ブレグジット:ジョンソン英首相に与えられた時間は1週間!?

著者:西田明弘
投稿:2019/10/04 12:30

大詰めを迎えつつあるブレグジット

10月31日のブレグジットの期日まで1カ月を切り、英国とEUの交渉は大詰めを迎えつつあるようです。ジョンソン英首相は2日、EUに対して新たな協定案を提示しました。問題となっているアイルランド国境のバックストップについて、「4年間は2つの国境」を提案しました。

「4年間は2つの国境」

「4年間は2つの国境」とは、英領北アイルランドはEUの規制に従い(=北アイルランドと英本島間のアイリッシュ海に「規制上の国境」)、一方で北アイルランドとアイルランド共和国(EUの一員)の間で税関チェックを行う(=「税関上の国境」)というものです。そして、4年ごとに北アイルランドが継続か、終了かを決定します。ただし、終了を決定した場合にどんな選択肢があるのかは明示されていないようです。

EUと英議会の反応

2日のジョンソン首相の提案に対して、EUのバルニエ主席交渉官は「提案は合意の条件に全く届いていない」と述べました。EUはジョンソン首相に対して1週間以内に提案を修正するか、さもなければ離脱を延期するよう伝えた模様です。

他方、英議会はジョンソン首相の提案を支持する方向でまとまりつつあるようです。ただし、ジョンソン首相は10月8-14日に議会を再び停止するようです。

ジョンソン首相の「プランB」

ジョンソン首相は2日の提案を「最終」とし、10月11日までに合意ができなくても31日にEUを離脱すると宣言していました。しかし、ここへきて態度を軟化させているようです。英国の担当者はブリュッセルでEU側と交渉を再開。ジョンソン首相もEU側と会談を持つ模様です。ジョンソン首相は「プランB」を持っているとの報道もあります。これはメイ首相がEUと合意したアイルランド国境のバックストップに期限を設ける計画のようです。

今後1週間で大きな進展も

いずれにせよ、ジョンソン首相はEUと交渉して提案を修正するのか。修正された提案を英議会は受け入れるのか。それとも英議会が停止を乗り越えて「合意なき離脱」を回避すべく離脱を延期させるのか。最終決着ではないとしても、今後1週間ほどで重要な進展がみられそうです。
西田明弘
マネ―スクエア チーフエコノミスト
配信元: 達人の予想