今週のまとめ6日18日から6月22日の週

著者:MINKABU PRESS
投稿:2018/06/23 08:05
 18日からの週は、米中貿易戦争への警戒感などリスク動向をにらんで神経質な展開だった。週前半はトランプ米大統領が対中国で2000億ドル相当の品目に追加関税の調査をUSTRに指示との報道が市場に不安感を広げた。ダウ平均が一時400ドル安となるなどリスク回避圧力が広がった。ドル円は109円台半ばまで下落。しかし、世界同時株安が一巡すると株式市場は反発。リスク回避も一服してドル円は110円後半まで一時上昇。英国では英EU離脱修正案をめぐり市場は一喜一憂。そのなかで英中銀は政策金利を据え置きも、票割れでは利上げ派が前回の2名から3名に増えて、ポンドが急伸。パウエルFRB議長は漸進的な利上げを継続する論拠強いと述べてドル買い。リスク動向一服も束の間、米フィラデルフィア連銀景況感指数の下振れで再び米株が下落。週末にはユーロドルなどでドル安方向に調整も、一部報道で独SPDが総選挙の準備としたことでユーロ売りに反応。などなど、一貫した動きに欠ける相場展開だった。


(18日)
 東京市場は、ドル円の上値が重い展開。米債利回りの低下とともにドル円は110.30台まで下押し。その後の戻りは110円台半ばまで。日経平均も軟調。米中貿易戦争への懸念で、原油や金など一次産品価格も低下。ユーロドルは1.15台後半で下に往って来いに。午前8時前の大阪北部地震に関しては大きな反応はみられなかった。

 ロンドン市場では、円買いの動きは一服。週明けの欧州株や米株先物は軟調にスタート。米中貿易戦争への警戒感が広がった。為替市場でも序盤はリスク回避的な円買いや欧州通貨売りが先行したが、ほどなく流れは反転。株安が収まらないなかで円安・ドル安に方向転換した。ドル円は110円台半ばでの揉み合い。ユーロドルは1.16台を回復、ユーロ円は127円台後半から128円台前半へ上昇。ポンドも下に往って来い。原油先物の上昇で、豪ドルやカナダドルも底堅い。

 NY市場では、小幅な値動きに終始。ドル円は110円台半ばでの振幅。ユーロドルは1.16台前半。先週のFOMCやECB、日銀の金融政策会合を経て、米国と他国との金融政策の格差が更に鮮明になる中、ファンダメンタルズ的にはドル売りを強めるインセンティブはない。きょうの動きは調整の範疇との見方。ポンド相場はユーロに追随した動きにとどまっており、主体性はみられていない。EU離脱修正法案の審議や木曜日の英中銀金融政策会合の結果待ちに。

(19日)
 東京市場では、ドル安と円高が一気に強まった。トランプ大統領が中国に対して2000億ドル相当の中国製品に対する追加関税の調査をUSTRに指示したとの発言がきっかけ。中国商務省はこの発言を強く非難、対抗措置を示すとしたことで貿易戦争リスクが一段と高まった。ドル円は110円割れから109.60台まで下落。ユーロ円は128円台半ばから127円台半ばまで下落。日本株、中国株などが大幅下落。米10年債利回りは2.88%近辺に低下。

 ロンドン市場では、欧州通貨が下落。ドル円は109円台後半での取引が続くなかで、ユーロやポンドが下落した。ユーロドルは1.16台割れから1.1530近辺へ、ポンドドルは1.32台後半から1.31台後半へと下落。ユーロ円は127円割れから126.65近辺まで一段安。ポンド円も144.50台まで下落。ドラギECB総裁は、利上げ時期の決定には辛抱強い姿勢で、リッカネン・フィンランド中銀総裁は必要であれば来年夏以降も金利据え置きの可能性と述べた。

 NY市場では、ドル円が米株をにらんで振幅。ダウ平均が一時400ドル超安となったことで、序盤は109円台後半で上値が重かったが、買戻しも入り110円台を回復する動きに。ユーロドルはNY時間に入って下げ渋り。1.1530近辺まで下落したあと、1.15台後半まで反発した。ポンドドルは1.31台まで下落、昨年11月以来の安値水準となった。英EU離脱法案をめぐる議会の動きが混沌としており、ポンド売り圧力が根強い。

(20日)
 東京市場で、ドル円は110円台前半での推移。前日NY後半の買戻しの流れを受けた水準。朝方はリスク警戒感が継続し、日経平均がマイナス圏に値を落とす動きがみられたが、午後に入って回復基調に転じた。日経平均は400円高。上海総合指数もプラス圏を回復。ユーロ円は147円台前半から147円台後半へ。

 ロンドン市場は、小動きのなかでユーロの振幅が目立った。東京・アジア市場で株式相場が反発し、米中貿易戦争をめぐる警戒感の相場が一服したことが背景。欧州株も買いが先行している。米債利回りは前日並水準での小動き。総じて静かな展開。

 NY市場は、リスク回避ムードが一服。前日と同様に米株動向をにらむ展開。ダウ平均は下落も、ナスダックやS&P500が反発しており、米中貿易戦争への警戒感は一服。ドル円は110円台を回復。パウエルFRB議長が、漸進的な利上げを継続する論拠強い、と述べたことも下支えに。ユーロドルは1.15台後半へと上昇。ポンドは上下動。NY序盤には英下院が上院によるEU離脱法案修正案を否決し、ポンド買いに。しかし、ポンドドルは1.32台を維持できず。

(21日)
 東京市場は、ドル円が堅調。前日の海外市場で110.45近辺まで上昇したあとも下値はしっかり。東京市場では一時110.70台まで買われた。株高や米債利回り上昇、トランプ発言による米中貿易戦争を警戒した相場を戻した格好。ユーロドルは1.15台後半から半ばへと下押し。ドルは全般に堅調。一方、ユーロ円は株高を受けた円安で底堅かった。NZドルが軟調。第1四半期GDPは予想通りも、前期からの鈍化が売りを誘った。

 ロンドン市場では、ポンドが急伸。英中銀は政策金利を据え置いたが、利上げ派が前回の2名から3名に増えたことに反応した。前回のマカファティー、ソーンダース氏に加えてチーフエコノミストのホールデン氏が利上げ派に転じた。ポンドドルは一気に1.32台乗せ、ポンド円は146円台乗せ。一方、ユーロは売りが優勢。イタリアでユーロ懐疑派議員が議会の重要ポストに指名されたことが売りを誘った。ユーロドルは1.15台前半へと軟化、ユーロ円は127円ちょうどまで下落。ただ、ポンド買いを受けて下げ渋った。ドル円は110円台での上下動と方向感に欠けた。

 NY市場では、ドル売りが優勢。フィラデルフィア連銀景況指数が予想を下回ったことをきっけかにドル相場が下落。ドル円は110円を割り込んだ。ユーロドルは買戻しが優勢となり、1.16台前半へと上昇。ポンドドルは1.32台後半まで高値を伸ばした。前日までドル指数が上昇していたことから、調整売りが強まった面もあったもよう。

(22日)
 東京市場では、資源国通貨でややドル安に。OPEC総会を控えて原油相場がしっかりとしており、豪ドル/ドルが0.74台を一時回復するなど資源国通貨が堅調。NZドル/ドルも0.69台を回復。110円を挟む取引に終始した。日経平均は176円安で引けた。

 ロンドン市場は、円売りが優勢。欧州株が堅調に推移、米債利回り上昇などリスク警戒感が後退している。ドイツとユーロ圏のPMI速報値は製造業がやや弱め、非製造業が強めとまだら模様だったが、総合PMIはいずれも前回から上向いており、ユーロ買いにつながった面も。ユーロ円が128円台半ば、ユーロドルが1.16台後半へ上伸。ドル円も110円台に再び乗せている。その後、独SPDが総選挙を準備との一部報道でユーロ売りに反応と神経質だった。

 NY市場は、ドル円が再び109円台に値を落としている。朝方にトランプ大統領がツイッターで、EUが貿易障壁を早急に取り除かない場合、域内から輸入する全ての自動車に20%の関税を賦課する考えを示した。発表直後は円高の動きも強まったが、リスク回避までには至っていない。

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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