桧家ホールディングス 近藤 昭代表取締役社長インタビュー

投稿:2012/06/06 17:45

櫻井英明のトップ放談 第15回

最高品質と最低価格で急成長
続ける住宅産業の“期待の星”

株式会社桧家ホールディングス
代表取締役社長
近藤昭(こんどう・あきら)

1967年兵庫県生まれ。91年3月、慶応義塾大学卒業。千代田生命保険勤務などを経て2001年12月に東日本ニューハウス(現桧家ホールディングス)に入社。09年4月より現職。業界の常識にとらわれず、常に顧客目線で考えることがモットー。
 
市場飽和が囁かれる住宅業界にあって、近年、目を見張る好業績を続けている桧家ホールディングス。消費者のニーズを捉えた商品開発力と的確なM&A戦略によって邁進する同社の強さの秘密を、近藤昭社長に伺った。

──御社の業態について

 当社は「最高品質と最低価格で社会に貢献」という経営理念に基づき、お客様の満足を第一に、日々、建築技術の研鑽に努め、商品開発に取り組んできました。 当社の木造注文住宅は、下請工務店を介さない直接施工により間接コストを削減し、さらに資材や独自の建築工法にこだわり、耐震性・耐久性・断熱性・気密性・居住性等に優れた住宅を、お客様にご満足いただける適正価格で提供しています。
 当社が長年にわたり多くのお客様から支持されているのは、こうした他社に優位なバランスのとれた品質と価格を有し、自由設計が可能な注文住宅でありながら、わかりやすい価格体系が高く評価されているからでしょう。
 当社は住宅を注文されたお客様のみならず、ご家族とその先の世代の方々が長い年月にわたって暮らし続けられ、また地域住民の方々からも愛される、家づくりを目指しています。さらに、世界レベルで沸き起こる地球環境の保全という大きなテーマに対して、家づくりを通して貢献するべく「あらゆる人にエコで快適な住まいを」という桧家グループ事業ミッションを策定し、「省エネECOハウス」の提供に注力しています。
 今後も、より多くの方々に「エコで快適な住まい」を提供することを目指して、社会に貢献できるように努力していきたいと思います。

──業績も好調ですね

 おかげさまで前期まで3期連続で売上げ、利益、完成棟数の過去最高を達成しました。背景としては高性能なエコ住宅をリーズナブルな価格でご提供してきた注文住宅の完成棟数が大幅に増えたことがあります。
 特に「スマート・ワン」、「Gコンセプト」といった企画型住宅の伸びが著しく、全体の8割を占めるに至っています。泡で断熱を行い、ソーラー発電を備えた「スマート・ワン」シリーズはかなりの人気となっています。

──断熱材事業は、将来有望ですね

 はい、当社グループで発泡断熱材「アクアフォーム」を施工、販売する日本アクアが手掛ける断熱材事業は大幅に事業拡大しています。今期は木造住宅分野で施工棟数2万2000棟(前期比40%増)を目指すと共に、ビル、マンション等の非木造分野の断熱工事にも新たに進出する計画です。
 コンクリートの建築では、以前から発泡ウレタン断熱という手法は一般的ですが、日本アクアのような全国規模で施工できる会社はほとんどありません。ですから、日本アクアのスケールメリットを生かせば、コスト競争力もあり、当社事業の中でも大いに期待できる分野だと考えています。
 これらの事業を含めて、桧家グループの今期は、全体売上500億円、経常利益46億円と、前期を上回る見込みを立てています。さらに中期経営目標として、2016年2月期には売上高1000億円、営業利益100億円を目指しています。
 住宅・不動産業界は、景気の波や今後想定される消費増税など外的変化の影響を受けやすい業界です。そのような中、強固な財務基盤と経営体質を構築してこれら外的影響を最小限に抑え、お客様に長きに渡ってしっかりとしたサービスを提供し続けられる企業グループを目指していきます。

──御社の住宅展示場も増加しています

 今年1月から新たにグループ入りした桧家住宅三栄の神奈川県内8か所の展示場を加えて、展示場数は86か所へ大きく増えました。長野県も佐久がオープン、宮城県には2店目となる仙台利府展示場がオープンしました。
 さらに10月には石巻にも展示場がオープンする予定です。震災からの復興をお手伝いする意味でも重要な拠点になってくると考えています。この体制で今期は2160棟の受注を目指しています。
 毎年ゴールデンウィークはモデルハウスのオープンラッシュになる時期ですが、今年も直営、FC合わせて7か所のモデルハウスがオープンしました。フランチャイズでは大津と姫路、久留米が新規オープンしましたが、こちらも今後、積極的に展開して行く予定です。

──屋上庭園「青空リビング」が人気ですね

 これまでは、木造住宅で屋上をつくりたい、と希望されても、防水工事の関係で対応ができませんでした。しかし、この「青空リビング」では“金属防水”という工法によって、安心してお客様に屋上を提案できるようになりました。
 これによって、例えば2階建30坪の住宅に屋上を設置すると、屋上に上がる階段スペースを含めて約15坪の広いスペースが確保できます。この空間にテーブルセットを置いたり、バーベキューコンロを置けば、まさに第2のリビング。見上げれば空に囲まれたオープンな、文字通りの「青空リビング」が実現するというわけです。
 屋上庭園「青空リビング」は、これまでになかった豊かな生活を実現する新しいご提案です。この「青空リビング」なら、周りからの視線が気になることはありませんし、しっかりプライバシーが確保されます。小さなお子さんやペットも車など気にすることなく安全に遊ばせることができます。

──最後に改めて御社の強みをご説明下さい

 当社には現在4つの強みがあると考えています。まずは「高収益企業である」ということ。桧家グループは収益が伴った成長を重要なテーマと位置づけ、利益率10%以上を目標に業界トップの高収益企業であり続けたいと考えています。
 2番目は「公平に評価する会社」であること。現在グループ各社の社長には、30代の若い社長もいれば70代の社長もいます。中には女性社長もいます。このように頑張る人を公平に評価する人事制度は、当社社員の高いモチベーションを支える最大の要因だと考えています。
 3番目は「M&Aのできる会社である」ということ。この業界ではあまり例のないM&Aを成功させ、実績としてきたのが当社グループ。グループのさらなる成長のためには新しい事業にタイミング良く参入することが不可欠。その時、当社のM&Aの成功体験は大きな強みになります。
 最後に「時代を見る目がある」ということ。常に時代がどういう方向に向かっているのか、人々のニーズがどう変化しようとしているのかを、アンテナをしっかり張ってウォッチしています。時代をとらえ、先手を打っていくことが、これからのビジネスチャンスをものにできるかどうかのカギになると考えています。

【取材メモ】

 約5年前の平成19年冬。名証2部に上場直後の同社を訪問した日のことが昨日のことのように思い出されます。当時の本社は埼玉県の加須。ずいぶんと遠かったのですが、案内していただいた同社の社員の方は、ホスピタリティ溢れる笑顔で迎えてくれました。その後、業績は急成長。M&A路線も順調に推移し、現在に至っています。
 近藤社長のお話を伺っていつも感じるのは、その先見性。断熱材事業やECOハウスのキーワードなどは、住宅業界が後ろから追いかけてきた印象です。そして、年々地図上に塗りつぶされていく同社の展示場展開。この推移を見れば、いずれは日本全国に同社の展示場が展開されることになるに違いありません。
 驚くのは毎回のアナリスト説明会の出席者の多さ。名証2部上場企業で機関投資家やアナリストが100名以上も参加する説明会は見たことがありません。それだけ市場の注目度も高いのです。

[ 会社概要 ]
社名:株式会社桧家ホールディングス
証券コード:1413
公開市場:名証2部
上場年月日:2007年11月15日
設立:1988年10月
決算月:12月
●連結業績(2011年12月期)
営業収益:391億5500万円(前年同期比29%増)
営業利益:39億600万円(前年同期比65.9%増)
経常利益:40億9300万円(前年同期比69.4%増)
当期純利益:21億5500万円(前年同期比95%増)

●トピックス
桧家住宅、桧家住宅東関東、桧家住宅南関東、桧家住宅北関東、桧家住宅上信越、桧家住宅三栄を中核とする注文住宅事業、東京・埼玉・千葉を営業エリアとして戸建住宅の分譲事業、「アクアフォーム」の断熱材事業などを展開。東海・北陸・西日本全域の地域工務店・住宅メーカーと提携するFC事業も成長中。

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配信元: みんかぶ株式コラム