■業績動向
1. 2017年12月期連結業績概要
2018年2月14日に発表したサカタインクス<4633>の2017年12月期の連結業績は、売上高が前期比4.0%増の157,302百万円、営業利益が同15.3%減の8,573百万円、経常利益が同5.2%減の11,249百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.0%増の8,383百万円だった。
計画値(2017年2月24日投資有価証券売却益計上に伴って親会社株主に帰属する当期純利益を上方修正、2017年8月10日売上高、営業利益、経常利益を下方修正)との比較で見ると、売上高は1,198百万円、営業利益は1,027百万円、経常利益は751百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は317百万円、それぞれ下回って着地した。
インキ販売数量の増加、機能性材料の好調、為替影響などで前期比増収だったが、計画値(2017年8月10日修正値)との比較では、日本における広告需要の低迷が想定以上だったこと、インドにおける新たな物品・サービス税(GST)導入に伴う顧客の買い控えが第3四半期(7月—9月)まで影響したこと、北米における新規顧客や新ラインを増設した顧客に対する販売が、当初の計画よりも遅れたことなどで、売上高が伸び悩んだ。
利益面では、売上高が計画を下回ったことに加えて、原材料価格(特に酸化チタン)の上昇や人件費の増加などが影響した。営業利益と経常利益は計画を下回り、前期比減益での着地となった。売上総利益は前期比1.3%減少し、売上総利益率は23.5%で1.3ポイント低下した。販管費は3.9%増加したが、販管費比率は18.0%で0.1ポイント低下した。売上高営業利益率は5.5%で1.2ポイント低下した。
営業外では持分法投資利益が114百万円増加し、為替差損益が711百万円改善(2016年12月期は為替差損322百万円、2017年12月期は為替差益389百万円を計上)した。売上高経常利益率は7.2%で0.6ポイント低下した。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に計上した投資有価証券売却益1,124百万円、及び法人税等の減少が寄与して増益だった。売上高純利益率は5.3%で0.1ポイント上昇した。
なお為替の期中平均レートは1米ドル=112円19銭(2016年12月期は1米ドル=109円27銭)だった。海外連結子会社の為替換算影響額は売上高で2,410百万円、営業利益で51百万円、経常利益で72百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で42百万円、それぞれプラス要因だった。為替換算影響排除後ベースでは、売上高は前期比2.4%増収、営業利益は同15.8%減益、経常利益は同5.8%減益、親会社株主に帰属する当期純利益は同6.4%増益だった。
前期との比較による要因別増減分析によると、売上高6,104百万円増加の増収要因はインキ数量3,100百万円、機能性材料900百万円、その他600百万円、為替2,400百万円、調整額0百万円で、減収要因はインキ単価500百万円、機材500百万円だった。また営業利益1,545百万円減少の増益要因はインキ数量1,010百万円、機能性材料220百万円、為替50百万円で、減益要因はインキコスト2,130百万円、インキ単価540百万円、機材50百万円、その他60百万円、調整額20百万円だった。インキ数量はパッケージ関連中心に増加した。原材料価格の上昇は特にアジアで顕著だった。
セグメント別(連結調整前、為替影響排除前)に見ると、前期との比較で、印刷インキ・機材(日本)は売上高が0.2%減の54,985百万円で営業利益が10.4%減の2,253百万円、印刷インキ(アジア)は売上高が6.8%増の30,245百万円で営業利益が26.0%減の2,347百万円、印刷インキ(北米)は売上高が3.6%増の43,560百万円で営業利益が17.5%減の1,830百万円、印刷インキ(欧州)は売上高が12.3%増の8,777百万円で営業利益が88.3%減の25百万円、機能性材料は売上高が11.5%増の11,336百万円で営業利益が23.2%増の1,140百万円、その他は売上高が4.1%増の15,790百万円で営業利益が16.5%減の350百万円だった。
印刷インキ・機材(日本)は売上高、利益とも計画を下回り減収減益だった。パッケージ関連で食品・飲料用途のグラビアインキが安定的に推移し、印刷関連機材も好調だったが、広告需要の低迷が想定以上となり、新聞インキ及びオフセットインキの販売が低調だった。利益面では、売上高の伸び悩みに加えて、第4四半期(10月-12月)には原材料価格の上昇も影響した。
印刷インキ(アジア)は増収減益で、売上高、利益とも計画を下回った。インドネシアとベトナムでパッケージ用グラビアインキ、インドとベトナムで新聞・オフセットインキの販売数量が増加したが、インドにおける新たな物品・サービス税(GST)導入に伴う顧客の買い控えが第3四半期(7月—9月)まで影響した。利益面では販売数量の伸び悩みに加えて、原材料価格(特に酸化チタン)の上昇、賃金アップによる人件費の増加が影響して大幅減益だった。
印刷インキ(北米)は増収減益で、売上高、利益とも計画を下回った。パッケージ用のフレキソインキ、グラビアインキ、メタルインキ、及びUVインキが堅調に推移し、為替の円安も寄与したが、オフセットインキの需要が想定以上に減少したこと、新規顧客や新ラインを増設した顧客に対する販売が、当初の計画よりも遅れたことなどが影響した。利益面では増産対応で増員したため人件費が先行する形になり、原材料価格上昇も影響した。
印刷インキ(欧州)は増収減益で、売上高、利益とも計画を下回った。グラビアインキ、フレキソインキ、メタルインキなどパッケージ関連を中心に生産・販売体制を再構築し、全体として拡販が進展した。ただし下期(7月−12月)の拡販がやや伸び悩み、原材料価格の上昇、生産・販売体制再構築に伴う人件費の上昇、前期に発生した英ポンド安による利益の拡大が今期はなくなったことなどで大幅減益となり、収益改善が遅れる形となった。
機能性材料は増収増益で、売上高、利益とも計画を上回った。日本及び北米において、インクジェットインキ及びカラーフィルター用顔料分散液の販売数量が増加した。北米におけるインクジェットインキ生産体制再編に伴うコストの増加を吸収して大幅増益だった。
2. 財務状況
財務面では、2017年12月期末の自己資本比率が52.0%で2016年12月期末比0.3ポイント上昇、1株当たり純資産が1,295円39銭で116円01銭増加した。また長短借入金残高合計は15,688百万円で670百万円減少した。財務健全性は着実に向上している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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1. 2017年12月期連結業績概要
2018年2月14日に発表したサカタインクス<4633>の2017年12月期の連結業績は、売上高が前期比4.0%増の157,302百万円、営業利益が同15.3%減の8,573百万円、経常利益が同5.2%減の11,249百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.0%増の8,383百万円だった。
計画値(2017年2月24日投資有価証券売却益計上に伴って親会社株主に帰属する当期純利益を上方修正、2017年8月10日売上高、営業利益、経常利益を下方修正)との比較で見ると、売上高は1,198百万円、営業利益は1,027百万円、経常利益は751百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は317百万円、それぞれ下回って着地した。
インキ販売数量の増加、機能性材料の好調、為替影響などで前期比増収だったが、計画値(2017年8月10日修正値)との比較では、日本における広告需要の低迷が想定以上だったこと、インドにおける新たな物品・サービス税(GST)導入に伴う顧客の買い控えが第3四半期(7月—9月)まで影響したこと、北米における新規顧客や新ラインを増設した顧客に対する販売が、当初の計画よりも遅れたことなどで、売上高が伸び悩んだ。
利益面では、売上高が計画を下回ったことに加えて、原材料価格(特に酸化チタン)の上昇や人件費の増加などが影響した。営業利益と経常利益は計画を下回り、前期比減益での着地となった。売上総利益は前期比1.3%減少し、売上総利益率は23.5%で1.3ポイント低下した。販管費は3.9%増加したが、販管費比率は18.0%で0.1ポイント低下した。売上高営業利益率は5.5%で1.2ポイント低下した。
営業外では持分法投資利益が114百万円増加し、為替差損益が711百万円改善(2016年12月期は為替差損322百万円、2017年12月期は為替差益389百万円を計上)した。売上高経常利益率は7.2%で0.6ポイント低下した。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に計上した投資有価証券売却益1,124百万円、及び法人税等の減少が寄与して増益だった。売上高純利益率は5.3%で0.1ポイント上昇した。
なお為替の期中平均レートは1米ドル=112円19銭(2016年12月期は1米ドル=109円27銭)だった。海外連結子会社の為替換算影響額は売上高で2,410百万円、営業利益で51百万円、経常利益で72百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で42百万円、それぞれプラス要因だった。為替換算影響排除後ベースでは、売上高は前期比2.4%増収、営業利益は同15.8%減益、経常利益は同5.8%減益、親会社株主に帰属する当期純利益は同6.4%増益だった。
前期との比較による要因別増減分析によると、売上高6,104百万円増加の増収要因はインキ数量3,100百万円、機能性材料900百万円、その他600百万円、為替2,400百万円、調整額0百万円で、減収要因はインキ単価500百万円、機材500百万円だった。また営業利益1,545百万円減少の増益要因はインキ数量1,010百万円、機能性材料220百万円、為替50百万円で、減益要因はインキコスト2,130百万円、インキ単価540百万円、機材50百万円、その他60百万円、調整額20百万円だった。インキ数量はパッケージ関連中心に増加した。原材料価格の上昇は特にアジアで顕著だった。
セグメント別(連結調整前、為替影響排除前)に見ると、前期との比較で、印刷インキ・機材(日本)は売上高が0.2%減の54,985百万円で営業利益が10.4%減の2,253百万円、印刷インキ(アジア)は売上高が6.8%増の30,245百万円で営業利益が26.0%減の2,347百万円、印刷インキ(北米)は売上高が3.6%増の43,560百万円で営業利益が17.5%減の1,830百万円、印刷インキ(欧州)は売上高が12.3%増の8,777百万円で営業利益が88.3%減の25百万円、機能性材料は売上高が11.5%増の11,336百万円で営業利益が23.2%増の1,140百万円、その他は売上高が4.1%増の15,790百万円で営業利益が16.5%減の350百万円だった。
印刷インキ・機材(日本)は売上高、利益とも計画を下回り減収減益だった。パッケージ関連で食品・飲料用途のグラビアインキが安定的に推移し、印刷関連機材も好調だったが、広告需要の低迷が想定以上となり、新聞インキ及びオフセットインキの販売が低調だった。利益面では、売上高の伸び悩みに加えて、第4四半期(10月-12月)には原材料価格の上昇も影響した。
印刷インキ(アジア)は増収減益で、売上高、利益とも計画を下回った。インドネシアとベトナムでパッケージ用グラビアインキ、インドとベトナムで新聞・オフセットインキの販売数量が増加したが、インドにおける新たな物品・サービス税(GST)導入に伴う顧客の買い控えが第3四半期(7月—9月)まで影響した。利益面では販売数量の伸び悩みに加えて、原材料価格(特に酸化チタン)の上昇、賃金アップによる人件費の増加が影響して大幅減益だった。
印刷インキ(北米)は増収減益で、売上高、利益とも計画を下回った。パッケージ用のフレキソインキ、グラビアインキ、メタルインキ、及びUVインキが堅調に推移し、為替の円安も寄与したが、オフセットインキの需要が想定以上に減少したこと、新規顧客や新ラインを増設した顧客に対する販売が、当初の計画よりも遅れたことなどが影響した。利益面では増産対応で増員したため人件費が先行する形になり、原材料価格上昇も影響した。
印刷インキ(欧州)は増収減益で、売上高、利益とも計画を下回った。グラビアインキ、フレキソインキ、メタルインキなどパッケージ関連を中心に生産・販売体制を再構築し、全体として拡販が進展した。ただし下期(7月−12月)の拡販がやや伸び悩み、原材料価格の上昇、生産・販売体制再構築に伴う人件費の上昇、前期に発生した英ポンド安による利益の拡大が今期はなくなったことなどで大幅減益となり、収益改善が遅れる形となった。
機能性材料は増収増益で、売上高、利益とも計画を上回った。日本及び北米において、インクジェットインキ及びカラーフィルター用顔料分散液の販売数量が増加した。北米におけるインクジェットインキ生産体制再編に伴うコストの増加を吸収して大幅増益だった。
2. 財務状況
財務面では、2017年12月期末の自己資本比率が52.0%で2016年12月期末比0.3ポイント上昇、1株当たり純資産が1,295円39銭で116円01銭増加した。また長短借入金残高合計は15,688百万円で670百万円減少した。財務健全性は着実に向上している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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