きちり Research Memo(1):次世代型ビジネスモデルの推進により成長スピードの加速とともに高収益化を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2018/09/19 15:25
■要約

きちり<3082>は、自社開発した業態による飲食事業を主に展開しているほか、自社店舗の運営で培ってきたノウハウを生かした飲食事業のコンサルティング等を行うプラットフォームシェアリング事業(以下、PFS事業)も行っている。高品質な料理とおしゃれ感を演出した店舗づくり、「おもてなし」の接客が顧客の支持を集め、競争が激しい外食業界の中にあって着実な成長を続けている。「KICHIRI」「いしがまやハンバーグ」等を中心に店舗数は、2018年6月末時点で全22業態、93店舗(前期末比3店舗増)に拡大、主に首都圏、関西圏を中心に事業展開している。2019年1月より持株会社制に移行する。

1. 2018年6月期はほぼ会社計画どおりに着地
2018年6月期の業績は、売上高で前期比4.5%増の9,241百万円、営業利益で同12.4%増の358百万円とほぼ会社計画通どおりに着地した。売上高は既存店が前期比横ばい水準で推移したほか、前期途中及び今期に新規出店した店舗の稼働により連続増収を達成した。食材コスト上昇により原価率が若干悪化したものの、販管費の抑制効果で営業利益率は前期比0.3ポイント上昇した。なお、今期は新業態としてグローサラント事業を立ち上げた。グローサラントとは小売と外食を融合したフードマーケットで、数年前から欧米等で普及し始めた新業態となる。2018年4月に国内初の本格的グローサラントとして大阪の商業施設「ルクア大阪」内に「Merca(メルカ)」を出店している。物販については(株)阪急オアシスが運営し、飲食店を同社が運営する。ワンフロアに9つの業態を出店しており、食のテーマパークとしてオープン直後から好評を得ている。また、同年5月にはイズミ・フード・サービス(株)と「いしがまやハンバーグ」のフランチャイズ契約を締結、今後は直営だけでなくFC展開での出店を進めていくことも発表している。

2. 2019年6月期も新規出店効果で増収増益続く
2019年6月期は売上高で前期比6.0%増の9,800百万円、営業利益で同11.7%増の400百万円と増収増益基調が続く見通し。既存店売上の前提は前期比2.0%減とし、新規出店は10店舗程度を計画している。前期同様、原価率はやや上昇するものの販管費率の抑制により、営業利益率は前期比0.2ポイントの上昇を見込んでいる。なお、イズミ・フード・サービスのFC出店については計画に織込んでいない。新業態の開発では既に、2018年7月にビビンバ専門店「VEGEGO(ベジゴー)」、ミルクティー専門店「CHAVATY(チャバティ)」を都心にオープンしている。同年4月にオープンした「Merca」の売上は、今期の売上増に寄与するものと期待される。

3. 次世代型ビジネスモデルでの成長を目指して行く
同社は外食業界が現在抱える課題は、「ライフスタイルの多様化への対応」「市場規模の縮小」「人材不足」の3点にあると考えており、これら課題を克服する次世代型ビジネスモデルを構築していくことで、成長スピードの加速化と高収益化を目指して行く戦略だ。「ライフスタイルの多様化への対応」では新業態を今後も積極的に開発し、FC展開も含めて多店舗展開と高収益化を図っていく。「市場規模の縮小」への対応としては新たにグローサラント市場を創出することで新規需要を取り込み、売上拡大を図っていく。「人材不足」に関しては、動画プラットフォーム事業を手掛けるピーシーフェーズ(株)と2018年7月に資本業務提携を締結し、動画コンテンツを用いた人材育成サービス「shouhin」の共同開発・販売を推進していく。まずは自社の教育研修現場で導入していく。従来は新人研修のために費やしていた講師スタッフの時間が大幅に削減できるほか、AIなどの先進技術を活用することで接客レベルの更なる向上が図られ、サービス品質の向上とともに生産性向上の効果が期待される。

■Key Points
・ダイニング業態の「KICHIRI」、ハンバーグ業態の「いしがまやハンバーグ」を中心に首都圏、関西圏を中心に90店舗以上を展開
・2019年6月期も新規出店効果で2ケタ増益が続く見通し
・フランチャイズ事業やグローサラント事業の開始で成長が加速化する可能性

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ

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