悲観ムードが高まる中で、米重要統計の発表=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2019/08/15 11:56

悲観ムードが高まる中で、米重要統計の発表

【基調】
 方向感模索

【注目イベント】
 ・8/15 米7月小売売上高、米7月鉱工業生産
 ・8/15 米8月NY連銀製造業景況指数、米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
 ・米長期金利、主要国株価
 
 
【本文】
昨日は、中国7月鉱工業生産が前年比で17年ぶりの水準に低下し、独4-6月期国内総生産(GDP)は3四半期ぶりに前期比マイナスに落ち込んだ。世界景気の後退(リセッション)に対する懸念が強まる中、米債市場では10年債利回りが2年債利回りを下回る「逆イールド」が発生。米株式市場ではNYダウ平均が800ドル値下がりした。為替市場ではリスク回避の円買い圧力が高まり、ドル/円は105円台に押し戻された。

市場に悲観ムードが広がる中、本日のNYタイムに発表される米7月小売売上高や米7月鉱工業生産の結果が注目されそうだ。市場予想は、それぞれ+0.3%、+0.1%(いずれも前月比)となっており、米国経済の底堅さを示すと見られている。仮に、そうした予想に反してこれらの指標が悪化すれば、悲観ムードがさらに強まりかねないだけに結果を見極めたいところだ。特に、小売売上高は米国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費に絡む重要統計であり、変動の大きい自動車を除いた数値(予想:前月比+0.4%)など、サブ項目への注目度も高い。重要統計であるがゆえに、予想以上の好結果なら米国債の「逆イールド」が解消するきっかけになる可能性もある。なお、本日はNY連銀とフィラデルフィア連銀が取りまとめる8月製造業景況指数の発表も予定されている。市場の不安や懸念を緩和するのか、あるいは増幅してしまうのか、一連の米経済指標に注目したい。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想