今週は、為替の落ち着きで戻り試すも、米中貿易摩擦は引き続き要注意

著者:出島 昇
投稿:2018/09/18 18:22

先週は、アメリカ株高、円安基調の中で、トルコ中央銀行の大幅利上げ好感し23000円台回復

 先週の予測では、前週末の7日(金)に▼180円の22307円となって、再び25日、75日、200日移動平均線を切って引けたので、テクニカル的には下値模索の可能性がありました。そのため、米中貿易摩擦の激化がなければ22000~22500円のレンジ内での軟調な動きを想定し、一方でこれら移動平均線のフシとなるところで、出来高、売買代金が低水準できているため、アメリカ株高、ドル高、円安となれば戻りは早いかもしれないとしました。

 結果的に、週前半は円安基調で反発に転じ、先物主導で一気に22600円台回復し、その後は米中貿易摩擦の落ち着きと、NYダウ高さらに週後半は、トルコ中央銀行が予想以上の大きな利上げを行ったことで新興国通貨安に対する懸念が後退し、アメリカの株高、ドル高を受け週末の日本株式は△273円の23094円と7ヶ月ぶりに23000円台を回復して引けました。

 9月10日(月)は、前週末のアメリカ株安を受け、又、対中国の貿易摩擦の懸念もあって▼53円の22253円で寄り付きましたが、円が弱含むと先物主導でプラスに転じ、後場の大引け間際には△89円の22396円まで上昇して△66円の22373円と7日ぶりの反発となりました。

 11日(火)は、アメリカ市場で半導体指数が反発したことで、ナスダックとS&Pが5日ぶりに反発したことで、△96円の22469円で寄り付き、円安基調もあって先物主導で値ガサのハイテク株が買われ、終値は△291円の22664円とマドを空けて上昇して大幅続伸となりました。

 予想外の上昇でしたが円安をサポートに外国人投資家の週末のSQに絡んだ先物買いによるものだという解説がなされていました。

 12日(水)は、前日のアメリカ株式は3指標そろって大幅上昇でしたが、日経平均は前日に先物主導で一方的な上げ方をしており、その反動で反落し、一時▼142円の22522円まで下げましたが、終値では▼60円の22604円を3日ぶりの反落となりました。

 13日(木)は、寄り前発表の7月機械受注が市場予想を上回り、米中の貿易摩擦の落ち着きへの期待感が強まり、先物主導で前場は△253円の22858円まで上昇しましたが、買い一巡後は上値重く、後場は22800円前後で50円幅強でのもみあい状況が続き、終値は△216円の22821円と反発しました。

 14日(金)は、前日のアメリカ市場で、米国とカナダの通商交渉の進展期待が高まる中、トルコ中央銀行が大幅な利上げに踏み切ったことで新興国の通貨安への懸念が後退し、アメリカ株が3指標そろって大幅高となり、ドルも112円近辺まで買われたことで、日経平均は△214円の23035円で寄り付き、22965円まで押し目を入れたあとは、23000円台でのもみあいとなり、後場には△283円の23105円まで上昇して△273円の23094円と7ヶ月半ぶりに23000円台のせで引けました。

 この日先物オプションの9月限は23057円となり、終値はこれを上回って引けました。

 17日(月)は日本市場は敬老の日で休場でしたが、この日のアメリカ市場は、アメリカが中国に対して提案した通商交渉再開の拒絶を検討しているということで売り先行となり、又、トランプ政権が中国に対して第3弾の追加の制裁関税を発動の予定ということを嫌気し、3指標そろって反落(NYダウ▼92ドルの26062ドル、ナスダック▼114Pの7895P、S&P▼16Pの2888P)となりました。シカゴの日経先物は△45円の23015円でした。

今週は、為替の落ち着きで戻り試すも、米中貿易摩擦は引き続き要注意

 今週の日経平均は、テクニカル的には先週末の14日(金)に9月の先物オプション(SQ値)の23057円を上回る△273円の23094円で引け、これは今年の2月2日の終値23174円以来、7ヶ月半ぶりの高値水準となったことで、この日のザラ場安値23122円を上回ると23274円が次の上値ポイントとなります。為替からみるとアメリカ市場では、追加の利上げは今月(9月)と12月の観測ですので、ドル買い・円安基調であり、日経平均は戻りを試す可能性が高いと思われます。但し、トランプ政権は11月の中間選挙までは貿易の赤字削減のために、貿易摩擦を仕掛けてきますので、一方的な戻り相場にはなりにくいと思われます。又、来週も3連休ですので、週末にかけて手控えムードとなる可能性があります。

 3連休明けの本日は、朝方にトランプ大統領が第3弾の対中制裁関税(2000億ドル相当の輸入品に対し)を24日に発動すると発表したことで、日経平均は大きく下げて始まるのではないかとみていましたが、売り先行で▼55円の23039円まで下げたあとは、先物主導で切り返し、外国人投資家の強烈な買い戻しが入って△259円の23382円まで上昇して前引けは△248円の23342円でした。なぜ、上昇したかというと為替の方はほとんど動かなかったことで、目先織り込み済みという見方からアク抜けの形となって上昇したようです。後場になっても上昇の勢いは衰えず、そのまま高値圏で推移し、終値は△325円の23420円と高値引けとなりました。

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(指標)日経平均

 先週の予測では、前週末の7日(金)に25日、75日、200日移動平均線を一気に下回ったことで、テクニカル的には22000~22500円のレンジの中で下値を模索する動きを想定しました。

 しかし、アメリカ株高、円安基調から買い安心感が広がり、外国人のSQに絡んだ先物買いもあって日経平均は戻りを試す動きとなり、週末にはトルコ中央銀行の大幅利上げによって新興国の通貨安懸念が後退し、ドルが買われ(円安)て、日経平均は7ヶ月半ぶりに23000円台を回復して引けました。

 今週は、テクニカル的には先週末にザラ場で23105円、終値で23094円と7ヶ月ぶりの高値水準となって、9月のSQ値23057円を上回って引けたことで、米中貿易協議の再開の合意に向けた調整が順調ならば、アメリカ株高、円安基調を受け、さらに戻りを試す可能性があります。但し、目先の上値は2月2日のザラ場高値23122円が目先のカベになるところですので、これをぬけるのかどうかとなります。一方で米中貿易摩擦に関しても、トランプ大統領が引き続き2000億ドル規模の中国製品に追加の関税をかける発言がありマイナス要因となります。

 基本的に3連休明けの本日、朝方にトランプ大統領が対中国への第3弾の追加課税を24日に発動すると発表しましたが、目先はアク抜けとなって△325円の23420円の大幅高となりました。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、米通商政策の行方がますます注目され、米中貿易摩擦が激化してくれば株価の上値は重くなるとしました。

 先週は前週まで売られていた半導体関連が反発し、アップルなどハイテク株も反発し、さらに経済指標は好調さが続いたので、NYダウは戻りが続き、週末の9月14日は26211ドルまで上昇し、26154ドルと26000ドル台を回復して引けました。

 今週は、週始めはハリケーン「フローレンス」の被害状況を受けて一部の関連銘柄が業績への影響を受けると思われます。一方で米中通商協議の再開措置を受け、貿易摩擦懸念が後退しており、日程が具体的に決まれば投資家心理は改善されることになります、又、カナダとのNAFTA再交渉は継続中で注目するところです。トランプ大統領が対中、第3弾の追加税制を用意しており株価の上値は重くなります。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、米中貿易摩擦の激化やカナダとのNAFTAの再交渉、さらに日米貿易摩擦の懸念もあり、ドルは買われにくい状況にあるとし、110~112円のレンジを想定しました。

 結果的には、ドルが強含む動きとなって110.85~112.17円のレンジの動きとなりました。週初めは、11日発表の求人件数が過去最高となり、追加利上げ観測からドルが買われました。その後、生産者物価指数と消費者物価指数が予想を下回ったことでドル売りとなりましたが、12日発表のベージュブックで労働市場のひっ迫が示されるとドルが買われ、さらに週後半はトルコ中央銀行の大幅利上げを受けドルが買われ、週末の9月ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回ると10年債利回りが一時3%に達し、ドルは112.17円まで買われました。週末の引け値は112.06円でした。

 今週は、来週の25~26日にFOMCを控え、追加利上げは確実視されているものの、前週末の消費者物価指数は予想を下回ってインフレ圧力が減少しており、12月にも想定されていた追加利上げの行方が気になるところです。経済指標を見極めながらのドル買いとなりそうですが、トランプ政権の貿易赤字削減に向けた通商政策は11月の中間選挙までは続く可能性があり、ドルは上昇しても上値は限定的といえます。111~113円のレンジを想定。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム