多くの米エコノミストたちは、米連銀の経済見通しが楽観的に過ぎるとしている。
参照:Most economists say the Fed is wrong about growth
http://www.cnbc.com/id/101751249
エコノミストに限らず、市場関係者たちはしばしば自己の見方に捉われるあまり、目の前で起きていることを見ようとしない。
米株は2009年2月に底を打ち、史上最高値を更新中だ。住宅市況も大きく回復した。雇用市場は金融危機で失われた雇用を、この5月ですべて回復した。
それでも、米連銀は2008年12月以来、政策金利を史上最低であるほぼゼロで維持し、資金供給は減らしたとはいえ月間450億ドルという、未曾有の金融緩和を継続させている。その結果として、2008年11月時点では1兆ドルに満たなかった米連銀の資産が4.3兆ドルに膨れ上がっている。
この行動を見る限り、米連銀が楽観的だと言うのは、全くの的外れだ。
同時に多くのエコノミストたちは、米連銀の資産が膨張していることに関しては常に警鐘を鳴らし続けている。また、株価に対しても、過去5年間にわたって(つまり、上げ続けている間ずっと)、いつか売られると言い続けている。つまり、エコノミストたちは米経済を悲観視する一方で、緩和を止めろと言い続けているのだ。
一方の米連銀は、大きなリスクを取りながらも、やるべきことはやり続けている。おそらく、格差問題や、奨学ローン残高の大きさなどを鑑みれば、簡単には金融緩和を止めるべきではないとしながらも、上向きな経済指標を正当に評価し、いたずらに悲観的な見方で恐怖感を煽ったりはしていないのだ。
また、米連銀の膨張したバランスシートに関しても、急激に縮小させることで、金融市場を混乱させ、景気後退に至ることがないような発言を始めている。エコノミストたちの警鐘を尻目に、大きなバランスシートを何年も維持するとしている。
参照:Fed Prepares to Maintain Record Balance Sheet for Years
http://www.bloomberg.com/news/2014-06-11/fed-prepares-to-keep-super-sized-balance-sheet-for-years-to-come.html
日銀への追加緩和期待も同様だ。昨年4月の時点で「打つべき手はすべて打った」としたのだから、追撃緩和はそれなりの危機感の表れだ。追加緩和を期待する人々は、デフレ懸念、株価急落懸念、円急騰懸念などを抱いているのだろうか?
私は、それらは杞憂にすぎないと見ている。目先の株価や円相場は上下に振れるが、それは市場の構造のためだ。価格変動の構造が知りたければ、いつでも私が教えよう。
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