コムチュア 向 浩一CEOインタビュー

投稿:2011/10/12 16:48

クラウドは、システムを「持つ(所有する)」から「利用する」へのパラダイム・シフトです。

略歴
コムチュア株式会社
代表取締役会長 CEO
向 浩一(むかい・こういち)
 
データプロセスコンサルタントを経て、1985年日本コンピューターテクノロジー(現コムチュア)を設立。2007年3月にJASDAQ証券取引所(現大阪証券取引所JASDAQ市場)に上場。10年6月代表取締役会長兼社長、11年4月代表取締役会長(CEO)に就任。趣味はマラソンとゴルフ。上場直前の第1回目の東京マラソンで完走。ゴルフはハンディ12。

──御社はどんな会社ですか
当社は1985年に創業し、お客様やお取引先など、社会から必要とされる企業であり続けるために社員とともに全力で走ってきました。おかげさまで多くの方々にご支援いただき、2010年1月に創立25周年、第3創業期を迎えました。
事業内容としては大きく分けると、プロダクト販売事業、システム構築事業、ネットワークサービス事業に大別できます。プロダクト販売事業では大手から中堅企業まで、数百社の導入企業の声を反映した自社製品の活用で、情報共有システム環境を効率的かつスピーディに提供しています。システム構築事業では品質と信頼性を追及する情報系システムの構築、短期間でコストを抑えたアジャイル手法によるシステム構築まで、ユーザニーズに沿ったシステム開発を実現しています。また、ネットワークサービスではクライアントのご予算やセキュリティポリシーに合わせ、データセンターの提供や遠隔監視など、幅広いニーズに合わせた高信頼のサービスをお届けしています。

──クラウド時代における御社の位置

今は「全ての人がネットワークでつながる時代」。企業において、組織と個人をつなげるリアルなコミュニケーションがますます必要となってきています。このコラボレーション力が企業の生産性の向上と競争力強化をもたらします。コムチュアの製品や技術を通してお客様企業の成長を支えるのが私たちの使命と考えています。

──中期計画について

「クラウド時代を”コラボレーション”でリードするコムチュア」を経営ビジョンに昨年5月に中期経営計画を策定しました。数字的には「2013年3月期に売上高100億円、営業利益10億円という中期目標を掲げています。この目標達成に向けて昨年は様々な成長の種をまきました。今年2月の㈱セールスフォースドットコムとのOEMパートナー契約締結など、昨年末から徐々にその成長の種が芽吹いてきています。
この4月からコムチュアを販売、開発、運用の3社に分けます。製品、人、他企業との「コラボレーション」をますます活発化させることで成長スピードを加速させていくのが目的です。特に、4月に設立した販売会社のコムチュアマーケティング㈱では事業連携や資本提携をも視野に、今まで以上に他企業との連携を強化させます。「クラウド」と「モバイル」をキーワードに、特徴あるパッケージ、サービスを持つ企業とコムチュアの技術力でお客様ニーズが高く、競争力のあるサービス・ソリューションをグループとして提供していきます。

──コラボレーションに対するこだわりは?

単一的な意味でのコラボレーションではなく、複合的な意味でのコラボレーションです。これからの時代は単一的な製品・技術だけで勝てなくなるでしょう。そこで当社は、製品と製品を結びつけるコラボレーション、人と人を結びつけるコラボレーション、そして企業と企業を結び付けるコラボレーション、さまざまな局面でのコラボレーションを行い、今まさに展開しつつある「クラウド時代を”コラボレーション”でリードして行く」という意気込みを込めています。

──それぞれの提携の目的

昨年5月には㈱コネクトワンと資本・業務提携を、今年2月には㈱セールスフォース・ドットコムとOEMパートナー契約を締結しました。他にも特徴のあるパッケージやサービスを持つ企業とのコラボレーションサービス「コムチュア・コラボ」シリーズを2011年末までに約20種類提供する予定です。
コネクトワン社は国内屈指のセキュアなマルチデバイス技術を保有しており、当社のソリューション事業と合わせることで特徴あるソリューションを提供できることになります。またセールスフォース・ドットコム社とはフィールドサービス業務向けアプリケーション「コムチュア・コラボ:フィールドサポーター」を提供していきます。今後3年間で150社、3億円の売り上げ目標です。売り上げ目標が小額と感じられると思いますが、当社のビジネスは入口は小額の売り上げに過ぎなくても、ユーザー企業に入り込み、関連システムの開発を行うことにより、売り上げは5~10倍になります。こうしたフロービジネスだけでなく、保守や運用といったストックビジネスとの融合を図り継続的に成長を続けていくのが秘訣です。このビジネスモデルは当社の基本的成長エンジンといえます。

──今回オフィスを増床されましたが

今後の人員増強とセミナールームの増設のためです。当社のビジネスは訪問営業形式ではなく、セミナーによる集客でのアナウンス効果からクライアントを絞り込んでいくという形式をとっています。広いセミナールームが必要になってきますし、個別対応する部屋も必要です。その意味では営業場面の拡大となるに違いないと思います。


──クラウドは追い風ですか

長引く企業収益の悪化は、廉価で短納期でより多くの効果をもたらす高品質ソリューションのニーズを活発化させています。これらの環境の変化がクラウドコンピューティングといった新しいサービスの誕生を促したと言っても過言ではありません。クラウドは、システムを従来の「持つ(所有する)」から「利用する」といった大きな意識改革をもたらすパラダイム・シフトであり、IT業界は新たな転換期を迎えたと感じています。

取材メモ

「クラウドは言葉が先歩きしているような印象ですが、要はレンタルサーバーの延長線上。各企業のコストを下げるという意味で、この仕事に携わることは、この国の企業の応援ができるという意味合いも持っています」と向会長の言葉。日本企業の縁の下の力持ちという印象。「これからはモバイル」というのも脳裏に残りました。そして「コラボレーション」という言葉に込められた思いは大手コンピュータメーカーや大手クラウド業者とのコラボも視野に入っているのではないかという印象を受けました。
起業の際には、勤務先への辞表提出を1週間はご家族に反対されたというエピソードも忘れられません。従来型IT企業から新型IT企業への進化の過程をこれからも見続けていきたいと思います。

会社概要および業績

社名 コムチュア株式会社
証券コード 3844
公開市場 JASDAQ
上場年月日 2007年3月
設立 1985年1月
決算期 3月
連結業績予想(2011年3月期)
売上高5,360百万円(前年比112.1%)、営業利益500百万円(前年比101.3%)、経常利益508百万円(前年比100.6%)、当期純利益279百万円(前年比93.8%)
トピックス
4月1日より、大野 健氏が取締役副社長から代表取締役社長に就任。

配信元: みんかぶ株式コラム