下を意識しつつも、引き続き、レンジ相場か

著者:比嘉洋
投稿:2019/05/29 11:52

●為替報告書も肩透かし

ドル円(日足)
本来、4月に発表されるはずであった米為替報告書。今回はずれにずれて昨日発表され、中国は為替操作国に認定されず、我が国同様、監視対象国どまりとなりました。元々、為替操作国に認定されるには3つの要件を満たす必要がありますが、その要件を満たすにはかなり難しいとされていますので、想定通りの結果と言えそうです。

ここに来てイタリア財政懸念がクローズアップされ、その懸念はイタリアのみならず欧州経済の先行き懸念を再燃。また、中国の有力者が米国に対して反発の呟き。米中問題の長期化がリスクオフへ燃料投下している状況です。

●これまでの相関に変化か?

これまで、債券利回りが低下すると、株式市場は上昇の構図が出来ていましたが(本来であれば、経済成長鈍化→株安・債券利回り低下というのがまっとうな動きと考えられていました)、昨日の動きを見ると、債券利回り低下、株安となっておりました。これまでの債券と株式市場の構図に変化が出てきているのか、個人的に注目しています。米10年債利回りは2.25%台まで低下しています。本来であれば、ドル円も109円割れとなっても不思議ではないのですが、世界的な景気後退に伴い、ドルに資金が向かっていることから、サポート要因として機能しています。また、東京時間に入ると、実需(輸入)のドル買いが持ち込まれているようであり、その辺りもレンジワーク化になっている要因と思われます。トランプ大統領の発言を見る限り、市場では常にリスクオフ方向を意識したオペレーションをせざるを得ない状況でありますが、ドル円のレンジ109.00~110.50円と考えております。
比嘉洋
マネースクエア シニアコンサルタント
配信元: 達人の予想