■業績動向
1. 2018年3月期の業績概要
アドバネクス<5998>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比13.6%増の20,294百万円、営業利益が同5.0%増の259百万円、経常利益が同31.5%減の237百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同25.9%減の49百万円であった。先行投資負担や新興国における人件費高騰があったものの、営業利益の段階では増益を確保した。しかし、営業外費用として円高などによる為替差損72百万円(前期:為替差益5百万円)が発生して、経常利益を減少させた。親会社株主に帰属する当期純利益は、買収した子会社ののれん代を減損損失として60百万円を特別損失として計上した結果、減益幅が大きくなった。計画比では、売上高が1.5%上回ったものの、営業利益は35.1%減、経常利益が37.5%減、当期純利益が79.2%減となった。
(1) 所在地別動向
2018年3月期から地域別本社費負担額を変更した。研究開発だけでなく、海外生産品の試作や量産技術確立を日本で行うことなどを考慮した。この変更による所在地別営業利益の増減額は、日本が328百万円増、米州が65百万円減、欧州が56百万円減、アジアが206百万円減となった。
日本の所在地別売上高は、自動車向けが好調で前期比3.7%増加し、同セグメント利益が前期比485百万円増の87百万円の損失へと損失額が縮小した。自動車向けの増収効果と本社費負担額変更が、増益要因であった。一方、埼玉工場の固定費増加が減益要因となった。米州は、売上高が同10.4%伸びたが、セグメント利益は前期の161百万円の損失から369百万円の損失へ損失が拡大した。売上面では自動車向けが伸び、新工場の貢献もあったが、メキシコ工場の先行投資、人件費の増加、本社費の負担増が損失額を増加させた。欧州は売上高が8.5%増加したものの、本社費負担によりセグメント利益は、同4.1%減の238百万円となった。航空機向けは横ばいだったが、医療向けや規格品の売上高が増加した。アジアは、自動車・OA向けが好調なことに加えて、インドネシア子会社が連結化されたため同27.3%の増収を達成した。一方、固定費・人件費の増加、本社費負担額変更により、セグメント利益は、前期の724百万円から489百万円へと32.4%減少した。
(2) 市場別動向
2018年3月期の自動車向け売上高は、前期比29.8%増加した。売上高構成比は、前期比5.8ポイント増の46.6%へ上昇した。2番目に大きいOA機器は、前期まで同社部品を不要とする設計の変更などを受け急減したが、その影響もなくなり、前期比横ばいとなった。医療機器は、同19.3%の高い伸びとなった。インフラ・住設機器は、同11.1%増加した。自動車、医療機器、インフラ・住設市場を三本柱とする戦略を推進している。AV・家電は、同31.1%の増加であった。一方、情報通信機器は、アジアのスマートフォン向けがなくなり、同19.6%減少した。航空機器は、メーカーの生産が停滞し、同3.1%の伸びにとどまった。
2. 財務状況とキャッシュ・フロー計算書
2018年3月期末の総資産は、20,325百万円と前期末比1,577百万円増加した。流動資産が1,245百万円増加し、固定資産が332百万円増加した。流動資産は、増収により現金預金(+439百万円)、受取手形及び売掛金(+365百万円)、たな卸資産(+296百万円)が増加した。負債の部では、有利子負債が1,558百万円増加した。2018年3月期の設備投資額は、減価償却費とのれん償却額の975百万円を上回る1,568百万円となった。
2018年3月期末の現金及び現金同等物の残高は3,533百万円と前期末比271百万円の減少となった。営業活動によるキャッシュ・フローの収入が311百万円にとどまり、投資活動によるキャッシュ・フローの1,496百万円の支出をまかなえず、財務活動によるキャッシュ・フローの借入金増加でカバーした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<SF>
1. 2018年3月期の業績概要
アドバネクス<5998>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比13.6%増の20,294百万円、営業利益が同5.0%増の259百万円、経常利益が同31.5%減の237百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同25.9%減の49百万円であった。先行投資負担や新興国における人件費高騰があったものの、営業利益の段階では増益を確保した。しかし、営業外費用として円高などによる為替差損72百万円(前期:為替差益5百万円)が発生して、経常利益を減少させた。親会社株主に帰属する当期純利益は、買収した子会社ののれん代を減損損失として60百万円を特別損失として計上した結果、減益幅が大きくなった。計画比では、売上高が1.5%上回ったものの、営業利益は35.1%減、経常利益が37.5%減、当期純利益が79.2%減となった。
(1) 所在地別動向
2018年3月期から地域別本社費負担額を変更した。研究開発だけでなく、海外生産品の試作や量産技術確立を日本で行うことなどを考慮した。この変更による所在地別営業利益の増減額は、日本が328百万円増、米州が65百万円減、欧州が56百万円減、アジアが206百万円減となった。
日本の所在地別売上高は、自動車向けが好調で前期比3.7%増加し、同セグメント利益が前期比485百万円増の87百万円の損失へと損失額が縮小した。自動車向けの増収効果と本社費負担額変更が、増益要因であった。一方、埼玉工場の固定費増加が減益要因となった。米州は、売上高が同10.4%伸びたが、セグメント利益は前期の161百万円の損失から369百万円の損失へ損失が拡大した。売上面では自動車向けが伸び、新工場の貢献もあったが、メキシコ工場の先行投資、人件費の増加、本社費の負担増が損失額を増加させた。欧州は売上高が8.5%増加したものの、本社費負担によりセグメント利益は、同4.1%減の238百万円となった。航空機向けは横ばいだったが、医療向けや規格品の売上高が増加した。アジアは、自動車・OA向けが好調なことに加えて、インドネシア子会社が連結化されたため同27.3%の増収を達成した。一方、固定費・人件費の増加、本社費負担額変更により、セグメント利益は、前期の724百万円から489百万円へと32.4%減少した。
(2) 市場別動向
2018年3月期の自動車向け売上高は、前期比29.8%増加した。売上高構成比は、前期比5.8ポイント増の46.6%へ上昇した。2番目に大きいOA機器は、前期まで同社部品を不要とする設計の変更などを受け急減したが、その影響もなくなり、前期比横ばいとなった。医療機器は、同19.3%の高い伸びとなった。インフラ・住設機器は、同11.1%増加した。自動車、医療機器、インフラ・住設市場を三本柱とする戦略を推進している。AV・家電は、同31.1%の増加であった。一方、情報通信機器は、アジアのスマートフォン向けがなくなり、同19.6%減少した。航空機器は、メーカーの生産が停滞し、同3.1%の伸びにとどまった。
2. 財務状況とキャッシュ・フロー計算書
2018年3月期末の総資産は、20,325百万円と前期末比1,577百万円増加した。流動資産が1,245百万円増加し、固定資産が332百万円増加した。流動資産は、増収により現金預金(+439百万円)、受取手形及び売掛金(+365百万円)、たな卸資産(+296百万円)が増加した。負債の部では、有利子負債が1,558百万円増加した。2018年3月期の設備投資額は、減価償却費とのれん償却額の975百万円を上回る1,568百万円となった。
2018年3月期末の現金及び現金同等物の残高は3,533百万円と前期末比271百万円の減少となった。営業活動によるキャッシュ・フローの収入が311百万円にとどまり、投資活動によるキャッシュ・フローの1,496百万円の支出をまかなえず、財務活動によるキャッシュ・フローの借入金増加でカバーした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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