからご指導いただければと思います。
質疑応答:粗利益率が大幅に改善した理由について
質問者2:上期の粗利益率がものすごく改善しているのですが、そのあたりのご解説をいただけますでしょうか?
ブライダルジュエリー事業の売上が伸びたことに尽きると思うのですが、それにしてもすごい改善だなと思いましたので、もう少し解説をお願いします。
白石:私どものブライダルジュエリー販売は、「販売」という言葉を使っていますが、実は製造販売です。この製造部分で、もちろん仕入れも大事なのですが、加工といったところを徹底的に合理化しました。
当社はずっと黒字が続いていましたが、「おごり」もあり、リーマンショック直後に赤字に転落したことがあります。そして、配当もできなくなりました。そこで調べてみたところ、やはり製造部門に問題があり、非常にロスが多かったのです。そこで、今は下請け制度と言いながらも全部管理しています。
そこで、製造コストを落として、質の高いデザインによって付加価値を高めました。売りを高くして、仕入れが安くなったため、結果として利益を上げているということです。
質問者2:一過性ではなく、(今後も成長が)継続ができる、その実力が付いたという理解でよろしいわけですね?
白石:そのとおりです。
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