ダイナック Research Memo(9):東京オリンピック・パラリンピックの影響が想定されるものの限定的

配信元:フィスコ
投稿:2019/09/03 15:09
■今後の見通し

2. 2020年12月期の考え方
2020年12月期について、具体的な数値を交えて収益動向を論ずるには材料が不足している。しかし2019年10月の消費税率引き上げや2020年7月の東京オリンピック・パラリンピックの開催の影響について整理を進めておくことは有意だろう。

消費税率引き上げについて、ダイナックホールディングス<2675>は特段の懸念をしていない。弊社もその見方に賛成だ。消費税は日本全体に等しく適用されるため、あるところから他所への需要シフトといったことは起こり得ない。消費抑制といった行動変化も、仮に起こったとしても一時的なものにとどまるとみている。

東京オリンピック・パラリンピックの影響については、同社自身もまだその影響を測りかねているのが実情だ。ざっくりとした直感ベースの見方という条件付きながら、同社はプラス、マイナス双方の見方をそれぞれ1つずつ示している。プラス影響はインバウンド客の増加だ。この点は疑う余地はなく、それをどれだけ店舗売上に結び付けられるかにかかっている。一方マイナス影響は東京オリンピック・パラリンピック期間中の在宅勤務・時差出勤の導入だ。これは同社のバー・レストランの顧客が都心部のビジネスパーソンであることが背景にある。ただし、これらはあくまで首都圏のバー・レストランの話で、大阪圏のバー・レストランやゴルフクラブレストランなどには直接の影響はないと考えられる。

以上のように、2020年12月期は東京オリンピック・パラリンピックの開催期間を中心とした短期間において通年とは異なる影響が出ることが想定されるものの、年間を通した場合にはこれまで同様、新規出店・改装及び新規受託などの営業努力や天候の影響などで業績が形成されてくると弊社では考えている。具体的には、これまで進めてきた直営ビジネスの高付加価値業態シフトや受託ビジネスの拡大、人材基盤整備への先行投資、などによって売上高は増収基調が継続するとみている。利益面では人件費の上昇は懸念要因として残るものの、商業施設(受託ビジネス)における費用コントロールでは習熟度効果による改善が期待され、中期成長戦略で掲げる増益計画の達成は十分可能だと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)


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