悪材料出尽くしで底堅い展開を想定
【日本郵政の値動き】
日本郵政は2015年11月に公開価格1400円、初値1631円で上場し、その直後は人気化して一時1999円まで上昇しましたが、その時期を除けば、1400円を挟んで上下200円の値幅で推移しています。
今年に入ってからは株価に影響を与える大きな材料が2つ出ており、一時的な影響はありましたが、現在でも1400円近辺で落ち着いた値動きが続いています。
大きな材料①
2017年1月16日に第2次売出し準備として、主幹事証券会社の選定手続きを実施すると発表し、3月29日には主幹事証券会社も決定しました。
株価の動向を見極めた上で7月以降に売却する方針です。2017年度特別会計予算案では日本郵政株の売却収入として上場時と同規模の1兆4000億円を計上しており、売却規模は1兆円を超えると予想されています。
大きな材料②
直近の2017年4月25日、一昨年に買収したオーストラリアの物流最大手トール・ホールディングスの業績が悪化していることから、昨年度のグループ全体の決算で4003億円の損失を計上すると発表。これまで3200億円としてきた昨年度の最終的な利益の予想を下方修正し、400億円の最終赤字になる見通しを示しました。民営化後では初めての最終赤字転落予想です。
第2次売り出しによる需給悪化懸念、業績の下方修正という2つの悪材料は出ましたが、株価への影響は一時的なものにとどまりました。4月28日終値は1381円。
【5月に推奨する理由】
日本郵政の2016年9月現在の株主数は55万人を超えており、非常に多くの個人投資家が同社株を保有していると思います。1回目の売り出し時に1400円で入手した方も多いのではないでしょうか。
第2次の売出しで1400円を大きく下回る株価で売り出しを実施すれば、現在の個人株主にとっては損をした気分にもなり、経営側に対する視線も厳しくなります。
そのため、第2次売出しでも1400円の水準は当然意識すると思われます。これに加え、日本郵政株は配当利回りが3.6%、PBRは約0.4倍と株価の下値不安も少ない株と言えましょう。
その反面、利益の大半がゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の寄与分であり、これら2社の持ち分を将来減らしていくことが義務付けられているため、独自で収益性を高めていく必要があります。
それには当然、時間も掛かると思われ、当面は狭いレンジでのボックス相場を想定しています。
したがって、日本郵政株は1400円を意識しながら、安いところで買い、上がったら売るという感じで5月は対応していくことが良いと見ています。
【想定レンジ】
5月は1300円から1550円のレンジを想定。