[資源・新興国通貨12/24-28の展望] 主要国の株価動向には要注意
豪ドル
豪ドルは今週(12/17の週)、対米ドルや対円で1カ月半ぶりの安値を記録しました。米国の主要株価指数が下落したことで、リスク回避の動きが強まったことが要因です。投資家のリスク意識の変化(リスクオン、リスクオフ)を反映しやすい豪ドルにとって、主要国の株安はマイナス材料です。
豪ドルについては引き続き、主要国(特に米国)の株価動向に反応しやすい展開になりそうです。主要国の株価が下落した場合、豪ドルにはさらに下押し圧力がかかる可能性があります。豪ドル/米ドルや豪ドル/円の下値メドとして、それぞれ0.7020米ドル(10/26安値)、76.76円(2016/11安値)が挙げられます。
NZドル
NZの7-9月期GDPが20日に発表され、結果は前期比+0.3%と、4-6月期の+1.0%から成長率が鈍化しました。
7-9月期は約5年ぶりの低成長だったうえ、RBNZ(NZ中銀)の11月時点の見通しである+0.7%を下回りました。そのため、市場では利下げ観測が浮上しました。
利下げ観測が浮上することは、NZドルにとってマイナス材料です。米国など主要国の株安(リスク回避要因)が加わる場合、NZドルは下げ幅が大きくなる可能性があります。NZドル/米ドルやNZドル/円の下値メドとして、それぞれ0.6705米ドル(11/12安値)、73.56円(11/1安値)が挙げられます。
カナダドル
カナダドルは今週(12/17の週)、対米ドルで1年半ぶり、対円で8カ月半ぶりの安値を記録しました。カナダドル下落の背景には、原油安やBOC(カナダ中銀)の利上げ観測の後退があります。
供給過剰への懸念から、原油価格は下落傾向にあり、代表的な指標である米WTI先物は今週、中心限月ベースで約1年4カ月ぶりの安値をつけました。原油価格については、米国とロシアの12月の産油量が増加するとの観測があり、また世界経済の鈍化によって需要が減少するとの見方があります。供給過剰への懸念は残存するとみられ、原油価格は今後も軟調に推移する可能性があります。
BOCの利上げ観測は、12月5日のBOC政策会合をきっかけに大きく後退。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では、会合前には2019年1月の利上げの確率が60%程度(据え置きは約40%)織り込まれていました。それが足もとでは、据え置きの確率がほぼ100%へと変化しています。
原油価格が下げ止まらないうえ、BOCの利上げ観測が後退した状況では、カナダドルには下落圧力が加わりやすいとみられます。カナダドル/円は、80.55円(3/19安値)に向けて下がる可能性があります。
トルコリラ
トルコリラは今週(12/17の週)、堅調に推移し、対米ドルで約2週間ぶりの高値をつけました。対円については、米国の株安によって円高圧力が強まったこともあり、21円前後での“もみ合い”でした。
トルコリラが堅調だった要因として、米ホワイトハウスが19日、「米軍がシリアからの撤退を開始した」と発表したことが挙げられます。トルコ政府はシリア国内のクルド人勢力を掃討するため、同国のユーフラテス川の東側で軍事作戦を開始する方針を示しており、市場ではトルコ軍が作戦を開始すればクルド人勢力を支援する米軍と衝突するとの懸念があります。ホワイトハウスの発表を受けて、その懸念が後退しました。
トルコリラは当面、底堅い展開になる可能性があります。ただ、対円については、主要国の株価動向の影響を受けそうです。主要国株価が下落すれば、円高圧力が強まるとみられ、トルコリラ/円は上値が重くなる可能性があります。
南アフリカランド
南アフリカランド/円は今週(12/17の週)、1カ月半ぶりの安値を記録しました。米国の主要株価指数が下落したことで、リスク回避の動きが強まったことが要因です。南アフリカランド/円については、引き続き、主要国の株価動向に影響を受けやすい地合いになるとみられます。主要国の株価が下落した場合、南アフリカランド/円は下値を試す展開になる可能性があり、その場合の下値メドとして、7.52円(10/9安値)が挙げられます。
配信元: