FRBと市場のコミュニケーション=外為どっとコム総研 神田卓也

著者:神田卓也
投稿:2019/06/04 08:52

FRBと市場のコミュニケーション

昨日のドル/円は一時107.80円台まで下落して1月10日以来の安値を更新した。米5月ISM製造業景況指数が予想を下回った上に、セントルイス連銀のブラード総裁が早期利下げの可能性に言及した事で米長期金利の低下に拍車がかかり、ドル安・円高が進行した。米5月ISM製造業景況指数の予想外の悪化は、米経済の先行きに対する不安を強めるものであった。筋金入りのハト派であるブラード総裁のハト派発言に市場が反応したのもそのためだろう。なお、米連邦準備制度理事会(FRB)は、本日から明日までの予定で「金融政策の戦略・手段・コミュニケーション」を議題に会議を開く。会議の冒頭では、パウエルFRB議長の講演も予定されている。もし議長から利下げ含みのハト派発言が飛び出せばドル売りが加速するだろう。もっとも、議長は1カ月前の会見で「米経済は良好な軌道にある」「現在の政策スタンスは適切」との見解を示している。この見解に変化がなければ早期利下げ観測が後退してドルに買戻しが入りそうだ。FRBの会議のタイトルどおり、市場とのコミュニケーションが本日の焦点となろう。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
配信元: 達人の予想