■中期展望
ファーストブラザーズ<3454>の成長戦略を一言で言えば「賃貸不動産ポートフォリオ拡充戦略」による持続的成長である。この戦略は株式上場をした2015年2月前後からであり、中期的にも変わらない。賃貸不動産ポートフォリオを拡充させることにより、安定的収益(賃貸料収入)を向上させ、バリューアップを通じて含み益を増大させ、ポートフォリオの入れ替え(一部物件の売却)によりその含み益を顕在化させ、売却利益を獲得する。
また、同社は地域社会との共生を通じて、地域と共に持続的な成長を実現する方針を掲げている。2019年11月期においては、ポテンシャルの高いエリアを見極め、当該エリアに集中的に投資し、その街づくりに貢献することで地域社会との共生を図りながら、長期的観点に立ったバリューアップを図ることを計画しており、中長期的な賃貸不動産ポートフォリオのさらなる拡充を予定している。
上記の成長戦略に基づき、同社は、2019年4月26日付で、東日本不動産の株式(議決権保有割合99.6%)を取得し連結子会社とした。東日本不動産は1983年の設立以来、東北エリアにおいて地域に根差した不動産会社として多数の優良なオフィスビルや商業施設等を所有運営し、信頼と実績を積み上げてきた企業である。東日本不動産は物件の保有を基本としてきた点で若干の違いはあるものの、不動産を通して地域とともに持続的な成長を実現するという方針が同社と共通であったことが、買収する大きな要因となった。
東日本不動産の総資産は11,059百万円、売上高1,844百万円、営業利益493百万円(いずれも2018年2月期)となっており、財務的にも健全で創業以来37年にわたって安定した経営を行ってきた会社である。長年事業を行ってきたオーナーが第三者に事業を承継するという経緯のなかで、今回の株式譲渡が成立した。取得価額は、4,159百万円(同社による株式取得額及び東日本不動産による自己株式取得額、並びにアドバイザリー費用等の概算合計額)。同社は東日本不動産の一部ローン返済の肩代わりをした分を合わせて、金融機関から6,850百万円の借入を実施。2019年5月からは、同社の決算に連結された(上期は1ヶ月分のみ)。
同社は、「自己勘定投資による賃貸不動産ポートフォリオの拡充」を成長戦略としている。M&Aの形となったが、同社の基準に合う物件のポートフォリオを拡充したという点では今回の取り組みは一貫した政策に基づいている。東日本不動産の賃貸不動産の残高は12,709百万円(2019年11月期第2四半期)であり、同社の残高の25.9%に当たる。物件の用途では、オフィスと商業が多い。オフィスでは、東日本不動産仙台ファーストビル(宮城県仙台市)、東日本不動産盛岡駅前ビル(岩手県盛岡市)、AQUA青森スクエアビル(青森県青森市)など駅前やビジネス街に優良資産を保有する。商業ではロードサイドを含めて小規模な物件も保有している。平均の物件規模は508百万円であり、同社の既存の物件規模1,255百万円と比較して小さい。東日本不動産の物件の特長はNOI利回りが8.0%と高いことであり、既存物件の安定稼働時のNOI利回り6.4%と比較するとその違いは際立つ。東日本不動産が連結に加わることで、年間約10億円のNOIを押し上げる効果がある。今後は相互に協力しながら、保有すべき不動産に磨きをかけ、売却すべきタイミングの不動産は売却するという展開になるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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ファーストブラザーズ<3454>の成長戦略を一言で言えば「賃貸不動産ポートフォリオ拡充戦略」による持続的成長である。この戦略は株式上場をした2015年2月前後からであり、中期的にも変わらない。賃貸不動産ポートフォリオを拡充させることにより、安定的収益(賃貸料収入)を向上させ、バリューアップを通じて含み益を増大させ、ポートフォリオの入れ替え(一部物件の売却)によりその含み益を顕在化させ、売却利益を獲得する。
また、同社は地域社会との共生を通じて、地域と共に持続的な成長を実現する方針を掲げている。2019年11月期においては、ポテンシャルの高いエリアを見極め、当該エリアに集中的に投資し、その街づくりに貢献することで地域社会との共生を図りながら、長期的観点に立ったバリューアップを図ることを計画しており、中長期的な賃貸不動産ポートフォリオのさらなる拡充を予定している。
上記の成長戦略に基づき、同社は、2019年4月26日付で、東日本不動産の株式(議決権保有割合99.6%)を取得し連結子会社とした。東日本不動産は1983年の設立以来、東北エリアにおいて地域に根差した不動産会社として多数の優良なオフィスビルや商業施設等を所有運営し、信頼と実績を積み上げてきた企業である。東日本不動産は物件の保有を基本としてきた点で若干の違いはあるものの、不動産を通して地域とともに持続的な成長を実現するという方針が同社と共通であったことが、買収する大きな要因となった。
東日本不動産の総資産は11,059百万円、売上高1,844百万円、営業利益493百万円(いずれも2018年2月期)となっており、財務的にも健全で創業以来37年にわたって安定した経営を行ってきた会社である。長年事業を行ってきたオーナーが第三者に事業を承継するという経緯のなかで、今回の株式譲渡が成立した。取得価額は、4,159百万円(同社による株式取得額及び東日本不動産による自己株式取得額、並びにアドバイザリー費用等の概算合計額)。同社は東日本不動産の一部ローン返済の肩代わりをした分を合わせて、金融機関から6,850百万円の借入を実施。2019年5月からは、同社の決算に連結された(上期は1ヶ月分のみ)。
同社は、「自己勘定投資による賃貸不動産ポートフォリオの拡充」を成長戦略としている。M&Aの形となったが、同社の基準に合う物件のポートフォリオを拡充したという点では今回の取り組みは一貫した政策に基づいている。東日本不動産の賃貸不動産の残高は12,709百万円(2019年11月期第2四半期)であり、同社の残高の25.9%に当たる。物件の用途では、オフィスと商業が多い。オフィスでは、東日本不動産仙台ファーストビル(宮城県仙台市)、東日本不動産盛岡駅前ビル(岩手県盛岡市)、AQUA青森スクエアビル(青森県青森市)など駅前やビジネス街に優良資産を保有する。商業ではロードサイドを含めて小規模な物件も保有している。平均の物件規模は508百万円であり、同社の既存の物件規模1,255百万円と比較して小さい。東日本不動産の物件の特長はNOI利回りが8.0%と高いことであり、既存物件の安定稼働時のNOI利回り6.4%と比較するとその違いは際立つ。東日本不動産が連結に加わることで、年間約10億円のNOIを押し上げる効果がある。今後は相互に協力しながら、保有すべき不動産に磨きをかけ、売却すべきタイミングの不動産は売却するという展開になるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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