■業績動向
1. 2018年3月期の業績概要
エー・ディー・ワークス<3250>の2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比17.6%増の22,299百万円、EBITDA(償却等前営業利益)が同10.8%増の1,348百万円、営業利益が同16.5%増の1,212百万円、経常利益が同23.9%増の926百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.1%増の584百万円とおおむね期初会社計画どおりに着地し、過去最高業績を連続で更新した。米国での収益不動産販売事業が大きく伸びたほか、ストック型フィービジネス事業が好調に推移したことが主因だ。
売上高を地域別で見ると、国内売上高が前期比9.9%増の18,063百万円、米国売上高が同67.6%増の4,235百万円となった。国内については新たに大阪エリアでの仕入販売を強化したことが増収に貢献した。また、2018年3月期末の収益不動産残高は、前期末比10.1%増の22,376百万円となり、うち国内は同7.6%増の18,875百万円、米国は同26.1%増の3,500百万円となった。期初会社計画の25,000百万円に対して未達に終わったが、これは都心を中心に不動産市況が上昇し、中古マンションの在庫も増加傾向となるなかで、採算性を見極めながら仕入活動を慎重に進めたことが要因となっている。また、当期純利益の伸び率が1ケタ台にとどまったが、これは前期に特別利益として計上した収益不動産売却益86百万円がなくなったことによる。
なお、2017年9月には同社初の自社開発オフィスビル「AD-O渋谷道玄坂」(地上11階、地下1階/延べ床面積1,931.98m2)が竣工し、既に全フロア入居済みとなっている。このうち、2階フロアについては「不動産テックサポートオフィス」とし、不動産テック事業者に絞って公募を行い、審査を経て3社の採用を決定した。今後、同社グループの各事業とのコラボレーションを進めながら、これら企業を支援するとともに不動産テック事業の育成を進めていく戦略となっている。
2. 事業セグメント別動向
(1) 収益不動産販売事業
収益不動産販売事業の売上高は前期比16.4%増の19,827百万円、EBITDAは同8.1%減の1,507百万円、営業利益は同3.5%減の1,497百万円となった。不動産取引価格の上昇傾向が続くなかで売上高は増収基調が続いたものの、仕入価格の上昇等によりEBITDAマージンが前期の9.6%※から7.6%に低下し、減益に転じる格好となった。
※前期は会計基準上、一部の収益不動産物件の販売について、売上高として認識せず特別利益として計上した。これを同一基準で試算し直すと前期のEBITDAマージンは実質9.3%となり、2018年3月期の実質増収率は5.8%増に、EBITDAは13.4%減となる。
地域別の販売棟数を見ると、国内で35棟(前期は42棟)、米国で17棟(同8棟)となった。国内は販売棟数が減少したものの、売上高については増収となっている。2018年3月期より大阪エリアでの仕入販売を強化したことで、大阪エリアの販売が増加したほか、大型物件の販売があったことも増収要因となった。一方、仕入については国内で44棟(前期は45棟)、米国で19棟(同12棟)となり、仕入額については前期比8.8%減の16,888百万円と減少に転じた。前述したように、採算性を重視した仕入活動を進めたことが要因となっている。
この結果、2018年3月期末の収益不動産残高は前期末比10.1%増の22,376百万円となり、また、期中平均残高については同6.2%増の19,380百万円といずれも過去最高を更新した。
(2) ストック型フィービジネス事業
ストック型フィービジネス事業の売上高は前期比30.7%増の2,829百万円、EBITDAは同36.4%増の971百万円、営業利益は同35.8%増の884百万円と2ケタ増収増益となった。
収益不動産の期中平均残高が前期比6.2%増と増加したことにより、賃料収入が同5.1%増の1,112百万円と増加したが、賃料収益EBITDAについては同4.0%減の716百万円と一時的に落ち込んだ。ただ、これは自社ビル「AD-O渋谷道玄坂」のリノベーション費用等の計上によるもので、一時的なものと考えられる。
このため2018年3月期の同事業セグメントについては、賃料収入以外の事業がけん引したことになる。2018年3月期末の不動産管理戸数が前期末比7.4%増の4,464戸に増加し、不動産管理収入が増加したことに加え、既存オーナー物件の販売仲介手数料収入や、受託する収益不動産のリノベーション工事が増加したこと等が増収増益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2018年3月期の業績概要
エー・ディー・ワークス<3250>の2018年3月期の連結業績は、売上高が前期比17.6%増の22,299百万円、EBITDA(償却等前営業利益)が同10.8%増の1,348百万円、営業利益が同16.5%増の1,212百万円、経常利益が同23.9%増の926百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.1%増の584百万円とおおむね期初会社計画どおりに着地し、過去最高業績を連続で更新した。米国での収益不動産販売事業が大きく伸びたほか、ストック型フィービジネス事業が好調に推移したことが主因だ。
売上高を地域別で見ると、国内売上高が前期比9.9%増の18,063百万円、米国売上高が同67.6%増の4,235百万円となった。国内については新たに大阪エリアでの仕入販売を強化したことが増収に貢献した。また、2018年3月期末の収益不動産残高は、前期末比10.1%増の22,376百万円となり、うち国内は同7.6%増の18,875百万円、米国は同26.1%増の3,500百万円となった。期初会社計画の25,000百万円に対して未達に終わったが、これは都心を中心に不動産市況が上昇し、中古マンションの在庫も増加傾向となるなかで、採算性を見極めながら仕入活動を慎重に進めたことが要因となっている。また、当期純利益の伸び率が1ケタ台にとどまったが、これは前期に特別利益として計上した収益不動産売却益86百万円がなくなったことによる。
なお、2017年9月には同社初の自社開発オフィスビル「AD-O渋谷道玄坂」(地上11階、地下1階/延べ床面積1,931.98m2)が竣工し、既に全フロア入居済みとなっている。このうち、2階フロアについては「不動産テックサポートオフィス」とし、不動産テック事業者に絞って公募を行い、審査を経て3社の採用を決定した。今後、同社グループの各事業とのコラボレーションを進めながら、これら企業を支援するとともに不動産テック事業の育成を進めていく戦略となっている。
2. 事業セグメント別動向
(1) 収益不動産販売事業
収益不動産販売事業の売上高は前期比16.4%増の19,827百万円、EBITDAは同8.1%減の1,507百万円、営業利益は同3.5%減の1,497百万円となった。不動産取引価格の上昇傾向が続くなかで売上高は増収基調が続いたものの、仕入価格の上昇等によりEBITDAマージンが前期の9.6%※から7.6%に低下し、減益に転じる格好となった。
※前期は会計基準上、一部の収益不動産物件の販売について、売上高として認識せず特別利益として計上した。これを同一基準で試算し直すと前期のEBITDAマージンは実質9.3%となり、2018年3月期の実質増収率は5.8%増に、EBITDAは13.4%減となる。
地域別の販売棟数を見ると、国内で35棟(前期は42棟)、米国で17棟(同8棟)となった。国内は販売棟数が減少したものの、売上高については増収となっている。2018年3月期より大阪エリアでの仕入販売を強化したことで、大阪エリアの販売が増加したほか、大型物件の販売があったことも増収要因となった。一方、仕入については国内で44棟(前期は45棟)、米国で19棟(同12棟)となり、仕入額については前期比8.8%減の16,888百万円と減少に転じた。前述したように、採算性を重視した仕入活動を進めたことが要因となっている。
この結果、2018年3月期末の収益不動産残高は前期末比10.1%増の22,376百万円となり、また、期中平均残高については同6.2%増の19,380百万円といずれも過去最高を更新した。
(2) ストック型フィービジネス事業
ストック型フィービジネス事業の売上高は前期比30.7%増の2,829百万円、EBITDAは同36.4%増の971百万円、営業利益は同35.8%増の884百万円と2ケタ増収増益となった。
収益不動産の期中平均残高が前期比6.2%増と増加したことにより、賃料収入が同5.1%増の1,112百万円と増加したが、賃料収益EBITDAについては同4.0%減の716百万円と一時的に落ち込んだ。ただ、これは自社ビル「AD-O渋谷道玄坂」のリノベーション費用等の計上によるもので、一時的なものと考えられる。
このため2018年3月期の同事業セグメントについては、賃料収入以外の事業がけん引したことになる。2018年3月期末の不動産管理戸数が前期末比7.4%増の4,464戸に増加し、不動産管理収入が増加したことに加え、既存オーナー物件の販売仲介手数料収入や、受託する収益不動産のリノベーション工事が増加したこと等が増収増益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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