[資源・新興国通貨12/17-21の展望] トルコ中銀は政策金利据え置き。早期利下げ観測は残る!?
豪ドル
豪ドルは今週(12/10の週)、底堅く推移しました。米中通商協議が進展するとの期待からリスク回避の動きが緩和したことが主な要因と考えられます。
豪ドルは依然として、投資家のリスク意識の変化(リスクオン、リスクオフ)に反応しやすい地合いであり、この状況は当面続きそうです。米中通商協議に関する報道や主要国の株価動向に注意が必要です。
豪ドル/米ドルについては、米FOMCの結果の影響を受ける可能性があります。FOMCを受けて米ドルが全般的に弱含めば、豪ドル/米ドルは堅調に推移するとみられる一方、米ドルが全般的に強含む展開になれば、豪ドル/米ドルには下落圧力が加わりやすいと考えられます。
18日にRBA(豪中銀)議事録が公表され、20日に豪州の11月雇用統計が発表されます。それらに豪ドルが反応する可能性があります。ただ、この数カ月間、雇用統計の結果などに対する豪ドルの反応は一時的に終わることが続いてきました。今回も同じ展開になる可能性があります。
NZドル
NZの12月企業信頼感指数(企業景況感)が18日、7-9月期GDPが20日に発表されます。それらの結果がNZドルの材料になる可能性があります。RBNZ(NZ中銀)は低水準の企業景況感を背景に、NZ経済の減速を懸念しており、景気が悪化した場合には利下げを検討するとしているためです。
12月の企業信頼感指数が11月のマイナス37.1%から改善し、かつ7-9月期GDPがRBNZの11月時点の見通しである前期比+0.7%を上回れば、NZドルの上昇要因になる可能性があります。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)が12月5日の会合時の声明で、利上げペースが今後鈍化する可能性を示したことで、市場では19年1月9日の会合での利上げ観測が後退。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が織り込む19年1月の利上げの確率は、足もとで10%程度(5日の会合前は60%程度)です。1月利下げ観測の後退がカナダドルの重石となっています。
カナダの11月CPI(消費者物価指数)が19日、10月GDPが21日に発表されます。それらが強い結果になれば、市場では1月利上げ観測が再び強まる可能性があります。
カナダドルについては、原油価格の動向にも注意が必要です。OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非加盟産油国が7日、日量120万バレルの協調減産を行うことで合意。そのことは原油価格の下支え要因と考えられます。一方で、市場では供給過剰への懸念が根強くあるようです。原油価格が大きく変動すれば、カナダドルが反応する可能性があります。カナダドルにとって、原油価格の下落はマイナス材料、原油価格の上昇はプラス材料です。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は12月13日、政策金利(1週間物レポ金利)を24.00%に据え置くことを決定しました。据え置きは市場の予想通りです。
TCMBは声明で、「政策委員会は、インフレ見通しが大幅に改善するまで、金融政策の引き締めスタンスを維持することを決めた」、「インフレに影響を及ぼす要因を注視し、必要に応じてさらなる金融引き締めを行う」と表明しました。
市場でTCMBが19年の早い時期に利下げに転じるとの観測があるなか、声明でインフレ抑制に注力する姿勢が示されたことは、トルコリラの支援材料になるかもしれません。
ただ、TCMBは今回の声明で、前回10月までの「インフレ見通しが大幅に改善するまで、金融政策の引き締めスタンスを“断固として”維持する」から「断固として」を削除しました。市場ではそれを“緩和方向への政策スタンス変更のシグナル”との見方もあります。TCMBの早期利下げ観測は今後も残るとみられます。
TCMBの次回会合は19年1月16日。1月初めには今年12月分のCPIが発表される予定です。TCMBの次回会合に向けて、利下げ観測が強まるようであれば、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。
トルコリラについては、シリア情勢に注意が必要かもしれません。エルドアン・トルコ大統領は12日、数日以内に、シリア国内のクルド人勢力を掃討するため、同国北東部のユーフラテス川の東側で軍事作戦を開始すると表明しました。それに対して、クルド人勢力を支援する米国は、一方的な軍事作戦は受け入れらないとしており、今後の展開次第では米国とトルコの関係が再び悪化する可能性もあります。
南アフリカランド
南アフリカの11月CPI(消費者物価指数)が12月12日に発表されました。結果は前年比+5.2%と、市場予想の+5.1%を上回り、10月の+5.1%から上昇率がやや加速。2017年5月以来の強い伸びを記録。SARB(南アフリカ中銀)のインフレ目標(+3から6%)の範囲内に収まったものの、目標中央値である+4.5%から一段と離れました。
ただ、11月のCPI上昇率の結果に対して、南アフリカランドは反応薄でした。南アフリカの景気は低迷しており、市場の“SARBは政策金利を当面据え置く”との見方に変化がなかったためと考えられます。
来週(12/17の週)は、南アフリカの経済指標発表が予定されていません。独自材料に乏しいことから、南アフリカランドは外部要因に影響を受けやすい地合いになりそうです。外部要因としては、米中通商協議に関するニュースや主要国の株価動向、そして米FOMC(を受けた米ドル全般の動き)が挙げられます。
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