今週は、アメリカ株式と為替に注目しながら、下値を確認する動き

著者:出島 昇
投稿:2018/10/15 18:40

先週は、アメリカの長期金利の高止まりと米中貿易摩擦の長期化懸念から世界同時株安へ

 先週の予測では、アメリカの長期金利の上昇が焦点になるとし、アメリカ経済は堅調ながら、長期金利の上昇スピードに警戒感が出て株式が売られており、ここはいったんの調整となるところとしました。すでに柴田罫線のNYダウの分析で27000ドル台は目先の上値になるところとしていましたが、10月3日の26951ドルと27000ドル台にのせなかったものの、ここをピークに下落となりました。日経平均も連動して24500円を上値のメドとしましたが、同じように10月2日の24448円を高値に調整となりました。

 アメリカ株式の大幅下落は、長期金利の高止まりを嫌気した形ですが、背後の米中貿易摩擦の激化の長期化懸念があり、10月10日(水)にムニューシン財務長官が中国の為替操作の可能性に言及したことで、一気にこの懸念が生じ、NYダウは▼831ドルの25598ドルの急落となり、11日(木)の日経平均は一時1000円を超す下げとなり、終値は▼915円の22590円で引けました。

 週末の日経平均は、NYダウが連日の大幅安となって世界同時株安となりましたが、△103円の22694円と反発して引けました。

 連休明けの10月9日(火)は、前日の上海株安、円高を嫌気し、▼233円の23550円で寄り付き、一時▼340円の23442円まで下げ、終値は▼314円と大幅な4日続落となりました。9月18日以来の23500円割れでした。

 10日(水)は、前日までで4日連続で▼801円の下落で、△69円の23538円と買い先行で始まり、23589円まで上昇したあと、マイナスに転じ▼95円の23373円まで下げるものの、再びプラスに転じ△36円の23506円と5日ぶりの反発となりました。上下にふれ方向感のない展開でした。

 11日(木)は、前日のアメリカ市場で長期金利の高止まりと米中貿易摩擦の激化懸念から▼831ドルの25598ドルの急落となり、これを受けて日経平均は▼462円の23043円で寄り付き、後場には一時▼1047円の22459円まで下げ、終値は▼915円の22590円の大幅反落となりました。

 週末の12日(金)は、前日のアメリカ市場で長期金利は低下したのでプラス圏に浮上する場面があったものの、原油安が嫌気され再び大きな下落となり、NYダウは▼545ドルの25052ドルとなったことで、▼267円の22323円で寄り付きました。しかし、寄り付きを安値に下げ渋り徐々に戻りを試す動きとなり、後場になると一時△120円の22711円まで上昇し、終値は△103円の22694円と反発して引けました。10月SQ値は22313円でしたので、SQ値を上回って引けました。世界同時株安に一応歯止めがかかった形となりました。

 12日(金)のアメリカ市場は、前日までの2日連続の大幅安の反動で寄り付きから前日の終値から300ドル超えの25407ドルで始まり、一時△414ドルの25467ドルまで上昇。その後、マイナス圏まで押し戻され25000ドルをつけたあとは、再度、買い戻され△287ドルの25339ドルで引けました。金融機関の良好な決算が追い風となりました。シカゴの日経先物は為替がドル/円で一時、1ドル=111.88円までのドル安・円高となったこともあり▼100円の22550円で引けました。

今週は、アメリカ株式と為替をみながらの下値確認の動きへ

 今週は、先週のアメリカの長期金利の上昇基調をきっかけに急落となったアメリカ株式の値動きと為替の動向を注目することになります。日経平均は、テクニカル的には、25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線を割り込み、これまでの上昇基調が崩れた形となりました。

 さらに13日(土)にアメリカのムニューシン財務長官が日本との物品貿易協定の交渉で通貨安の誘導を防ぐ為替条項を求めることを表明したことで、為替の行方の不透明さが出てくる可能性があります。そのため今週も、アメリカ株式と為替に注目しながら、下値を確認する動きとなりそうです。まずは、先週末のSQ値22313円を守れるか、守れなければ22000円の心理的抵抗ラインが意識されます。

 本日は、ムニューシン財務長官の通貨安の誘導を禁じる為替条項を求める考えを発表したことから、円高基調となり、寄り付きは▼193円の22501円ながら、その後は円高基調に中国株安が加わり、後場にはETF買い観測がみられたものの売りに押され、一時▼432円の22261円まで下落し、大引けは▼423円の22271円で引けました。柴田罫線には売法則が出ましたが、大きな下落のあとの売法則は、相場の底に近いことを意味する場合が多いようです。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、アメリカの長期金利の上昇が日米金利差拡大に結びつけば株式は上昇するが、長期金利の上昇が早すぎるとの見方が続けば米株価は下落となり、日経平均も下落となるとしました。

 結局、NYダウは大幅下落し、日経平均も連動する形となりました。その背景は長期金利の高止まりが続いて嫌気されていたところに、ムニューシン財務長官が中国が為替操作している可能性があると言及したことで、米中関係の悪化から米中貿易摩擦の急激な悪化が長期化するとの見方から10月10日(水)、11日(木)と2日連続の大幅下落となりました、日経平均も10月11日(木)には、一時1000円を超す下げとなり▼915円の22590円で引けました。

 週末は22323円の安値をつけたあとプラスに転じ△103円の22694円で引けました。

 今週は、長期金利の上昇基調から急落のきっかけとなった米株式相場の値動きと為替の動きが注目されます。特に為替ではムニューシン財務長官が13日(土)に日本との貿易協定の中に通貨安の誘導を禁じる為替条項を求める考えを表明しました。為替への影響が気になるところです。目先の下値は先週末の10月SQ値22313円を終値で守れるかどうか注目され、ここを切ると22000円が意識されますが、柴田罫線でみると目先の安値水準にきているようにみえます。

 本日は、ムニューシン財務長官の為替条項を求める発言から円高基調に傾き、中国株が安かったことで▼423円の22271円と大幅反落となって、短期の売転換が出現しましたが、柴田罫線のフシにほぼ接近しています。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、基本的には米中貿易摩擦への懸念が背景にあるため、引き続き長期金利の上昇が継続すれば株式市場は上値の重い展開となり、柴田罫線では終値で26383ドル以下で引けると短期の売転換となり、調整が長引くことになるとしました。

 結果的に、10月10日(水)に長期金利の高止まりの中、ムニューシン財務長官が中国は為替操作の可能性があると言及したことで、米中貿易摩擦の激化懸念から、NYダウは▼831ドルの25598ドルとなって柴田罫線では売転換が出現し、翌日も引き続き24899ドルまで下落して▼545ドルの25052ドルと2日連続の大幅続落となりました。週末は、25407ドルで寄り付き、25467ドルまで上昇し、一時25000ドルまで下げるものの終値では△287ドルの25339ドルで引けました。

 先週末は、2日連続の大幅安のあと△287ドルの25339ドルで引けて、世界株安に歯止めがいったんかかりましたが、今週はその歯止めがかかったかどうか注目する相場となります。そのためには、今後の利上げ方針がどうなるのか注視することになります。10月17日のFOMCで9月25~26日の議事録公開の内容が今後の利上げ見通しについて何らかの示唆があるのかどうかが焦点となります。又、7-9月決算シーズンが本格化するので米中貿易摩擦の影響があるのかどうかも注目されます。チャートをみると目先は下値ゾーンに届いているようにも見えますが、予想外のショック安ですので様子見の中でのもみあいとなりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、長期金利の高止まりからNYダウが下落しているものの、NYダウが落ち着けば日米金利差からみるとドルの下値は限定的で112.5~114.5円のレンジを想定しました。

 結果的には、NYダウが予想外の大幅下落となり、つれてリスク回避のドル売りとなって2日連続のNYダウの大幅続落の時点では10月11日(木)に111.83円まで下落しました。長期金利の高止まりに加え、ムニューシン財務長官が中国に対して為替操作の可能性を言及したことで米中貿易摩擦の激化の長期化懸念からドルが売られました。

 今週は、米長期金利の動向とNYダウの動向を見極めながらドルは下げ渋る展開が想定されます。10年債利回りの上昇は一服したものの、上昇スピードに対する懸念だったことで、いったん落ち着いてアメリカ経済の堅調さが示されれば、再びゆっくりとドルが買われてくることになります。又、ムニューシン財務長官に対して米財務省は「中国は為替操作していない」と報告されたとの一部報道もあり、中国が為替操作国と認定されなければ、ドルが買われることになります。111.5~113.5円のレンジを想定。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム