テクニカル的には「もう一段の円買い戻し」を覚悟も、本日は「小休止」…!?

著者:武市佳史
投稿:2018/08/02 10:51

◆一時「112円回復」も、その後は「利益確定売り優勢」

※ご注意:予想期間は8月3日と表示されていますが、本日(8月2日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


112円ライン手前に展開する分厚いドル売りオーダーを15時過ぎに吸収すると、ドル円は先月20日以来となる“112.147円”まで上値を伸ばしました。
ただFOMCを控えるスケジュール感でもあり、そこからドル買いが加速することはありませんでした。

そのFOMCですが、政策金利は「据え置き」、声明では「景気判断が上方修正」され、『年内あと2回(計4回)利上げ』との思惑を後押しさせ得る内容でした。
しかし“概ね想定通り”ということから盛り上がりに欠き、ほぼ同時刻に流れた報道に引っ張られていきました。

 『トランプ大統領は2000億ドル相当の中国製品に対する関税賦課を10%⇒25%で検討』
昨日東京タイムでも報じられた内容ですが、“別メディアが報じた”という点が取り上げられたことで“米中貿易戦争懸念の再燃”につながりました。
こうなると東京タイムでは無視されていた「本邦10年債利回り上昇」も引っ張り出され、一時は111.40円水準まで下押す“利益確定売り”が急速に増加していきました。

◆テクニカル的には「もう一段の円買い戻し」を覚悟…?

“想定した上値メド(7/19~7/26の61.8%戻し:112.183円)にはわずかに届かず”“112円台も維持できず”という流れを見れば、テクニカル的には「より上値の重さが囃される」を想定せざるを得ないところです。
これに“米中貿易戦争懸念”まで絡むとあっては、「もう一段の円買い戻し」も覚悟せざるを得ないところなのかもしれません。

もっとも米10年国債利回り“が3%乗せ”を示現しているように、例え本邦10年債利回りが上昇したとしも“日米金利格差が縮小する地合いではない(可能性は低い)”と考えるのが自然です。
明日に控える米雇用統計が“積極的なポジション形成を抑制(手控えさせる)”という可能性は高く、一方で“崩れていた米ハイテク株が回復基調”というネガティブ要因の減少もあります。

やはり「大きく崩れるは期待薄」、その上で本日は「昨日レンジ(111.393円-112.147円)内で神経質な揺れ動き」と見たいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:112.621(7/20高値)
上値4:112.560(7/19~7/26の76.4%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:112.147(8/1高値、7/19~7/26の61.8%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値2:112.000(大台、8/1高値後の76.4%戻し)
上値1:111.859(8/1高値後の61.8%戻し)
前営業日終値:111.723
下値1:111.643(20日移動平均線)
下値2:111.567(日足・一目均衡表基準線)
下値3:111.393(8/1安値、7/26~8/1の50%押し、日足・一目均衡表転換線、週足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stサポート)
下値4:111.184(7/26~8/1の61.8%押し、週足・一目均衡表転換線)
下値5:111.000(大台、週足・一目均衡表先行スパン下限、ピボット2ndサポート)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔一週間の為替市場を分析!マーケット・チェックWebセミナー〕にて公開中。

11:12 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想