■業績動向
2018年5月11日に発表したナック<9788>の2018年3月期決算は、売上高89,818百万円(前期比4.6%増)、営業利益1,637百万円(同116.3%増)、経常利益1,574百万円(同98.4%増)と大幅増益を確保した。
ただ、親会社株主に帰属する当期純利益については、住宅事業のレオハウスにおいて不採算店舗20店を閉店したことで、579百万円の減損損失を計上したことが響き、994百万円の損失(前期は415百万円の利益)となった。
セグメント別に整理してみると、クリクラ事業は、直営部門がツーウェイの優位性を生かした地道な営業活動で増収となったものの、加盟店部門のボトルの販売減少によって微減となった。ただ、営業利益は販管費の適正化などで前期の274百万円から596百万円に倍増した。
レンタル事業では、ダスキン事業がM&Aによるスケールメリットに加え、既存顧客の深耕によって好調、with事業も主力の飲食店向け害虫駆除機withが約12年ぶりに実施したリニューアル効果などにより上向いた。アーネストも新規顧客が増加し、セグメント営業利益は2,021百万円(前期比9.0%増)となった。
一方、建築コンサルティング事業は、建築部材販売が新築住宅市場や分譲・リノベーションなど隣接市場に営業を強化し微増となった半面、地場工務店の投資抑制の影響を受けたノウハウ販売、販売スキームを見直したエコ&エコが減少。トータルで営業利益は775百万円(前期比19.0%減)と前期に続いて減益となった。
住宅事業も引き続き厳しい状況となっている。レオハウスとジェイウッドで期初に想定した完工引渡棟数を大幅に下回ったことで、資材価格の高騰のほか、職人や設計技術者不足による建設コストの上昇をカバーできず、営業損失は前期の622百万円から736百万円に損失幅が拡大した。この部門は、レオハウスの不採算店舗を閉鎖し、減損損失579百万円を計上。再生に向け動き出した。
通販事業では「MACCHIA LABEL(マキアレイベル)」、「Coyori(こより)」の両ブランドにおいて新規顧客が増加する一方、既存顧客の売上単価が減少し減収となったが、販売促進費の抑制により、営業利益は147百万円(前期は83百万円の損失)と黒字に転じた。
全体としては、レンタル事業、クリクラ事業の安定的な収益で、住宅事業の不振をカバーしている格好。多角化によるリスク分散が功を奏しているが、更なる成長を目指すためには、住宅事業の立て直しが喫緊の課題となるのは言うまでもない。2018年3月期に、固定費削減を目指した改善策を実施しただけに、2019年3月期は住宅事業がどれくらい巻き返すか注目されるところだ。
2019年3月期見通しは前期比22.2%の営業増益を予想
2019年3月期の見通しについては、売上高96,500百万円(前期比7.4%増)、営業利益2,000百万円(同22.2%増)、経常利益2,050百万円(同30.2%増)と連続して大幅増益となる見通し。親会社株主に帰属する当期純利益も、600百万円(前期は994百万円の損失)と黒字に転じると予想されている。
レンタル事業は、ダスキン事業が引き続きスケールメリットを享受するとみられる。また、住宅事業が前期に固定費削減のため減損損失を計上したことで、2019年3月期を再生元年として位置付けることができるが、その効果が現れ、利益を押し上げることになりそうだ。
セグメント別では、クリクラ事業が宅配料金値上げなど懸念材料を考慮し、営業利益は405百万円(前期比32.1%減)を予想。レンタル事業では、家事代行サービスの拡大が期待されるが、労働力の確保に不透明感があり、営業利益は対前期比微減の2,000百万円を想定している。建築コンサルティング事業は、顧客の工務店を取り巻く環境が厳しいことから、営業利益は同じく前期より微減の755百万円の見通しだ。
他方、住宅事業は、依然として環境は楽観視できないものの、構造改善の効果が出て営業利益は160百万円(前期は736百万円の損失)と黒字転換を見込む。通販事業は営業利益80百万円(前期比45.8%減)と減益となる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
<MH>
2018年5月11日に発表したナック<9788>の2018年3月期決算は、売上高89,818百万円(前期比4.6%増)、営業利益1,637百万円(同116.3%増)、経常利益1,574百万円(同98.4%増)と大幅増益を確保した。
ただ、親会社株主に帰属する当期純利益については、住宅事業のレオハウスにおいて不採算店舗20店を閉店したことで、579百万円の減損損失を計上したことが響き、994百万円の損失(前期は415百万円の利益)となった。
セグメント別に整理してみると、クリクラ事業は、直営部門がツーウェイの優位性を生かした地道な営業活動で増収となったものの、加盟店部門のボトルの販売減少によって微減となった。ただ、営業利益は販管費の適正化などで前期の274百万円から596百万円に倍増した。
レンタル事業では、ダスキン事業がM&Aによるスケールメリットに加え、既存顧客の深耕によって好調、with事業も主力の飲食店向け害虫駆除機withが約12年ぶりに実施したリニューアル効果などにより上向いた。アーネストも新規顧客が増加し、セグメント営業利益は2,021百万円(前期比9.0%増)となった。
一方、建築コンサルティング事業は、建築部材販売が新築住宅市場や分譲・リノベーションなど隣接市場に営業を強化し微増となった半面、地場工務店の投資抑制の影響を受けたノウハウ販売、販売スキームを見直したエコ&エコが減少。トータルで営業利益は775百万円(前期比19.0%減)と前期に続いて減益となった。
住宅事業も引き続き厳しい状況となっている。レオハウスとジェイウッドで期初に想定した完工引渡棟数を大幅に下回ったことで、資材価格の高騰のほか、職人や設計技術者不足による建設コストの上昇をカバーできず、営業損失は前期の622百万円から736百万円に損失幅が拡大した。この部門は、レオハウスの不採算店舗を閉鎖し、減損損失579百万円を計上。再生に向け動き出した。
通販事業では「MACCHIA LABEL(マキアレイベル)」、「Coyori(こより)」の両ブランドにおいて新規顧客が増加する一方、既存顧客の売上単価が減少し減収となったが、販売促進費の抑制により、営業利益は147百万円(前期は83百万円の損失)と黒字に転じた。
全体としては、レンタル事業、クリクラ事業の安定的な収益で、住宅事業の不振をカバーしている格好。多角化によるリスク分散が功を奏しているが、更なる成長を目指すためには、住宅事業の立て直しが喫緊の課題となるのは言うまでもない。2018年3月期に、固定費削減を目指した改善策を実施しただけに、2019年3月期は住宅事業がどれくらい巻き返すか注目されるところだ。
2019年3月期見通しは前期比22.2%の営業増益を予想
2019年3月期の見通しについては、売上高96,500百万円(前期比7.4%増)、営業利益2,000百万円(同22.2%増)、経常利益2,050百万円(同30.2%増)と連続して大幅増益となる見通し。親会社株主に帰属する当期純利益も、600百万円(前期は994百万円の損失)と黒字に転じると予想されている。
レンタル事業は、ダスキン事業が引き続きスケールメリットを享受するとみられる。また、住宅事業が前期に固定費削減のため減損損失を計上したことで、2019年3月期を再生元年として位置付けることができるが、その効果が現れ、利益を押し上げることになりそうだ。
セグメント別では、クリクラ事業が宅配料金値上げなど懸念材料を考慮し、営業利益は405百万円(前期比32.1%減)を予想。レンタル事業では、家事代行サービスの拡大が期待されるが、労働力の確保に不透明感があり、営業利益は対前期比微減の2,000百万円を想定している。建築コンサルティング事業は、顧客の工務店を取り巻く環境が厳しいことから、営業利益は同じく前期より微減の755百万円の見通しだ。
他方、住宅事業は、依然として環境は楽観視できないものの、構造改善の効果が出て営業利益は160百万円(前期は736百万円の損失)と黒字転換を見込む。通販事業は営業利益80百万円(前期比45.8%減)と減益となる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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