■中期経営計画
2. 事業別成長戦略
(1) 営業イノベーション事業
営業イノベーション事業における事業環境については、引き続き追い風が続くとの認識だ。国内の生産年齢人口が減少傾向をたどるなかで、企業にとっては「生産性向上」と「売上拡大」が重要課題となっており、それを解決するソリューションとして、ソフトブレーン<4779>の「eセールスマネージャー」(仕組みづくり)や営業コンサルティング、トレーニングサービス(型づくり)の需要が拡大していくと見ているためだ。SFA(営業支援ソフト)を提供する競合は多いが、同社のようにコンサルティングやトレーニングサービス等の型づくりも同時に提供できる企業はほとんどなく、同社の強みの1つとなっている。
対象市場のポテンシャルは、日本の全企業(約410万社)、総営業員数で260万人となる。長期的にはアジアを中心としたグローバル展開も見据えている。今回の中期経営計画ではこのうち、IT投資余力のある「大企業」と「黒字の中堅・中小企業」、社数で約22万社、営業人員で160万人をターゲットとする。
同社の推計によれば、SFAの導入比率はターゲットとする約22万社のうち14%程度とまだ低く、また、導入していてもアクティブにその機能を使いこなせている企業は全体の3.5%にしか過ぎないと見ている。アクティブ率に関しては、同社が営業活動を行うなかで他社製品を利用している企業の利用状況などから推計している。こうした状況を鑑みると、SFAの成長ポテンシャルは依然大きいと言えるだろう。市場調査会社が発表している国内のCRM/SFA市場予測でも、2015年の283億円から2020年は552億円と年率14%成長で成長が続く見通しとなっている。
同社ではこうした市場環境下で、「既存モデルの強化」に加えて、従来アプローチしきれていなかった「中堅・中小企業」と規制産業・特殊業務が発生する「特定業種」向けに最適な製品・サービスを開発、提供していくことで、顧客獲得を進め収益を拡大していく戦略となっている。
「中堅・中小企業」向けの製品としては、2017年12月にセルフサーブ型の「eセールスマネージャーRemix MS」をリリースした。使い勝手No.1としての主要機能はほぼ既存品と同じだが、オンラインによる情報収集や問合せ、導入、各種設定、契約までをすべてインターネットで完結するようにしたことで、従来品の約6割の月額利用料金(3,500円/ID~)での提供を実現した。30日間の無料トライアル期間で同社製品の「使い勝手」の良さを実感してもらい、本契約に結び付けていく考えだ。2018年夏頃にバージョンアップを予定しており、それに合わせて販促活動も本格的に実施していく。
また、「特定業種」向けの製品については業界大手で既に同社の顧客となっている企業の協力を仰ぎながら、同業界でのベストなSFAツールを開発、標準化し、顧客開拓を進めていく戦略だ。対象企業が大企業となるだけに、クラウドサービスではなくオンプレミス型(フロー型収益)での利用となる可能性はあるが、顧客の要望に合わせていくことになる。既にいくつかの開発案件がスタートしている模様。
中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高65億円、営業利益で12億円、営業利益率18%を掲げ、年平均売上成長率では16%となる。当中期経営計画の中では「中堅・中小企業」「特定業種」向けの新製品の収益貢献については予測が困難なことから織り込んでおらず、既存モデルの伸びだけで計画の達成を目指している。このため、新製品が順調に成長すれば目標値から上積みされる可能性もある。営業利益率に関しては引き続き開発投資を積極的に行っていくため大きな上昇を見込んでいないが、ストック収益の売上比率に関しては現在の約5割から7割程度まで引き上げていきたい考えで、収益の安定性は増していくものと予想される。2021年以降は、SFAの普及が加速化するほか新製品の収益貢献も見込まれることから、年平均売上成長率は20~30%と加速化し、高成長フェーズに入ると会社側では見ている。
(2) フィールドマーケティング事業
フィールドマーケティング事業を取り巻く市場環境は、少子高齢化の進展や企業の働き方改革への取組み、アウトソーシングの活用などによって今後も追い風が続くものと予想される。特に、女性活躍推進法など女性労働力の活用を促進する法整備が進んでいることもあり、新たな労働力として主婦層に注目が集まっている。
同社の推計によれば、消費財メーカーの店舗ラウンダーの市場規模は1,000億円程度(潜在需要含む)と見られ、このうち同社の売上げは32億円の規模となっている。今後も消費財メーカーのラウンダー業務のアウトソーシング化が続くものと予想されるため、これらの需要を取り込むだけで成長は可能と見られるが、同社では消費財メーカー以外のフィールドアウトソーシング需要も取り込んでいくことを計画している。特定のスキルが要求されない簡易な業務で、例えばガスメーターのチェックやマンションの電力サービス切り替え時における居住者への同意確認のための訪問活動、在宅業務などが挙げられる。こうしたフィールド市場全体で見れば2兆円の市場規模(アウトソーシング率10%と仮定)になると見られ、潜在的なポテンシャルは大きい。
また、長期的には全国の地域コミュニティに張り巡らされた主婦ネットワークを最大活用することで、地域コミュニティの活性化に繋がるサービスを提供していくことも想定している。高齢者に対する買い物や家事等の生活支援サービスなどが考えられる。
その他にも新サービスとして取り組んでいる「Point of Buy®購買理由データ提供サービス」についても引き続き強化を進めていく。レシートとアンケートによって購買者の購買理由や購買時期など様々な情報を収集・分析し、企業のマーケティング戦略に生かしていくサービスで、現状はまだ収益への影響は軽微だが、アンケート会員数は21万人を超えてきており、サービスの付加価値を高めて収益化していく方針だ。
中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高39億円、営業利益で3.4億円、営業利益率9%を掲げ、年平均売上成長率では7%と安定成長を見込んでいる。また、同事業についても2021年以降は業容の拡大により、年率10~20%の売上成長を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業別成長戦略
(1) 営業イノベーション事業
営業イノベーション事業における事業環境については、引き続き追い風が続くとの認識だ。国内の生産年齢人口が減少傾向をたどるなかで、企業にとっては「生産性向上」と「売上拡大」が重要課題となっており、それを解決するソリューションとして、ソフトブレーン<4779>の「eセールスマネージャー」(仕組みづくり)や営業コンサルティング、トレーニングサービス(型づくり)の需要が拡大していくと見ているためだ。SFA(営業支援ソフト)を提供する競合は多いが、同社のようにコンサルティングやトレーニングサービス等の型づくりも同時に提供できる企業はほとんどなく、同社の強みの1つとなっている。
対象市場のポテンシャルは、日本の全企業(約410万社)、総営業員数で260万人となる。長期的にはアジアを中心としたグローバル展開も見据えている。今回の中期経営計画ではこのうち、IT投資余力のある「大企業」と「黒字の中堅・中小企業」、社数で約22万社、営業人員で160万人をターゲットとする。
同社の推計によれば、SFAの導入比率はターゲットとする約22万社のうち14%程度とまだ低く、また、導入していてもアクティブにその機能を使いこなせている企業は全体の3.5%にしか過ぎないと見ている。アクティブ率に関しては、同社が営業活動を行うなかで他社製品を利用している企業の利用状況などから推計している。こうした状況を鑑みると、SFAの成長ポテンシャルは依然大きいと言えるだろう。市場調査会社が発表している国内のCRM/SFA市場予測でも、2015年の283億円から2020年は552億円と年率14%成長で成長が続く見通しとなっている。
同社ではこうした市場環境下で、「既存モデルの強化」に加えて、従来アプローチしきれていなかった「中堅・中小企業」と規制産業・特殊業務が発生する「特定業種」向けに最適な製品・サービスを開発、提供していくことで、顧客獲得を進め収益を拡大していく戦略となっている。
「中堅・中小企業」向けの製品としては、2017年12月にセルフサーブ型の「eセールスマネージャーRemix MS」をリリースした。使い勝手No.1としての主要機能はほぼ既存品と同じだが、オンラインによる情報収集や問合せ、導入、各種設定、契約までをすべてインターネットで完結するようにしたことで、従来品の約6割の月額利用料金(3,500円/ID~)での提供を実現した。30日間の無料トライアル期間で同社製品の「使い勝手」の良さを実感してもらい、本契約に結び付けていく考えだ。2018年夏頃にバージョンアップを予定しており、それに合わせて販促活動も本格的に実施していく。
また、「特定業種」向けの製品については業界大手で既に同社の顧客となっている企業の協力を仰ぎながら、同業界でのベストなSFAツールを開発、標準化し、顧客開拓を進めていく戦略だ。対象企業が大企業となるだけに、クラウドサービスではなくオンプレミス型(フロー型収益)での利用となる可能性はあるが、顧客の要望に合わせていくことになる。既にいくつかの開発案件がスタートしている模様。
中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高65億円、営業利益で12億円、営業利益率18%を掲げ、年平均売上成長率では16%となる。当中期経営計画の中では「中堅・中小企業」「特定業種」向けの新製品の収益貢献については予測が困難なことから織り込んでおらず、既存モデルの伸びだけで計画の達成を目指している。このため、新製品が順調に成長すれば目標値から上積みされる可能性もある。営業利益率に関しては引き続き開発投資を積極的に行っていくため大きな上昇を見込んでいないが、ストック収益の売上比率に関しては現在の約5割から7割程度まで引き上げていきたい考えで、収益の安定性は増していくものと予想される。2021年以降は、SFAの普及が加速化するほか新製品の収益貢献も見込まれることから、年平均売上成長率は20~30%と加速化し、高成長フェーズに入ると会社側では見ている。
(2) フィールドマーケティング事業
フィールドマーケティング事業を取り巻く市場環境は、少子高齢化の進展や企業の働き方改革への取組み、アウトソーシングの活用などによって今後も追い風が続くものと予想される。特に、女性活躍推進法など女性労働力の活用を促進する法整備が進んでいることもあり、新たな労働力として主婦層に注目が集まっている。
同社の推計によれば、消費財メーカーの店舗ラウンダーの市場規模は1,000億円程度(潜在需要含む)と見られ、このうち同社の売上げは32億円の規模となっている。今後も消費財メーカーのラウンダー業務のアウトソーシング化が続くものと予想されるため、これらの需要を取り込むだけで成長は可能と見られるが、同社では消費財メーカー以外のフィールドアウトソーシング需要も取り込んでいくことを計画している。特定のスキルが要求されない簡易な業務で、例えばガスメーターのチェックやマンションの電力サービス切り替え時における居住者への同意確認のための訪問活動、在宅業務などが挙げられる。こうしたフィールド市場全体で見れば2兆円の市場規模(アウトソーシング率10%と仮定)になると見られ、潜在的なポテンシャルは大きい。
また、長期的には全国の地域コミュニティに張り巡らされた主婦ネットワークを最大活用することで、地域コミュニティの活性化に繋がるサービスを提供していくことも想定している。高齢者に対する買い物や家事等の生活支援サービスなどが考えられる。
その他にも新サービスとして取り組んでいる「Point of Buy®購買理由データ提供サービス」についても引き続き強化を進めていく。レシートとアンケートによって購買者の購買理由や購買時期など様々な情報を収集・分析し、企業のマーケティング戦略に生かしていくサービスで、現状はまだ収益への影響は軽微だが、アンケート会員数は21万人を超えてきており、サービスの付加価値を高めて収益化していく方針だ。
中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高39億円、営業利益で3.4億円、営業利益率9%を掲げ、年平均売上成長率では7%と安定成長を見込んでいる。また、同事業についても2021年以降は業容の拡大により、年率10~20%の売上成長を目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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