短期トレードのリスクとリターン

著者:矢口 新
投稿:2015/06/09 11:13

あくまでオプションに使われている理論なのだが、1年で4%変動する市場の、四半期毎の変動率は2%だとのことだ。(√4)

市場価格の変動は、収益源と同時にリスクだといえる。これは買って1%上げれば1%の利益、売って1%上げれば1%の損失だという意味だ。

このことは、四半期毎のリスク・リターン(√4)は1年(4)の半分であることを意味する。そして、4四半期を足せば、2+2+2+2=8で、そのリスク・リターンは1年の2倍となることを意味する。つまり、四半期毎に行う1売買は、1年1売買の2倍の収益源となる可能性があり、その分のリスクがあるのだ。

これを1日で見れば、営業日を256日とすれば、√256は16となり、1日の値幅は1年の16分の1となる。これは1日1売買のリスクは1年1売買のリスクの16分の1を意味する。同時に、毎日1売買を繰り返すと、1年1売買の16倍の収益源となる可能性があり、その分のリスクがあることを意味するのだ。

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デイトレードの個々の売買では小さな利益しか取れない。しかし、それを繰り返すと、1年間のバイ・アンド・ホールドでは考えられないほど大きな利益を得る可能性があるのだ。

これはあくまで数学的な理論で、参考でしかない。とはいえ、実際の市場で誰が儲けているかなど、現場の実感に近いことから、私は短期トレードのリスクとリターンの解説に用いている。

配信元: みんかぶ株式コラム