ピムコのエルエリアン前社長は、「証券会社が証券在庫を減らしているため、現在の証券市場でおそらく最も価格に織り込まれていないのは、流動性リスクだ」と述べた。
参照:El-Erian: Liquidity may be most mispriced market risk
http://www.marketwatch.com/story/el-erian-liquidity-may-be-most-mispriced-market-risk-2014-07-08?siteid=yhoof2
流動性リスクとは、投資家が買いたい時に思い通りの価格で買え、売りたい時に思い通りの価格で売れることに関するリスクだ。最も大きな証券在庫を抱えていたのは、かってはソロモンブラザーズだったが、その破綻後は、ゴールドマンやリーマンだった。リーマンショック後は、どの証券会社も、昔のようには大きな証券在庫を保有していない。
流動性のない商品とは、ジャンク債などの銘柄ごとの発行数が少ない商品だ。また、モーゲッジ債やオプションを含んだ仕組み商品などはオーダーメードが多く、購入者以外にフィットする商品ではない。売りたい時に買い手がいないのだ。それでも大きな在庫を持つ証券会社ならば、買い取って新たに仕組み直すこともできる。
主要国の国債は2012年にマイナス利回りまで買われた。以降は、主要国債からの利回りが望めず、新興国の国債や、ユーロ周辺国、ジャンク債などが利回り志向で買われた。これらの債券は押し並べて銘柄ごとの発行数が少なく、流動性が低い。信用リスクに加え、流動性リスクも極めて高いといえる。
2012年10月以降、ピムコからは大量の資金が流出し続けている。ファンドマネージャーのビル・グロス氏は利回りを求めて、モーゲージ債やジャンク債の比率を増やしている。そんななかで、エルエリアン社長が退社することになった。
ビル・グロス氏が自社を「幸福の王国」と呼んだことで、内部からの反発が起きているようだ。自社を王国と呼ぶことは、自身を王様と見なしたということだろう。市場は多くの弱者が集まって売買する民主的な場所だ。ピムコは多くの弱者から資金を集めて運用している。ピムコの運用資金はそういった人々のものだ。王国の資産ではない。
ピムコは多くの流動性リスクを抱え込んでいるだけでなく、自身を王様と見なすファンドマネージャーも抱えていることになる。注視していたい。
参照:Pimco Dissidents Challenge Bill Gross in ‘Happy Kingdom’
http://www.bloomberg.com/news/2014-07-08/pimco-dissidents-challenge-bill-gross-in-happy-kingdom-.html
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