今週のまとめ9月17日から9月21日の週

著者:MINKABU PRESS
投稿:2018/09/22 08:05
 17日からの週は、リスクオンの動きが広がる展開となった。日経平均、ダウ平均ともに上昇が目立つ展開で、日経平均は14日からの6連騰を記録して8か月ぶりの高値に。ダウ平均株価も8か月ぶりの高値を付けるなど、世界的な株高傾向が目立つ中で、リスクオンでの円売りが広がる展開となった。17日のNY夕方に米政府が2000億ドル規模の対中追加関税を24日に発動させると報じられるなど、通商摩擦問題は継続も、すでに織り込み済みで新味に欠けるとして、流れを変えるにはいたらなかった。米10年債利回りが節目の3%をしっかりと超えるなど、株式市場以外でもリスクオンの流れが目立ち、ドル高円売りに寄与。ブレグジット交渉に関してはメイ首相がEU側からの提案を拒否するなど警戒感を意識される材料も見らえたが、こちらもリスクオンの流れに影響は限定的に。新興国通貨はトルコ政府が出した中期経済計画で経済成長見通しが抑えられ、強引な財政支出への懸念が後退との思惑がリラ買いに。南アランドなどその他新興国通貨の買い戻しにもつながり、ドル安新興国通貨高。リスク回避懸念後退での円売りも見られ、ドル円はしっかりの展開が続いた。

(17日)
 東京市場は敬老の日の祝日のため休場。

 ロンドン市場は、円安とドル安の動きが優勢。ドル円は111.85レベルまで下押しも112円近辺に戻している。ユーロドルは1.16台前半から後半へ、ユーロ円は130円台前半から後半へと上昇。先週末に米中貿易戦争への警戒感が広がったことを受けて円高・ドル高の流れで取引を終えたが、週明けのロンドン市場ではその動きに調整が入る格好となっている。ただ、東京不在のアジア市場では中国・香港株が下落しており、米中貿易戦争への警戒感は根強い。欧州市場ではイタリア株が買われているが、英独仏株は売り圧力に押されており、リスク動向は不安定。

 NY市場では、ドル売りが優勢。米中貿易問題への懸念根強い中、ドル円は112円挟みの上下動。上値は重かったものの底堅さは維持している。NY株式市場でIT・ハイテク株が下落しておりドル円を圧迫したものの、下値での押し目買い意欲も旺盛なようだ。クロス円の上昇もサポート。ユーロ円は一時131円ちょうど近辺まで上昇。ユーロドルは1.16台後半から1.17台をうかがう動き。ユーロにとっては、ロンドン時間にクーレECB専務理事が、利上げ開始後、利上げペースについて明確なガイダンスを示す必要があるのかもしれない、と述べたことが買いを誘った面も。ポンドにとっては、EU離脱交渉の合意への期待が下支え。

(18日)
 東京市場では、米中貿易戦争の話題をめぐって振幅。朝方、米国による中国からの輸入品約2000億ドル規模に対する追加関税を24日に発動するとの報道があり、円高・ドル高の動きが広がった。ドル円111.67レベルまで下落。ユーロ円は130円台後半から前半へと下落。しかし、午前中には円高の動きは収束する。その後は日経平均の大幅上昇とともに112円近辺、131円近辺へとそれぞれ反発した。7月の暫定リスト公表以降、同関税の発動は織り込みが進んでおり、中国株などへの影響も限定的になったことが、市場への影響を抑制する格好に。米債利回りの上昇もドル円の下支え。

 ロンドン市場では、円売りが優勢。中国が米国への対抗措置の発動を発表し、一時円買いの反応がみられたが、取引中盤にかけて再び円売りが優勢になっている。欧州株や米株先物が堅調に推移、サウジ発言を受けた原油高もあってリスク動向は回復している。米国の対中関税発動については、当初の関税率を10%に抑えたことが評価された面もあったようだ。各通貨とも振幅したが、ドル円は112円台乗せ、ユーロ円は131円台乗せ、ユーロドルは1.17近辺となっている。

 NY市場は、円安水準を維持している。米国に続いて中国が関税で対抗措置の発動を発表したが。ドル円は112円台前半の水準を維持。米10年債利回りが3%台に上昇しており、米株も堅調。ユーロドルは一時1.17台に乗せたが、ドル買い圧力に押されて1.16半ば近辺まで反落。ユーロ円も131円台半ばから一時131円割れまで反落。ただ、取引終盤には下げ渋っている。米中貿易戦争に関しては、市場の冷静な反応が目立っている。

(19日)
 東京市場は、落ち着いた値動き。ドル円は112円台前半での揉み合い。レンジは112.23から112.43までと20銭幅にとどまった。日経平均は一時400円超高と堅調。上海株もプラス圏で取引されている。李中国首相が人民元を輸出支援のために切り下げることはないと発言したことで人民元買いが進行。豪ドルなども上昇し、クロス円の買いからドル円がしっかりとなった面も。日銀金融政策決定会合は事前見通し通りの現状維持で、市場は反応薄。

 ロンドン市場は、ポンド相場が乱高下している。リスク選好ムードや英CPIの上振れで買われたあと、メイ英首相がEU側の提案を拒否との一部報道が伝わると急反落している。ポンドドルは1.32台乗せから1.31台割れまで、ポンド円は148円台半ばから147円台前半での上下動。総じて円売りが優勢だったが、ユーロ円はポンド円に連れて序盤の上昇を消している。131円台で上に往って来いに。ドル円は112円台前半での揉み合い。豪ドル円は比較的堅調さを維持している。

 NY市場は、ドル円が神経質な展開となり112円台前半での小幅な値動きに終始した。米株式市場でダウ平均は大幅高、米国債利回りも上昇しておりドル円にとって外部環境は追い風となっている。しかし、ドル円の上値は重い。欧州通貨が伸び悩んでおりクロス円の下落がドル円を圧迫しているほか、ドル買いが強まる雰囲気もない。

(20日)
 東京市場は、やや円高が優勢な展開に。前日の海外市場でドル円の112円台半ば手前の売りに頭を抑えられたことで、ポジション調整の円買いが入っていた。14時過ぎに結果が発表された自民党総裁選は、事前見通し通り安倍首相が三選を決めた。予想通りとして発表直後の反応は一息も、その後海外勢の日経平均先物への売りをきっかけに、株安が一時優勢となり、ドル円も円高が強まる場面が見られた。その他動きを見せたのがNZドル。朝方のNZ第二四半期GDPがかなり強くNZドル買いが広がった。発表後の買いが収まった後も対ドルで高値圏推移が続くなど、堅調。
 ロンドン市場でドル円は東京市場午後からの調整ムードが継続。午前中にいったんは買い戻しが入るも112円30銭を付けきれず再び売りが強まった。もっとも112円手前の買いに下値を支えられ、大台は維持。その他目立ったのはトルコリラ買いからの新興国通貨の買い戻し。トルコは政府が発表した中期経済計画において、経済成長見通しが穏やかなものにとどめられ、強引な財政支出などが避けられるとの思惑がリラの買いを誘った格好に。

 NY市場はドル売り・円売りの動きが強まる中、ドル円はロンドンフィキシングにかけて買いが加速した。米中貿易問題はエスカレートしているものの、経済への影響は思ったほどではないのではとの楽観的な見方も市場には広がったようだ。ドル円はストップを巻き込んで一気に112.50円水準の突破を試す動きが見られ112.60円付近まで上昇する場面も見られた。

(21日)
 東京市場は、前日の海外市場の流れを受けて株高が広がり、リスク選好での円安が強まる展開となった。ドル円は112円70銭台まで。アジア株は米中通商摩擦問題への懸念が残る上海総合なども大きく買われ、株高がリスク選好を誘う格好に。豪ドルは格付け大手S&Pが見通しをネガティブから安定的に引き上げたことなども買いを誘った。その他目立ったのが香港ドル高。ドル安新興国通貨高の動きなどに刺激されて対ドルで大きく上昇。一時7.81割れと、2003年9月以来の水準まで大きくドル安香港ドル売りに。

 ロンドン市場は序盤の円安進行も、その後クロス円中心に調整が入る展開に。アジア株式市場の大幅高を受けて、序盤はリスク選好の動きが優勢に。ドル円が112円80銭台を付けるなどの動きがみられた。欧州株もしっかりで始まり、円安基調を支える格好に。もっともブレグジット交渉の難航が懸念されるポンドに売りが入ると、独・ユーロ圏の製造業PMIが冴えなかったユーロも高値圏から調整が入り、クロス円全般の調整が入る展開に。ドル円も高値からやや値を落とす格好となった。

 NY市場でドル円は序盤こそ買いが優勢となったものの次第に上値が重くなった。メイ英首相の発言でポンドが急落しユーロも連れ安。欧州通貨の下げがドル買いを誘発しドル円も一時112.80付近まで上昇し東京時間の高値をうかがう展開が見られていたが、次第に上値が重くなった。米株式市場でナスダック、債券市場で米10年債利回りが下げに転じ、ドル円の利益確定売りを誘ったようだ。ただ、サポートして意識される112.50水準は維持されている。

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